1989年発売
広大な南極大陸の一角、ペンギン王国に未曾有の危機が迫っていた。ウェルダン将軍率いるアマゾネス放国軍が戦争をしかけてきたのだった。圧到的な軍事力にペンギン王国は全くなす術がなく、王女シュナ迄もがさらわれてしまう。アイスキャッスルは陥落寸前。しかし今、南極に勇者が立ち上がった。彼の名はペンギン王国王子、アンデル。そしてサスケ率いるペンギン忍者隊。アンデル達は、南極の守り神、神鯨モビィを目覚めさせ、仲間達を守る為に旅立つ。果してシュナを助けだし、南極大陸に平和を取り戻す事ができるだろうか?白き勇者の伝説が今、記されようとしていた。
11歳になる双子の兄妹が姿を消した。翌日には母親も…。捜査にのりだしたマイケル・ソーン警部補は、不思議な事実に突き当たった。犯人とおぼしき孤児院育ちの男には、双子の兄がいた。その兄というのが、失踪した母子のいまは亡き夫であり父親だった。この意味するところはいったい何か?もつれた糸をほぐそうとするソーンを尻目に、犯人は着々とたくらみをすすめていた。妄執に憑かれた男の狂気を描く深夜のミステリ。
全身の筋肉を硬直させて死に至らしめる恐るべき神経ガス〈マネキン〉-ドレグラー化学興業は新開発のこの化学兵器をネバダの工場から西海岸まで列車輸送することにした。イラク政府との密約に基づく計画だった。だが、それを察知したイラン人テロリストが列車に爆弾を仕掛ける。やがて爆発によって噴出したガスは、列車の乗員を、沿線の住民を次々と襲った。暴走する死の列車を阻むすべはあるのか?力作パニック・サスペンス。
風間カホ、15歳の夏、子持ちの中年画家・青木丈史に一目惚れ。なんとか画伯の気をひこうと夏休み、ベビーシッターをかってでた。だけどこの日吉丸、ぜんぜんカホになつかない。ことあるごとにママとくらべられる。エッ!?ママって確か死んだはず。「画伯〜ママって誰のことですか」画伯によると、画伯には婚約者がいる。けれど親の反対にあって彼女は家にとじ込められているという。大ショックのカホだったけれど涙をこらえて画伯のために愛のキューピッド。まってて日吉丸、ママにあわせてあげるから。
「愛し、愛される、これが理想である。ただし、同一人物について、という条件が必要だろう。」-淡い光と影のなかを揺れまどう若者たちの姿を描いたみずみずしい青春小説。原題のLe Grand ´Ecartとはバレー用語で「両脚を広げて床にぴたりとつけること」であるが、幼い少年が一人の青年へと成長していく暗喩にもなっている。
イスラム教徒の子に生れ、スペイン軍に故郷グラナダを追われ北アフリカに渡り、幻の都トンブクツーはじめ地中海世界を遍く旅し、海賊に捕われローマ法王の奴隷として旅行記を著し西欧人にアフリカ大陸を知らせた実在の大放浪者の波乱万丈の生涯を描く歴史ロマン。
戦国の騒乱も終焉を迎えようとする時、身一つで戦場を徘徊するひとりの男がいた。名を団八という。賎ガ岳の合戦で柴田勝家方の兵として参戦した事が、その男の一生を左右する事となるのだが…。時移り、徳川家康の慇懃自重の生き様が完結目前の大坂冬夏両陣の大坂方に、豪毅な戦国気風を色濃く残し武張った団八の姿があった。塙団右衛門直之である…。戦乱に生きた男の生涯を描く時代大長編。