1989年発売
西暦2024年。世界人口は80億を越え、全世界は食糧不足と国際緊張にあえいでいた。コンピューターによれば人類滅亡の可能性は90パーセント以上。この危機を乗り越えるには、火星に植民するしかない。そこでアメリカは総力をあげて《マン・プラス》計画に挑んだ。苛酷な火星環境に適応させるため、人間をサイボーグ化しようというのだ。サイボーグ第1号は実験中に死亡し、すべては第2号であるロジャー・トラウェイの双肩にかかっていた。だがそのロジャーにも危険信号が…。ポールがサイボーグをテーマに人間と機械の新たな関係を描く力作SF。ネビュラ賞受賞作。
コブラとは、体内にコンピュータとサーボ・モーターを内蔵し、手足にレーザー・ガンやアークスロワーを組みこんだ全身まさに武器庫の超戦士だ。コンピュータと連動する視覚システムでレーザー・ガンの自動照準も可能。サーボ・モーターで高いビルもひとっとび、象ほどもある野獣も一撃で倒してしまう。この驚異的な能力がなければ、人類に突如襲いかかってきたトロフト星人に対抗できないのだ…。恐るべき異星種族と戦うコブラ部隊の活躍を描く戦争アクションSF。
世間知らずのかよわい娘マーラは、常に生命の危機にさらされる権力闘争への道を歩みだした。最終目的は、父と兄を奸計によって死に追いやったミンワナビ家打討。とりあえず強力な後立てを得るため、マーラはアナサティ家の三男ブントカピと契を結んだ。だがこの男、横暴で気が短く、しかも名家の長となったことで酒と女の日々を送るしまつ。やがてブントカピとの間に嫡子を得たマーラは、この能無し夫の殺害を企むが…。好評〈リフトウォー・サーガ〉の世界を舞台設定に、無垢な少女が屈強な男たちを相手に成長していく過程を描いた話題作。
不肖の息子とはよくいったもので、ダウアーは天才発明家だった父の築いた評判を落とすことしか能のない時計職人だった。この出来の悪い男の店に、ある日、黒い肌の怪人物が出現。父の作った得体の知れぬ科学機械を修繕してほしいという。しかし前金として銀貨を置いていったが、これがまた男の容貌にひけを取らぬほど奇妙な代物。あまつさえ、この仕事を引き受けたことから、ダウアーの身辺の奇怪な事件が起こり始めた!霧と煤煙にけぶるヴィクトリア朝の英国を舞台に奇人・怪人・狂人、果ては海底人までが暴れまわるスチームパンクの傑作。
海だらけの惑星ドルロイのキャナリーシティの市長から、高級セックス用ロボット・アクメロイド殺しの犯人捜しの依頼を受け、現地にやってきたユリとケイのダーティペア。そこには、惑星改造の仕事を請負ったクラッシャーたちも惑星二代目総督の招きによって滞在していた。一方、総督の強引なやり方に反発する市民たちの間には不穏な雰囲気が漂っているーそんなこんなで何が起きても不思議じゃない状態のところへダーティペアが突入してしまったからたまらない。その行く先々に破壊と騒動の渦を巻き起こす。
1797年春、スピットヘッド錨地とノア錨地で水兵の反乱が勃発、旗艦艦長となったボライソーも、反乱の余波に巻き込まれた。やがてそれが鎮まると、ボライソーは艦隊と共にファルマスを出帆、ジブラルタルで英国政府の高官を指揮艦に迎え入れた。そこで任務が下されたー北アフリカ沿岸の要衝ジャフォーを占拠せよ!頑迷な提督の下で、ボライソーらは地中海に足場を築く重大な作戦に、決死の覚悟で挑む。だが、行く手には凶悪な海賊、そして強大な西仏連合艦隊との血みどろの死闘が待ち受けていた!圧倒的な迫力で描く入魂のシリーズ第10巻。
フロリダ上空を飛行中の米軍機が国籍不明機に襲われ、積荷の原爆4発が奪われた!折りしもケープ・カナベラルのケネディ宇宙センターでは、スペースシャトルの打ちあげが間近に迫っている。当日は全世界から元首や首脳4千人が招かれていた。テロを警戒するNASAの保安主任ハドフは、犯人グループの解明に全力を傾ける。そこで捜査線上に浮上したのは、宇宙センター近くの飛行場で旧式軍用機を駆り、航空ショウを展開する一団。ハドフは一匹狼のパイロット、バーノンに彼らの調査を命ずるが…。鬼才が豊富な体験を基に放つ航空サスペンス。
