1990年5月発売
清河八郎らによる浪士組の結成、近藤勇・芹沢鴨の抗争名高い池田屋の討入りから鳥羽伏見の敗走、そして箱館での土方歳三の壮絶な最期まで。鮮烈な興亡の歴史をたどる決定版集成。
ここに扱われている薔薇は、おおむね狂気と死との彩りであって、その香りは苦く、色彩はむしろ幻覚に近い。薔薇への偏愛がいざなう、神秘にみちた薔薇園の迷宮…秘密の花園では少年も私もこの世のものではなくなり、牧神や聖女は現実となる…妖しく甘美な色彩と芳香にひそむ死と幻想と耽美の世界に仕掛けられた薔薇の罠。名作『虚無への供物』の作者の、薔薇ミステリー集大成。妖しく薫る12の薔薇奇譚。
雑誌のルポライター加藤悦子が六本木の自宅マンションで、自殺を装って毒殺された。警視庁捜査一課の北条千里刑事官は、悦子が狙っていた特ダネの内容を探る始める。その頃、別府と姫路で六本木の殺しと同一犯人の仕業と思われる殺人事件が発生した。被害者はいずれも医師で、20年前に行われた体外受精治療に接点があった。北条たち特捜本部は、治療を受けた会社員・瀬川夫婦とその娘朝香に事情を聞き、現代医療の先端を迫って悦子が掴んでいた驚くべき事実に突き当たった。だが、後手に回る警察を嘲笑うかのように、第四の殺人がー。
薄れゆく下町人情、女と男の粋。蘇る昭和の面影に郷愁が馳せる。平成の夜明けを前に、昭和を哀しくも毅然と生きる料亭の女将と、見守り続ける男の姿を描いた本書初収録の表題作『ぐい呑み』ほか、人情の機微が興趣深い珠玉の自選短篇集。
若い女性の間でブームの古代裂れ-織物業界の5人の実力者、大山紫舟、細川幻花、沢泉、堀内秀、浅井次郎はルーツを求めてバリ島へ…。古代裂れに熱中しているキャサリンも恋人浜口一郎と同行した。ところが、異国情緒にひたる間もなく、幻花がバリ織りのスカーフで絞殺された。つづいて、ケチャックダンスを観賞中、第二の殺人。さらに、予定を繰り上げ京都に戻った一行に第三の惨劇が起こる!欲望、嫉妬、複雑な人間関係うずまく特異な世界での事件が意味するものは?神秘の島バリ島と京都を結ぶ連続殺人-名探偵キャサリンが密室トリックに挑んだ本格長編推理の傑作。
源義経の秘宝を狙う宝探し屋・橋爪竜助を、奇怪な妖魔と屍の群れが襲撃!念法の達人・工藤明彦は妖魔に攫われた橋爪の妻・千冬を追う。しかし、そこには八百年間、秘宝を守ってきた魔道士ピエール・ギャストの地獄の罠が。一方、巨大企業「霧島エンタープライズ」の特殊任務担当セクション「渉外部」部長・由比も、凄奇な能力をもつ部下たちを使い工藤たちに、そして秘宝に迫る。愛刀「阿修羅」を使えない工藤は絶対絶命-。そのとき、「妖魔」シリーズ最大の構想、最高の迫力、最強のエロスの全3巻「妖魔淫獄」。著者のエネルギーとアイディアのありったけを叩きこんだ熱望の第2弾。
カタカナ商売してる人間が、誰でもリッチで優雅な生活してるか、つーと、そうでもない。たとえば藤森扇子クン、26歳、独身のフリーランス・ライター。美人で酒飲み遊び好きで、稼いだはしからオカネつかっちゃう。だからいまだにオンボロのアパート住まい。という彼女の部屋に「あなたの娘です!」と言い張る子供が、現われて…。長編ファンタジック小説。
性に歓びを感じない岩見絵津子は、レッド・ウイドウ相談室の赤垣美晴にカウンセリングを依頼した。美晴は警視庁特別秘密捜査官。二十余年前の轢き逃げ事件に秘められた謎が、若い絵津子に暗い影を落としていると知って、愛用の拳銃片手に事件糾明に乗り出す。ますます快調の“赤い闇の未亡人”シリーズ、書下ろし第6弾。
