1989年発売
「その結婚はおやめなさい。ハネムーンの帰り道、棺で戻ってくるつもり!?」箱入娘・麗子の結婚式直前、正体不明の女からの謎めいた忠告に、名門・南条家は大パニック。一計を案じた母は、麗子の双子の妹で暗黒通りの女ボス・美知に助けを求めたが…。純情可憐のんびり姉とケンカならめっぽう強い妹の、対照的な2人のお嬢さまがまきおこす恋と冒険。ちょっぴりロマンのユーモアミステリー。
艶めかしいレズビアンの世界と、現代っ子らしい男女の野心が思わぬ悲劇を呼びこむ表題作。少女の残酷な内面心理を鋭く抉る「美少女」。片や資産家、一方は零落の身の同級生の女性2人が偶然出会ったとき、資産家の女性が支払った思わぬ代償を描く「十四年目の友情」など、現代社会に潜む人間内面の恐怖を綴る心理ミステリー集。
無敵の匈奴軍を塞外で打ち破り、武勲をあげた前漢の名将・霍去病の死の謎を描く表題作をはじめ、春秋末期の呉越戦争期を舞台に、2人の英雄、伍子胥と范蠡に、絶世の美女、西施を配した「わが愛しの西施」、戦国四君の1人、楚の名宰相・春申君の悲劇をあつかった「残春記」など、7篇を収録した中国古典伝奇ミステリー集。
休日を利用して、オレは友人とハンティングに出かけた。猟のほうはさっぱりだったが、途中、とんでもないものを発見してしまった。その名車は、ふとのぞき込んだ納屋の中にあった。名車の持ち主は、ある富豪のものだった。だが、その富豪は謎の失そうをとげていた…。また、オレの探偵趣味が頭をもたげはじめ、事件にクビをつっこむことになってしまった。「最後に笑う者」につぐ、ガース・ライランド・シリーズ第2弾。
天正10年、本能寺の変。その直後の山崎の戦いで、羽柴秀吉、明智光秀を破る。秀吉に嫡子・日金丸(後の秀正)誕生。慶長5年、秀正・徳川家康連合軍、石田三成を関ケ原に破り、大坂城の異母弟・秀頼を倒す。慶長8年、秀正、将軍となり、名古屋に幕府を開く。日本の公用語は名古屋弁になる。泰平と狂乱の名古屋時代260年。日本史をパスティッシュした、長編時代小説。
絵のように美しい兄妹の潤と茜。新しいママに抱いた2人の単純な嫌悪が、ゲームにも似た恐ろしい惨劇をひき起こす…。表題作他、日常に潜む恐怖を切りとるサイコ・スリラー。(解説・山前 譲)
第一次大戦下、フランスの前線部隊に起った反乱をめぐる兵士・市民の物語である。12人のふしぎな兵士を従えた一伍長の受難をキリストの受難に二重写しにしつつ、「生きる苦悩と救い」という人類永遠のテーマを、戦争という人間悪の集約ともいうべき場で執拗に追及したフォークナー破格の思想小説。
第二次世界大戦の衝撃を一つの決定的な契機として、作者は無意味な大量殺人としての「戦争」を現代の世界状況および構造そのものを深く象徴するものとして捉え、そのメカニズムを徹底的にあばき、その根源の地点から人間存在の意味と可能性を未来に向かって把捉しなおそうとする雄勁な文学的企てをここに結実させた。
アメリカ南部ジョージア州のタバコ地帯を舞台に、社会の発展に取り残され荒廃したプア・ホワイトとよばれる農民達の貪欲・無知・背徳の生活を描き、コールドウェルの名を一躍世界的にした傑作。
カナダを訪れたアンジェリクは、30年ぶりに長兄ジョスランと再会した。だが、その喜びもつかの間、ケベック警察の執拗な追及の手が彼女に迫る。しかも、3年前アカディアの森で殺された筈の魔女モードリブール夫人が今も生きているという新しい疑惑が、アンジェリクを恐怖におとしいれた…。
あの信濃譲二が劇団〈神技〉に参加したとき、「殺人者」が緻密にそして大胆に作りあげた「仕掛け」はすでに作動していた。劇中で三人の命を奪うために用意されたナイフが、公演初日、本物の血を吸ったのだ!作中に巧妙に隠されたダイイングメッセージが信濃によって解読されたとき、読者は言葉を失うことだろう。
超能力ジャズカルテットが活躍するライブハウスの傍で殺人事件発生。カルテットのメンバーのひとり比嘉隆晶は、何かに怯える金髪の少女に助けを求められた。少女の持つ超能力を軍事利用して、世界制覇を狙う国際テロリスト団の存在を知った若きジャズメンは、敢然と彼らに立ち向かう。痛快アクション小説。
現存世界の背後に潜む幽冥な魔窟シャンバラに謎の女・紅孔雀を捜しに火雷厳道が現われた。この地で春をひさぐ女たちの魂を救う火雷厳道の底知れぬ熱力に、シャンバラの支配者や魑魅魍魎は怯えた。妖しい美女との淫楽、羅刹の座をめぐる凄惨な戦い!官能とバイオレンスが噴出する傑作シリーズ第1弾。
岩手県で1年間にわたり、UFOの目撃者が続出、そして奇怪な焼死体さえも!だが、このUFO騒動には黒い魔手が存在するらしい。疑惑を抱く超能力者霧神顕たちは、怖るべきパワーの魔手と闘い、傷つきながらも、ついに魔の本拠・総門谷に潜入した。そこで目にした驚愕の光景とは?構想15年を費したSF伝奇超大作。
世の中が、ずっと貧しかった頃。クリーネックス・ティシューもまだ日本に入ってきていなかった、そんな時代にひたすらアメリカに焦がれ続けた青年重吉と、演劇に熱中した娘椙枝。愛と希望だけが頼りの、そのふたりのひたむきな生、揺れ動く心の襞を、鮮やかに浮かびあがらせた、直木賞受賞の名品集。