1988年11月発売
ナターリアの黒髪が美しいリガの街に揺れるたび、若き瀬尾の心は激しく騒いだ。しかし文化交流使節団の一人が「誘拐」されて事態は一変する。四年前の神戸殺人事件と四十数年前の満州での「出来事」が歴史の闇から浮かびあがってきた時、明らかになる真相とは-衝撃のラストショット、旅情味あふれる長編推理。
みちのくへ旅立った西行法師の真の目的は、「暗花十二拳」の謎にいどむことだった。西行こそは、秘伝「明月五拳」の極意を体得した至上の拳法家だったのだ。雷拳、風拳、鬼拳…次々と現れる暗花十二拳との死闘の果てにたどりついたのは、和歌地獄、そして闇王!大型新人が放つ超迫力のデビュー快作。
商から周へ、中国ではいま易姓革命が始まろうとしている。名君紂王は妖妃妲己を迎えて以来、まったくの昏君(バカ皇帝)と化した。妲己、彼女はじつは、千年の齢を経た女狐の化身だったのだ。-軍師太公望(姜子牙)を擁する西岐軍と商軍の大殺戮戦。妖術玄術が切り結び、飛び交う宝貝(秘密兵器)はSFをしのぐ。奇想天外な大伝奇ロマン、全3巻。
徳川幕府の弱体化がすすんだ幕末、唐津藩主の座に心ならずも就いた小笠原長行は、すでに36歳だった。藩中の反対勢力を制し、江戸城に伺候した長行は、時代改革の必要を次々具申、若年寄をへて老中職を仰せつかる。しかし時勢はあまりにも急旋回しようとしていた。長行の数奇な運命とは?最後の老中を精緻に描いた出色長編。
アヘン戦争から7年後、小乱が続き匪賊が横行する、物情騒然たる中国で、洪秀全が頭角を現わしてきた。エホバを天父と仰ぎ、清朝を排して世直しをめざす、拝上帝会の創始者である。信仰と理想に燃えて金田村に決起した一党は、多彩な勢力も併合して、遂に、太平天国という「国」を樹立するに到った。
ローラ一家は、やっとシルバー湖のほとりに払い下げ農地を手に入れ、わが家に住めるようになった。だが、父さんは、きびしい冬のあいだだけドゥスメットの町へ引っ越すことにした。大草原でつつましく育ったローラ姉妹が、学校や集会で体験する町の暮らし…。自分の生き方にめざめつつある少女ローラの成長を描く「大草原の小さな家」第6作。
厳しい環境下で喘ぐ巨大銀行。会長と頭取の暗闘、不良債券の回収に振りまわされる支店長、融資をめぐるライバルとの苛烈な競争。サバイバルに賭ける都市銀行の苦悩と変貌を活写する渾身の経済小説。
昭和22年夏、横浜。進駐軍の肝入りで、進駐軍家族の子弟や日本の少年たちにスポーツの基礎を教えるサマースクールが開校されることになった。寛太・千春・直行の少年3人組は、闇市を舞台に結束を固め、大人の世界に足を踏み入れながらたくましく生きていたが、サマースクール開校の話を耳にして、あれこれ相談した結果、3人そろって参加を申し込むことにした…。
動乱から7年後、再びフィリピンに不穏な空気が流れだし、日本人が殺されたというニュースが飛び込んできた。有馬が、そして暁子がフィリピンに飛ぶ!グランツ社長に昇りつめたカーツは野望と復讐の念に燃えて、フィリピンを血と炎の国へ変えていく。一方、総理に返り咲いた仲田は国民の圧倒的な声に支えられて安保を解消、自衛隊をフィリピンへ向かわせる。そしてついに、第二次太平洋戦争へ突入…。
謎めいた過去を持つ若き人気女形・嵐夢之丞が忽然と姿を消した。時を同じくして、江戸市中で夢之丞に似た美女が次々と惨殺されていく。夢之丞を慕う女掏摸・切支丹お蝶、碧眼の怪剣士・西東霊之介、女賊・雲居のおさよ、善玉悪玉入り乱れ、運命の妖しい糸が縺れ合い、怨霊渦巻く地獄の島で、いま夢之丞の恐るべき秘密が明らかにされる!新感覚の伝奇時代ロマン・シリーズ第二弾。
第三世界会議に出席中のエジプト・メキシコ両国の大統領、国連事務総長、そしてピットの父を乗せたヨットが消えた。偵察衛星の目からも隠れてしまった船の行方を、ピットは冷静な推理で捜し当てたが…。一方測り知れぬ価値を持つ古代の宝物の在処は、最新のコンピューターを駆使しても確認できない。北極から南極へ、古代から未来へ、現代のヒーローの時間と空間を超えた活躍。
どうして大きくならないの?なぜ返事をしないの-。マリオネットの手足がてんでに宙を舞う。狂気が胎児のように、着実に育ってゆく。友人の死にまつわる赤い記憶も、しだいに形をとりはじめ、そして-第1回日本推理サスペンス大賞優秀作受賞。
19世紀の末、大旱魃に見舞われたブラジルの奥地に、突如現われた流浪の説教師。世界の終末と人類の滅亡を説く男は、たちまちにして貧困や飢えに悩む人々の心をとらえる。やがて、預言者を中心に安住の地カヌードスにたてこもる宗教的熱狂者の集団と政府軍の過酷な徹底的闘争が始まる。著者の円熟さを示す壮大な野心的大作。
女流作家はなかなか書かない、おふくろはうるさいし、おやじは男と同棲してる。あたしの生活はネコと自転車と料理と映画、そして昼寝。小さな事件が名を連ね、錯綜とした日常性の中、小説は書かれ、お話は続く…。
明治維新前後の転変が、一家一族の上に及ぼした影響も描かれて、総体として、行きとどいた家族年代記、もしくは時代的展望を内にふくむ屈曲に富むグループ・バイオグラフィ。つまり、一個人の生涯と業績という枠をはるかに踏みこえた、いわば大河伝記の試みであり、この点での『渋江抽斎』のユニークさと斬新さは、今日の時点から改めて大きく積極的に再評価されるに足る。
匿名口座には巨額の金が眠り、隠し別荘の冷凍庫には見知らぬ男の死体が…夫の“遺産”にはどんな謎が隠されているのか?幼い頃から常に誰かの庇護の下で暮してきたトゥルーディは、結婚してからも旅行会社に勤める夫トレントに頼り切っていた。だが、二人がウィーンからイギリスに帰国した直後トレントが謎の事故死を遂げた。動揺する彼女が遺品を調べるうちに発見したのが、匿名口座と死体という奇妙な“遺産”だったのだ。彼女は怯えるネズミのように、一歩一歩生前の夫の行動をたどり始めた。だが、その時すでに彼女の周囲には死の罠が張りめぐらされていた…!冒険サスペンスの名手ルエルが、正体不明の敵を相手に独り闘う女を描く、戦慄のサスペンス・ロマン。
売出し中の美人作家ペイシャンス・マッケナは、新人作家サラの変死を目撃し、自らも病院に担ぎ込まれた。だが、九死に一生を得て、サラの死について話し始めた彼女にとって、刑事の言語は意外だった-「どこにも死体はなかった。倒れていたのはあなただけだ」周到な計画殺人が行われたと察したペイシャンスは、さっそく調査を始めた。事件の直前には、ベテラン作家が謎めいた事故死を遂げたばかりだった。事故と殺人とは関係があるのか?やがて、サラの死体は思わぬ所で発見された…!ニューヨーク風俗と華やかな出版界の人間模様が彩るペイシャンスの鮮かな推理!待望のシリーズ第二作。