市民の全員に「役に立つこと」を強要している街。泥棒さえ必要とされ、いやいや泥棒をやっている人間も、そんな所に、何の役にも立たない宇宙人がやってきた。食い意地ははってるわ、トイレは汚すわ、超能力なんかまるでなさそう。だけど何がか憎めない。画期的キャラクターと市民たちの大騒動を描くSFコメディ。
藤堂新一は10年前、亡父から引き継いだ事業が困窮のどん底にあり、窃盗を働いた。藤堂の代わりに誤認逮捕された男がなぜか犯行を自供、そして服役。事業が順調に軌道に乗った今、藤堂はその男に償おうと接近を計った。男はなぜ冤罪を主張しなかったのか?-巧妙なアリバイの罠と結末の意外性、書下ろし力作。
21世紀後半、人類は深宇宙に次々と植民地を開拓。一方、地球は、人口爆発、貧富格差、自然破壊…と、破滅の危機に瀕していた。この難局打開の方策として、地球人首脳は宇宙植民地をスケープゴートに仕立てた。宇宙移住者はこれに反発。火星と木星の軌道間に連なる小惑星帯で独立戦争が勃発した。-連続ブースト反作用エンジン、ホロビジョン、反物質爆弾…。日系天文物理学者が描く1世紀後の世界。好評四部作第2弾。
フランシスの独身さよならパーティ。独身最後の夜を男たちだけで楽しもうというわけだ。フランシスの婚約者ジョージーと姉のヘンリエッタは、はりぼてのケーキの中から飛び出して会場を驚かせようと息をひそめていた。1,2,3!ケーキの中から出た2人。ジョージーはフランシスの腕の中に、そしてヘンリエッタは、見たこともないほど青い目をした男のたくましい胸に抱かれ、熱いキスを受けていた-。
12年ぶりの故郷、カーメル。燦々と輝く太陽に心が安まる。その陽射しを浴びる長い脚…。見とれるケイトに、脚の持ち主が微笑みかけた。「ニック!」なつかしさに、ケイトは彼に抱きついた。幼なじみのニック。いつも私を優しく見守ってくれた人。しかし、目の前のニックは以前のやせた少年ではない。たくましい大人の体躯に、ケイトの胸はときめいた。
19世紀のイギリス。暗闇から聞こえてくる男たちの声に、ミルボーン卿の娘サルリーナは耳を澄ました。ジョージ皇太子の暗殺-。暗殺の舞台となるのはカールトン・ハウス。イギリスの最大の敵であるフランス皇帝、ナポレオン・ボナパルトの策略に違いない。いったいどうすれば…。気がつくと、サルリーナは、豪奢なフリートウッド伯爵の館の前に立っていた。
マイケルとナンシーは、ハーヴァード大学でいちばんハッピーな恋人たち。マイケルは建築家をめざし、ナンシーは暗い過去をのりこえて絵にめぐりあい、それぞれの勉強に励んでいた。ふたりの未来はなんの曇りもなく、愛の約束は永遠につづくように思えた。そして、結婚式の日…あの事故がおきた。ふたりを分かつ死よりも恐ろしい事故が。その日からすべてが変わり、ふたりはまったく別の人生を歩きはじめた。そして…。人を愛したことのある人すべてに、ダニエル・スティールが贈るラブ・ストーリィ。
出世を夢見て二本松城下から江戸入りした二人の若侍国枝喬太郎と高力信吾が、浅草奥山の見世物やれつけ小屋で、示源流動場主阿弥亀九郎、師範代進藤典膳らの一行に難くせをつけられた危ういところを、南蛮秘薬のねむり粉を撒いて助けてくれたのは、小唄師匠のお艶とその手先の仙太郎であった。日本橋の丸見屋伝兵衛から借りた二十両の返済を迫られ困っているお艶を救うべく、喬太郎は仙太郎とともに賭場に出かけたが博奕に負けてしまった。喬太郎はそこで浪人小山田陣十郎と出会った。徳川を倒す陰謀をめぐらす怪人物が乗っている回天丸に陣十郎に案内されていった喬太郎の運命は。一方、信吾は長屋でおきよと過ごしていたが、阿弥道場の面々に可憐なおきよを暴力をもって奪い去られていた。