1988年発売
思いがけない収穫を得て帰国した鳥居貢をはじめとする取材班を待っていたのは、上部からの圧力による番組中止というTV局の決定だった。しかし、島本理江は取材を強行する。何が彼女を動かしているのか。貢は新たな疑問を感じた。“銀のメルセデス”を日本に運んだ運転手の名前が判明した!が、彼は7年前、事故死していた…。情報を集める貢のもとへ届いた1通の手紙。差出人は謎の運転手。そして貢のもとに父親が遺した小さな鍵が…。深まる謎、そして恐るべき事実が明かされていく!
闇のフィクサー、クロベマスオの情報を売った業界記者がドーベルマン犬に襲われた!母親と娘の理沙も何者かに連れ去られてしまった!鳥井貢は単独で、“銀のメルセデス”が隠されているという丹沢渓谷へと乗込むのだが…。ヒトラーの怪物メルセデス、グロッサーは実在するのか。そして父親の死の真相は?島本理江のバックにある国際秘密組織の狙いは…。いよいよ完結!
10代将軍・家治の晃東照宮参詣費用2千万両を、いかにして捻出するか-。この難しい仕事を見事やり遂げた田沼意次は、次第に逼迫する幕府財政を立て直すため、新しい“事業”に着手する。だが、意次の前には、反対勢力の厚い壁が…。賄賂の卸問屋=田沼意次像を打ち破り、熾烈な政治抗争のなかに意次の“志”を定着させた気鋭の力作長編。
春の選抜高校野球大会。優勝候補・亜細亜学園を相手に、1対0とリードした開陽高校は、9回裏二死満塁のピンチに追い込まれた。開陽のエース・須田武志が、この局面で四番打者に投じた最後の1球とは?また、捕手で主将の北岡明は、なぜ愛犬と共に殺されたのか?フレッシュな感覚と緊密な構成で、人間心理の光と影を描く気鋭渾身の長篇推理。
「未来、逢いたかったわ。逢えたわね…」久しぶりにトコん家に泊まりにいったあたしは、首にかじりつかれてしまった。あたしの一番の関心は、朱海さんのこと。なのにトコったら、異性は敵だ、不潔だっていうんだから。今、華雅では、あたしをよび戻す運動をしてるんですって。どうしたらいいの?そんな時、桐村さんが学校を中退して、洋太郎くんと別天地で生活することになったの。
剛は父が死亡したため就職し、三奈子は志望校に失敗してM短大に通っていた。三奈子は恋人の剛といつも一緒にいたかったが、仕事の忙しい剛となかなか会えず、話題も食いちがったりで、少し不安を感じていた。そんな時、大学の友人あさ子に誘われて、三奈子は仕方なくパーティに出席した。三奈子はそこで、パーティというのにプールで泳いでいる邦夫と知り合い、一目惚れされてしまった。
いつも引っこみじあんの16歳の由香子。あこがれの君、サッカー部の夏希を遠くから見つめるだけだった。ところが美人でタレント志望の千晶が彼に急接近。積極的にアタックして夏希の「彼女」におさまってしまった。それ以来、由香子は千晶の代役ばかり。夏希への恋心をかくす、せつない日々だったが…。好きなのに、見つめるコトしかできなかった。だけど、ちょっぴり勇気を出せば、私だって変われるよね。由香子の恋の物語。
かすみと美和子は、親友同士。ふたりともまだ恋は知らないけれど。でも、ある日、美和子がクラスも名前も知らないヒトに、ひと目ぼれしてしまったの。なんとか彼を探しだしたい。ふたりは、おたがいの思いをつづった交換日記をはじめるけれど…。一方、他の学年の写真を借りて、幻の彼を見つけようと、かすみは近所で不良と評判の幼なじみ、和泉伸吾の家を訪ねることを決心して。
ボクこと小川モネが名門・私立白鳳高校に編入してから、はや半年。両親の離婚に落ちこむヒマもなく、今は文化祭にむけてカンカンガクガクの毎日(ボクは“生徒会役員”なのだ)。そんなある日、ひょんなことからプロの劇団を学校に呼んじゃおうなんてムボーな企画に巻きこまれてしまった(それもとんでもなくお金のかかる!)。『家庭ホーカイ』ぐらいじゃ落ちこんでなんかいらんないっ。
