1988年発売
ソビエトの対日工作員養成所-通称・日本村で徹底的に鍛えられたウラジミール・ハン。朝鮮人系ソ連人で、容貌は東洋人そのものの彼に、極秘指令が下った。ソウル五輪を破壊せよ!“北”の全面協力を得て、巧妙な手口で日本人商社マンになりすまし、単身ソウルに潜入したハン。彼の狙いは9月17日、開会式であった。厳戒体制の敷かれたソウルの、ほんのわずかな隙を突いて、ハンは着々と破壊工作を進行する。果して、華やかな祭典は、一転、大惨事の舞台と化するのか?大胆にして細心な、その恐るべき計画とは!?
凶器も遺留品も指紋、足跡などどれひとつ一致するものがない女子高校生連続殺人事件が頻発していた。被害者は、もったいないことに全員が美少女。向陽学園の高校1年生・朝生萌は、今日も殺人的な満員電車で痴漢の猛烈アタックに戦死寸前、「もう指なんか折れちゃえ!」。そう念じた瞬間、両手全指が360度回転的骨折の中年の男の絶叫があった。一体、どうなっちゃったの!?永井泰宇の初オリジナル、超常暴風美少女シリーズ開始。
いきなり後ろから袖をひっぱられ、脂粉の匂いを漂わせた、ちょっといい女に「市助さん、お前の女房のお春ですよ」と人違いされた八丁堀同心・若月雨太郎。雨太郎は途方にくれつつも山城屋という茶問屋の市助になりすます。“市助”が戻ってきた祝いの夜も更けて、いよいよお春と水入らずになったことから事件が勃発する…(「忘れた昔」)。下町の風物と人情を背景に繰り広げる、ゆっくり雨太郎シリーズ完結篇。
犬が木に登る?何気ない子供の話に、ぼくは興味を覚えた。先日、崖から転落死した少年が飼っていた犬が登ったという楠は、ぼくがかつて思いを寄せていた真知子の家の側にある。ぼくは以前、彼女の兄が犯した殺人事件を目撃し、それ以来彼女とは疎遠になっていたのだ。木に登る犬のことで久しぶりに会った彼女は、何かを隠しているようで…。推理作家協会短篇賞を受賞した表題作ほか9篇を収録。
俺は三十一歳、独身。背中に神経を配って、今まで生きのびてきた殺し屋だ。暴力団・安東組との抗争から、俺は高利貸の金森に雇われ、その事務所にむかう俺の車を二人組の乗ったトラックが猛スピードで狙ってきた。安東組に違いない。俺がやってくることを奴らに知らせた裏切者は誰だ!-「独り狼」他、組織暴力が蠢く暗黒の世界をたったひとりで生きる孤独な男たちを描く秀作8篇を収録。
人間界と魔界との休戦条約締結が、明日に迫ってきた。調印のため来日した魔道士J・マイヤートを護衛する“闇ガード”滝蓮三郎、妖艶な美女麻紀絵。だが、条約締結を阻もうと魔界の過激派が次々に“妖獣”を放ってきた。夜の東京を舞台に、闇ガードと妖獣の凄絶でエロティックな死闘が始まった…。滝と麻紀絵を待ち受けていた意外な使命とは何か?
戦災で失われた幻の縄文粘土板とそれに記された未解読文字に憑かれた若き考古学者・三村知之は、ゴールドヴァーグ研究所の副所長・ウースラとともに調査に向った折、大地震と大吹雪に見舞われた。そして、続く異常気象によって地球は氷床に覆われ、東京は飢餓と暴動の渦中にあった。三村が入手した〈ミノタウロス符号〉とは?人類の始原に迫る神話SF巨篇第一弾。
ジャズ・ピアニスト橘章次郎のもとに突然、米国の大実業家からジャズ・フェスティバルへの出演依頼状が届いた。その夜、六本木での演奏を終えた帰り、橘は美女に酒を誘われたが、待っていたのは屈強な男たちだった。美女も男たちも、密命をおびた内閣調査室のエージェントだったのだ。彼らの狙いは何か?橘を招いた米人大実業家の真意は?長篇アクション。
戦国時代、中国地方に絶大な力を誇っていた尼子一族も安芸の毛利元就の積年の恨みと執念によって永禄9年冬、ついに出雲の本拠月山城を攻め落とされ、若き主君義久らは安芸へ幽閉の身となってしまった。22歳の若輩ながら尼子十勇士と誉れ高い山中鹿ノ介幸盛は、父ともたのむ叔父立原久綱とともに上洛し、ひそかに主家再興の機をうかがうのだが。山中鹿ノ介、復讐の城とり戦争を描く長篇時代小説。
新宿区役所近くで小さな傷害事件が起き、1人の若者が植物人間となった。被害者の白井は、新宿中央警察署の遊佐刑事の上司だった津田警部の娘を、3年前に4人で強姦し自殺へと追いやった1人だった。遊佐は職を忘れ、娘の死後退職し失踪した津田の影を追うが手掛かりは掴めなかった。数日後、L特急「しなの86号」のトイレの中で殺害された男が白井の仲間の井藤と判明した時、遊佐は津田の復讐だと確信し松本へ飛んだ-。だが、3年前の津田の白骨死体が発見され、事件は思わぬ方向へとむかう…。そして遊佐が出合った驚くべき人物とは…?
元ヤクザのタフガイ段伴大五郎とふと知り合った純真無垢な美少女、高野マミ。彼女は常識を超えた世間知らずのお嬢様だった。そのマミの父親が誘拐され、大五郎に救出依頼がきた。大五郎は昔の仲間4人を集め人質奪還作戦を敢行するが…。