犯人グループの正体も目的も謎のまま、打ちあげは刻一刻と近づいてきた。バーノンは消えた原爆に発信器が取りつけられていることを知り、一計を案ずる。協力を約束した航空ショウのメンバーに受信器を与え、原爆の捜索に当たらせるのだ。百機以上の旧式軍用機と保安機関の捨身の努力で、やがて原爆の1発また1発と発見されてゆく。だが、最後の一つが見つからぬまま、打ちあげの時は目前に。この未曾有の危機を回避することはできるのか?陽光まばゆいフロリダを震撼させる空前のテロ、それに立ち向かう空に勇士たちの活躍を描く娯楽巨篇。
雑誌〈コズモポリタン〉の仕事で、著者ホッチナーが世界的な文豪アーチスト・ヘミングウェイにはじめて会ったのは、1948年、ハバナのバー〈フロリディタ〉だつた。フローズン・ダイキリをしたたか飲み、2人の14年にわたるつき合いが始まった。メキシコ湾での釣り、パリはオートゥイユの競馬、そしてスペインの闘牛場めぐり…愉しい時が続いたが、それは1961年、ヘミングウェイの猟銃による自殺で終わりを告げたのだった。車中で、船上で、酒場で語られたヘミングウェイ自身の言葉をもとに、文豪の素顔と死にいたる日々を描いた衝撃の伝記。
熊と会話する方法を語り、自作の映画化作品をこきおろし、フイッツジェラルドやディートリッヒの思い出に笑う。ときには文学を志す者に真摯な助言をあたえ、また冒険と人生の意味を説く。“パパ”と呼ばれ、敬愛された彼の言葉は、いつも人を魅きつける力に溢れていた。しかし、アフリカでの2度の飛行機事故と、ノーベル賞の受賞騒ぎをさかいに、彼の身体と精神は徐々にバランスを崩していく。疑いと苛立ち。「もう書けない」という恐れ。入院。…弱さを背負った偉大な作家の生と死を、克明に、そして、かぎりない情愛をこめて浮彫りにする。
ニューヨークの画廊でデビューしたての新進画家が麻薬の打ち過ぎで死んだ。警察は事故と断定したが、続いて画廊のオーナーが殺されて事件は思わぬ方向へ…。殺し屋から足を洗って画家として名を成したのもつかの間、美術界の黒い陰謀に巻き込まれ、ミス・メルヴィルは素人探偵に!お嬢さま育ちの愛すべきオールド・ミスが活躍する。
これは、進化についての物語である。同時に、宇宙についての物語である。さらに、物語自体が、遺伝子の二重螺旋の構造を持った物語である。本自体の構造も、二重になっている。
東部の田舎町にヘイスティングス一家は引越してきた。作家の夫、元女優の妻、前妻の娘ギャビー、双子の弟ショーンとパトリック。いかにもモダンなこの一家を、裏の森から一対の邪悪な目が見つめていた。あの子供たちをいただいたらさぞ楽しめるだろう-そのものは、人間の形をしていなかった。一家の越してきたケスラー農場の裏に広がる森は“妖精の森”と呼ばれ、地元の人々は夜歩きを避けていた。そして、前住者のケスラー老人は謎めいた経歴の持ち主で、多量の金を地所内に埋めていたという噂もあった。だが、ヘイスティングス夫妻は格別気にとめていなかった-事件が起こるまでは。ファンタジイの巨匠が新たな境地を切り拓いていく大きな話題を呼んだ、全米ベストセラー巨篇。
商事会社勤務のOL、得田彰子は、結婚を前提に交際していた、車のセールスマン、常沢尚広に裏切られ、傷心旅行のドライブに出かけた。そこで親密になった内村が、つづいて高田が不審な死を遂げる。彼女は事件を報らせるTVをみて、2人の死があまりにも似ていることに愕然となった。事故死か、殺人か?一方、警察は検証の結果、両方の事件にマスコット人形が媒体になっていることをつきとめた。が、今度は常沢が自宅で死体となって発見され、彰子は参考人として呼ばれる。そこでうかびあがった意外な真犯人とは?