1989年発売
愚庵和尚から柔の技を学んだ帝大生の矢野は、やがて師の元を離れ、学問と翻訳業のかたわら、独自の柔の道を歩み始めた。その頃、危難を救った縁で知り合った千賀子と将来を約束するが突然、二人の上に絶望的な影が射した。維新前夜、肥後藩士だった千賀子の父の横暴に怒り、刺殺したのが矢野の父だったのだ。自由民権の息吹きと東京下町を舞台に描く柔道小説完結篇。
勤皇・佐幕が死闘をくりひろげる幕末の京都。立ち往生していた荷車を押しやったばかりに、町人ふたりが斬殺された。荷車には千両箱が…。下手人は二条城御金蔵番の手代木六太夫だという。ところが、その六太夫が、二条城の焼印の入った千両箱とともに、効外の古井戸から死体となって引きあげられた。なにやら、いわくつきの金らしいが。隠謀の臭いをかいだ鞍馬天狗と杉作少年が謎を追う。痛快時代長篇。
海辺で2人の少女ブルームとバーティが出会ったのは、ふとした偶然だった。時は移り2人の友情を手紙がつないだ。その間、歌手に、弁護士にと、それぞれ夢を手に入れるが、愛に傷つく時もあった。が、友情が悲しみを打ち消してくれた。そして、ある日、不治の病いがバーティを襲うー。愛に、仕事に、家庭に揺れ動きながら、現実を生き抜く2人の姿に、全米女性に共感の嵐を巻きおこしたベストセラーの映画化。
いまやフランスの支配者は民衆!あの貴族のやつらは国家の叛逆者なのだー。老若男女子供を問わず、ギロチンは連日犠牲者を追い求める…恐怖に駆られた貴族たちを救うべく、ドーヴァーの彼方イギリスから謎の秘密結社〈紅はこべ〉が神出鬼没の活動を展開する。果たして首領は何者?サスペンスとミステリー、恋と冒険と愛僧が渦まく、あの懐かしい古典ロマンの代表作。
伊賀忍者の上忍として暗躍していた石川五右衛門。伊賀八郷が織田信長の軍勢に襲われ、数ある組織が漬滅させられていしまう。かつうじて逃げた五右衛門一党は伊賀忍者の怨念を晴らすため、信長をつけ狙うが、信長は本能寺で自刃してしまう。さらに信長の意を継いだ豊臣秀吉の命を狙うが、服部半蔵一党の画策や風魔一族の攻勢に遭う。緊迫した政治状況下、命を賭して秀吉暗殺に狂奔する五右衛門を待ち受けるものは…。
参院選の大敗で、国民自由党は美人ゴルファー川井奈尾子をマドンナ候補にすえた。ところが、彼女は失踪!孔雀警視・笙子は特命をうけ、奈尾子になりすまして逃避行を開始した。-逃げる孔雀、襲いかかる怪しい一群!道連れが、美形、ハイセンス、頭脳明晰とあって、またも笙子の体がうずく。痛快シリーズ第15弾。
関東芸術スタジオは、新春映画に「東海道中膝栗毛」の製作を発表した。弥次・喜多に人気漫才コンビ、ラッキー千歩・万歩、2人の女房と愛人役に美人女優を起用、スタッフ総勢10人で浜名湖にロケハンに出た。初日の朝に、弥次の女房役の室町花江の変死体が発見された。そして、第二の殺人が!好評ロケハン・シリーズ第3弾。
美容師の笹田真知子は、友人宅でレイプされた。“赤い闇の未亡人”こと赤垣美晴と相談した真知子は、女性だけでつくる「レイプと闘う女の会」に駆け込む。ところが、真知子をレイプした男が殺され、ほかの強姦魔たちも次々と、何者かに殺されていく…。事件を追って美晴は能登へ。好評官能ミステリーシリーズ第5弾。
伊藤広子サンは、高1の息子と中1の娘を持つ38歳の一般主婦です。ダンナは、家庭に無関心なフツーの冴えないサラリーマンですが。こいつが信じられないことに浮気してるらしいと知って、真面目な広子さんの頭の線が1本ぷつっと切れました。女ってのはここ一番と腹をくくったら、男よりずっと強かったりして、ね…。長編ロマンチック小説。
六甲道夫の車に金髪女の運転する車が後ろからゴツン。勤務先のホテル・デュークは程近い。六甲は実績を買われ、より大きなホテルの探偵にスカウトされていた。女は魅惑的な体を預け、許しを請う。六甲の欠点は色好み。当然、情事に陥る。そこをロシヤ人に激写され、国際機密会議の盗聴に協力を迫られた。手に汗握る連作劇。
有楽町で、白昼堂々、三億円強奪事件発生!犯人は外人グループか?フリーライター・滝恭介は、女優の不倫の張り込み中、怪しい外人を目撃し、事件にくらいついた。背後には、国際犯罪コネクションの巨大な影が?一路、パリへ飛んだ滝の身にも魔手が迫る!サスペンスの雄が、現実の事件を素材に描く、書下ろし渾身作。
亡父から真面目だけを取り柄に育てられた西並玄一郎。彼は、彼の婚約者の父親であり、父の友人であった赤堀養治から旅行バッグを託された。その数日後、赤堀の他殺体が自宅で発見された。そして、西並が預かっていたバッグも何者かに盗まれていた…。『邪魔な男』で新境地を拓いた著者の洒脱な人間ミステリー第3弾。
湖畔の小さな町は帝都をゆるがすどす黒い陰謀の渦のなかへ…。だれが舞姫を溺死させたか?オランダの天才学者フーリックの世界的名作ディー判事シリーズ。大室幹雄の解説、「放浪する知識人」を附して贈る。