1988年発売
PR誌編集部の小野田副編集長と部員の光子は気の合う上司と部下。それにお互いが結婚していることで、傍目にも危なげがなく見える。この両人が2人きりの秘密を楽しみ、完全不倫ときめこんだ。ところが…?(「秘密」書下ろし)。全作品をヤング・ミセスが巻き起こす不審な出来事で統一。現代物路線でも中津作品の幅を拡大した。
ソ連空母ノボロシスクで謎の火災が発生。これを宇宙新兵器による攻撃と判断したソ連当局は、米最新衛星を爆破し臨戦態勢を敷いた。その一方、地球各地で不可解な事件が続発していた…鉱山の落盤事故、工場の金属板にあいた謎の穴。長崎のガス爆発事故。迫りくる米ソ宇宙戦争と地球滅亡の危機。-著名な天文物理学者が書下ろした迫真の近未来サスペンス。「専門知識に裏打ちされたインテリジェント・ノベル」とトム・クランシー絶賛。
三ツ葉葵の紋所の黒羽二重の着流し姿、眉目秀麗の貴公子はご存じー松平長七郎。亡き駿河大納言忠長卿の御曹子で、現三代将軍家光の甥君である長七郎はいま、僧坊に佗住まいの身の上であった。主家一族の輝姫君の行方を必死に探索する越後の喜久周防守利明の遺臣香月囲伊馬之介の妹年重を自幻党の襲撃から救ってやったことから、長七郎は奇々怪々な事件の渦中にまき込まれていった。輝姫君が持参している犬張り子が秘める謎とは何か…?-怪人物に率いられる自幻党、幕府の陰謀を向こうにまわして閃く長七郎正義の剣。
東京浅草一帯のテキ屋の大元締笠松源蔵の跡取り鉄平は、テキ屋渡世を嫌うでもなく、といって松源一家の名跡を継ごうともせぬ、時勢に背を向けた一匹狼のインテリやくざだ。背中一面に散らした朱彫りの桜、人呼んで“朱桜”の鉄平の生まれついてのやくざな血は、一切の非道を許せない。やくざ渡世は“仁義”の2文字が守り本尊!定法破れば血で血を洗う、侠気血潮が煮え滾る。
かつて京都府警を戦慄させた“死人使い”で暴力団瓜生組の息子義龍が、名門敬神高校に入学した。時を同じくして中東ヨルダンからアブダル・パシャが転校して来た。それが古都の夜を恐怖に彩る暗闘劇の序曲となった。美人教師轟梨江子の死霊化と、義龍に送りつけられた20を超える同級生の死体。謎の道士の出現と彼を執拗につけ狙う妖鬼陣吾座竜。はたして、母葉子が願う義龍が継ぐべき“闇世界の覇王の座”とは何なのか?そして彼の命運を握る美少女雪絵の存在の意味とは?ベストセラー『魔界行』で読者を魅了した第2の主役を得て、妖悪の世界を描くファン必読の問題作ここに誕生。
永源寺峻の留守番電話に、先輩とも師匠ともいうべき楽田総一郎から「緊急の用件で会いたい」とメッセージが入っていた。青山の楽田宅を訪れると、そこには胸に深々とナイフをつきたてられた楽田の死体があった。楽田の葬儀の日、峻は突然、ツッパリ少女に声をかけられた。依頼は天才画賀シャトーブリアンの傑作「マダム・ロスタンの肖像」を見つけてほしいというものだった。その絵を楽田はどこかに隠したらしい。隠し場所のヒントを娘に遺していた。それはまさしく暗号ー松本清張の『点と線』の初版本に、すべてあり、解く鍵は三つ。スタジアム、十メートル下、ガンジン。-永源寺峻は必死に推理した。そして解けた答は意外にも…。乱歩賞作家が綴るミステリ・ファイル。
地底深くに眠る黄金の鉱脈、それは欲望と野心に燃える男たちをとらえてはなさない魔力を秘めているかのようだった。新鉱山所長となったロッドも策謀に巻き込まれ、破断層への掘削を部下に命じた。だがその地層こそは多量の地下水を貯えた禁断の地層だった。大自然の脅威にさらされた南アフリカの金鉱山を舞台に、男たちの闘いを活写した冒険巨編。
ぼくの目の前で、少年がトラックにはねられた。事故のあと町の人間が聞いてきた。「あの男の子、はねられる前は笑ってました?」笑って?…ここはアメリカの小さな町。1人の天才作家が終生愛した町。ぼくは彼の伝記を書くために逗留している。だが知らなかった、この世には行ってはならない町があることを。ファンタジィ・ホラー驚異の処女作。