1989年発売
博之は北から来る何かによって殺される……恐山のイタコである祖母サキの予言通り、東京のマンションで変死体で発見された。真相究明の依頼を受けた浅見光彦は呼び寄せられるように北への旅に出る。
生れる仔馬が牡馬でありますように。風の申し子のように速く、嵐みたいに烈しく、名馬の天命をたずさえて生れますように…。若者の祈りに応えて、北海道の小さな牧場に、1頭のサラブレッドが誕生した。オラシオン(祈り)と名づけられた仔馬は、緑と光の原野のなかで育ち、順調に競走馬への道を歩みはじめるが、それと共に、登場人物ひとりひとりの宿命的な劇が、幕を開けたー。吉川英治文学賞受賞。
母の肉は子の肉、子の骨は母の骨なり…。いのちの哀しさ尊さに突き当りながらも、虚無と喧噪のなかで人間の業から逃れられない男たち、女たち。だが、そういう彼らも、いつしかオラシオンの美しさ危うさに魅せられて一体化し、自らの愛と祈り、ついには運命そのものを賭けていった。やがて迎えるダービー決戦ー。圧倒的な感動を呼ぶサラブレッド・ロマン。吉川英治文学賞受賞。
不可能犯罪が4つある。ミステリーの原点がある。例えば…。嵐の夜、マンションの11階から姿を消した男が、13分後、走る電車に飛び込んで死ぬ。しかし全力疾走しても辿りつけない距離で、その首には絞殺痕もあった。男は殺されるために謎の移動をしたのか?不可能犯罪が4つある。推理する名探偵御手洗がいる。
「暗花十二拳」の謎にいどんだ「明月五拳」の使い手西行法師は、和歌地獄を脱出し、みちのく平泉で強敵闇王を倒した。だが西行はなおも北上、出羽三山から津軽をめざす。そこは闇の神社が星型に配され、黒帝と呼ばれる奥州の真の支配者を復活させようとしていた。息もつかせぬ死闘が迫力の歴史アクション第2弾。
コンピューター制御された西側防空システムに、もし何者かがウィルスを忍び込ませ、全てのデータを消してしまったらどうなるか。全米の核浜器を管理する安全装置PAL(指令作動式起爆装置)のコードがテロリストの手に渡ったとき、ワルシャワ同盟軍は無気味に動きはじめた。-現実に起こりうる戦慄を描く、ハイテク軍事サスペンス。
不動産業者の倉地は、沖縄・那覇で出会った青年山口を東京にさそい、就職の世話をする。山口の那覇での荒れた生活が気になったのだ。しかし半年後、山口は心中した。しかも相手が七十の老女!倉地にあてた長文の遺書は、青年のおどろくべき生活を赤裸々に告白していた…。単行本未収録作や放送劇を含む、鬼才の心中小説集。
山奥の旧家にひっそりと生きる沙霧。母親はある日、忽然と姿を消したという。一方、漁村の網元の家で働く自然児の沙霧。村に流れついた母親は10年前に世を去った。少女たちの心に恋が芽生えたとき、出生の秘密は明かされ、信じがたい運命が2人を結びつける。北国の自然を背景に、秘められた宿命の絆と幼い恋の行くえを綴る哀切の長編ロマン。
「墓場の踊り手」の異名をもつアレクサンドル・サンジェルマン。表の顔はフランスきっての裕福な投資家だ。センスのよい服に身を包んだハンサムでスマートな外見からは、裏の顔をかいま見ることもできない。だが実は世界的な犯罪組織「ミッドナイト・クラブ」の大ボスだった。妻を殺され不具にされた車椅子の警部補との対決の時は迫るー。
伝奇小説の傑作。青年大名・忠輝と秀頼の秘事。凛々しく成長した忠輝を狙う将軍秀忠と柳生宗矩、さらに藤堂高虎らの一隊。伊達政宗・大久保長安らの防衛と自由を求める人々の死を恐れぬ熱い献身。
青山の喫茶店『オルフェ』に入った探偵作家・雨宮鏡介は、店内の様子がいつもと違うのに気がついた。客の目がまったくまばたきをしないし、唇も動かしていないのに話声が聞えてくるではないか-。恐怖のあまり店を飛び出し、自宅に辿りついた鏡介の前に、昨年、A湖畔で死んだ恋人の香西育江が姿を現わし、思いもよらぬことを告げる。死者の国・霊界に踏みこんだ男の異常な体験と不可解な殺人事件を描く、奇想天外な長編ミステリー。
この頃、お江戸に流行るもの地震、大水、船幽霊 退治したくば、飛鳥にござれ 花の下なる、平将門 この奇妙な張り紙が、隼新八郎を窮地に陥れる、血なまぐさい事件の発端になった。…江戸に跳梁する海賊の正体は?