17歳の春。蝶子は聖園学院高校の2年生に転入学した。つらい初恋を忘れるために。そして、夏。長崎を旅して、蝶子はふたつ年下の男の子達に心ひかれていく…。やがて、秋、冬とめぐる季節の中で、恋を知り、恋に傷つき、でもその悲しみに負けないで、少しずつ大人になっていく少女の一年。
世の中、なんて不公平なんだろう。親友の亜理沙は、スポーツ万能、成績抜群、おまけにきれいで、取り柄のかたまりみたい子なのに。そんな子の友達でいられるのが不思議なくらいに、何をやってもダメなあたし。けどね、ちょっとキザっちい森野君と出会ってから、あたしも、少しずつ変わってきたような気がするんだ…。あーあ、森野君と亜理沙が“仲のいい幼なじみ”じゃなきゃいいのになぁ。
広子は22歳、一流不動産商社に勤めるOL。叔父の喜三郎から見合い話を一方的に押しつけられ、広子はなんとなくその気になった。本当は社内のエリート社員・武田に胸をときめかしているのだが…。見合い相手の健二は、CMプロデューサーというが、さえない男だった。見合いの席での喜三郎の行動にも腹をたてた広子は、早々と席をたった。ところが、その直後にふたりは街で再会した。
ここ東京の最高級住宅街・成城の一画に引っ越してきた若い夫婦。だが、思いがけない遺産相続による喜びも束の間だった。新居の庭先に突然現われた1匹の猫の不可解な行動にはじまり、次々と起る謎の事件…。愛猫家でもある、現代ホラーの第一人者の手になる渾身の書き下ろし長編。
父の位牌と古ぼけた1枚の写真を手に、ソウルへと向う。かつて海浜入学を志しその折、父が朝鮮人であることを知って以来35年…。ソウルの街から大田から、叔父が叔母がいとこたちが集ってくる。温かく、懐しい,初めての“再会”。すばる文学賞受賞作。
新婚旅行中の新妻が消えた!巧妙に仕掛けられたトリックの背後に隠された驚くべき事実とは…。時代を象徴する最先端の犯罪には、凡庸な想像力を超えた巧妙なプログラムが仕組まれている。「ロス事件」の謎を追い、新しい犯罪時代に大胆に挑む会心の推理長篇。
あかりも中学1年生になった。とうさんも絵本作家としての活動を続け、個性的なライバルたちに刺激を受ける毎日だ。あかりの今の悩みと言えば、本の置き場がなくなってきた狭くるしい家と、とうさんと山名さんとの宙ぶらりんの恋の行方ー。思春期を迎えた多感な少女と父との、ちょっぴり変っているけれど魅力的な二人暮しを、やわらかな筆致で綴った、『優しさごっこ』の続編。
人口わずか十七人、南西諸島の絶海の孤島をリゾート化すべく、観光会社の青年が島に赴任してきた。前任者が死を遂げたこの島で、彼はいつしか島の女タカ子の魅力に引き込まれて行く。彼が忌ましい島の秘密に気づいた時、年に一度の祭が幕を開けた…。古代からの因習と共同体の掟に縛られた亜熱帯の離島を舞台に、人間存在の秘められた深淵を浮かび上がらせる恐怖と衝撃の長編。
日本で働き、そして死んでいった一人の外人娼婦。華やかなライトを浴びる歌手の後ろのコーラス・ガール。ツアーを支える裏方スタッフ。皆が遊びに来るリゾートランドのホテルで働くおかあさん。北海道で生れ、育ち、これからも北海道で暮す女、酒場の女ー。中島みゆきが街で、仕事場で、旅先で出逢った六人の魅力的な女たち。それぞれの人生を鮮やかに描く、初の書き下ろし小説。
死の影に脅える少女が、心臓手術を決意するまでを描く「燕の駅」。毎日曜日、1日だけの家出を繰り返す少年を通し、現代の子どもの孤独に迫る「日曜日の反逆」。教室の退廃に中学生たちの眼が鋭く注がれる「友」。そして、4歳の男の子の目に映る様様な人生の断片を描く表題作「子どもの隣り」。現代に生きる子どもたちが持つ孤独と不安を、しなやかに映し出した四つの宝石のような物語。