1988年10月発売
自分は誰とも一体になれないのか。-狂人と健常者の狭間に身を置き、他者を求めながらも得られずに自ら死を選ぶ男の狂気を内側から描いて、現代人の意識に通底する絶対的な孤絶を表出した待望の純文学長篇。
アフガニスタンのカブール、カンダハル、更に昔から蓮の花の都とされたパキスタンのペシャワール、この近辺に近代国家が定めた国境を国境と認めないように幾多の遊牧の部族が住んでいる。宗派は色々あるがいずれも敬虔なイスラム教徒であり、敵には勇猛果敢な聖戦士である。当然のことながら友愛厚く誇り高い。農耕定住の日本から旅すればことごとくが違い、たちまち眩暈に陥る。シルク・ロードの自然とイスラムの民を吹き過ぎる、豊潤にして苛烈、悠遠な音調につつまれた物語の数々。
88年、夏。鈴鹿。NESCAFE AMERICANA RACING TEAM No.10、キャサリン・コバーン。鈴鹿8時間耐久レースでは、トニー・シャープレスとともに初の女性だけによる〈ネスカフェ・アメリカーナ・レーシング・チーム〉の第1ライダートシテ出場。クラッシュでトニーが鎖骨骨折というアクシデントに見舞われたが、キャサリンは棄権せず1人で走り抜き、チッカーフラッグを受けた。彼女が教えてくれたのは勇気、そして…。
「留守番電話」って知ってる?バカにしないでよ、という顔をしたあなた、あなたは本当に「留守番電話」を知っているのか?自信がぐらついた人はこの本を読んでみよう。ほかにもあなたの知らなかったことがどんどん出てくることは、この私が保証する。15の不思議な味が楽しめる、ときめきの世界へ、さあ、どうぞ。
名門の御曹司との結婚を間近に控え、幸福の絶頂にあったトレイシー・ホイットニーにかかってきた1本の電話。急いで帰郷した彼女を持ち受けていたのは、極悪人どもが仕組んだ非道極まる陥穽だった…。息もつかせぬスピーディな展開で読者を完全にトリコにしてしまうアメリカの超ベストセラー作家シドニィ・シェルダンの傑作、堂々の登場。
“余は偉大なる落伍者となって歴史のなかによみがえる”雪の国新潟の教室の机に彫って上京し、あえて、孤独な自己鍛練の世界に彷徨する、“精神の巨人”坂口安吾の繊細にして豪放、聖にして俗の、ダイナミックな自伝世界。 ●女占師の前にて ●おみな ●孤独閑談 他
養父たちを焦土で奮われた苛烈な体験を忘れることなく、ニセの“安寧・平穏”をきびしく峻拒する野性の魂。名作『火垂るの墓』の原点を、さらに抉りかえす、持続する“挑戦の精神”。野坂昭如の文学を代表する“もう一つの”秀作。
10歳の沙江子を襲った性の暴力。性は愛しあうためにあるのなら、なぜそれが暴と共に襲いかかるのか。思春期を迎えても、彼女には愛と性の接点が見出せない。愛されたい、でも支配されたくない。“植物の性”を夢見る孤独な心は癒されるのか。すばる文学賞受賞の著者が描く、性と愛の世界。
ドイツを旅行する、お馴じみの一行。ある夜、古城ホテルに泊まったのだが、正体不明の〈幽霊クラブ〉やら殺人事件が発生! ドイツより愛と恐怖をこめて贈る、絶好調、人気シリーズ。
東大のみを目標にしていたごく普通の少年が、一通の手紙をきっかけにして、放送作家、作詞家と、サクセスの道を突き進んで行く。ニューヨークから秋元康が贈る、初の書下ろし自伝的小説。
敗戦直後の荒廃した世情のなかで、深い倦怠と疲労に自身の老いを自覚する信吾。老妻や息子夫婦と起居をともにしながら孤独を感じさせられる家庭にあって、外に女をもつ長男の嫁菊子に対する信吾の哀憐の情は、いつしかほのかな恋にも似た感情に変わってゆく。その微妙な心のひだをとらえた戦後川端文学の傑作。
まえがき 第 一 章 到 着 三十四号室 レストランで 第 二 章 洗礼盤と二つの姿の祖父のこと ティーナッペル家で。そして、ハンス・カストルプの倫理状態について 第 三 章 謹厳なしかめっつら 朝 食 からかい。臨終の聖体拝受。たちきられた上きげん 悪魔(Satana) 頭脳明快 一言失言 もちろん、女さ! アルビンさん 悪魔(Satana)ぶしつけな進言をする 第 四 章 必要な買いもの 時間感覚についての余談 フランス語の会話をこころみる 政治的にうさんくさい! ヒ ッ ペ 分 析 疑問と考察 食事中の談話 昂じる不安。二人の祖父のこととたそがれの船あそびについて 体 温 計 第 五 章 永遠のスープと突然の明るさ 「ああ、見える!」 自 由 水銀の気まぐれ 百科辞典 フマニオーラ 探 究 亡者の踊り ワルプルギスの夜 訳 注