1990年6月発売
大松学園、別名〈体罰学園〉。すぐ竹刀を振りまわしたがる体育教師〈毛ガニ〉や、見るからに冷酷そうな数学の〈ヘビ・メタ〉なんかがニラミをきかせてる。事情あって転校してきた風美だけど、やっぱ学校の陰険なやり方には負けたくない。いろいろ抵抗ってもみるんだけど、他の生徒は冷たく見るだけなんだ。でも元マル族の頭で今はサッカーに熱中している哲也と同級生の恵子が味方になってくれて…。
亜夢は高校2年だが、1人でアパート暮らしをしている。その目的は、夢子さんを深し出すため。夢子さんとは死んだと聞かされいる母、でも亜夢にはどうしても、生きているように思える。親友の理津子は得意の占いで協力してくれてる。そんなある日、ケンカを目撃、亜夢は特技のカラテで思いもかけぬ助だちをし、俊介と知り合うことになった。ところが彼は、野本組の3代目だった。
「宮内に関わるな、死ぬ」-深夜にあたし(仙子)の家にかかってきた不気味な電話。宮内って何者?誰かがお兄ちゃんを狙っているの?透仙お兄ちゃん、青葉、恋人の温海さんと、捜査に乗りだしたあたしだけど、宮内家って何やらいわくありげな総合病院の経営者。お兄ちゃんはそこで家庭教師のアルバイトをすることになった。そして薔子さんという、運命の恋人と出会ったの…。
写真部の高橋ゆかりは、たえずファインダーを覗き続ける女の子、それも馬術部の伊東弘士の姿だけを追って…。すでにプリントだけで1500枚はある。父がプロ・カメラマンなので、写真部の中では特異な存在だ。弘士の妹・花菜子とは幼なじみで一番の友人であり、母どうしも仲がいい。しかし、ゆかりが馬術部に自由に出入りするようになっても、弘士とふたりでデートすることがなかった。
聖中バスケ部のゴールデンコンビ、小さな拓実先輩とデカイ体の土橋クンは、全国大会をめざして猛練習中。純情ボーイの恋と青春物語。ノベル大賞受賞作家の文庫デビュー。
“夫殺し”の起訴事実を、すべて認めた被告弓丘奈緒子。執拗に無実を主張する原島保弁護士。犯行に使われたと思われる柳刃包丁を買ったのは奈緒子だ、と認める証人。殺された夫には愛人がいた。離婚話もあって…状況は被告不利に傾むいてゆく。だが、裁判の進行につれて明らかになる秘められた意外な真実とは。人間の心の気高さを謳いあげる感動の長編法廷ミステリー。第41回推理作家協会新人賞受賞作。
和服の似合う、旅館“花野屋”の若女将高城志帆《25歳》。名門日本自動車の名スタンド・オフ川越冬樹《29歳》。さまざまな障害のなか、ひたむきに生きる女とスポーツにすべてを燃焼させる男との織りなす愛の行方は?名古屋と伊豆奥湯河原を舞台に、流麗な筆致で描く書き下し感動ロマン長編。
剣道場を経営し、政治結社・土佐草志塾を開いていた鈍川竜平が、出征から高知市へ帰還したとき、家も妻も塾生も白館貴思雄に奪われていた。そして、長男の真逸郎は行方不明…。やがて、父と子は再会するが、竜平は失意のうちに白館の手下に殺される。真逸郎は父の無念を晴らすべく、白館に復讐を誓うが…。高らかに男のロマンを謳う書き下ろし意欲作。
西暦2050年。母なる星・太陽から人類への〈警告〉が下された。太陽が突然膨張を始め、その荒れ狂う熱と磁気と放射線の牙は、容赦なくわれわれが住む地球に襲いかかり大地を焦がす。地球蒸発の危機がきたのか。人類は最期のミッションを敢行しなければならない。病める太陽の患部に反物質爆弾を撃ち込むのだ。巨大爆弾を積んで宇宙船ヘリオスが太陽に向かう…。
都会を捨てた一家が静かな高原で営むペンション〈モーツァルト荘〉。ラジカセのロックで踊り狂い、奇妙な忘れものを残していく若夫婦、駆け落ちカップルを囲む不思議な晩餐会、月夜に前庭で舞う裸婦、そしてクリスマス・イブに化けて出るのは狐?四季折々、訪れる老若男女が起こしていく事件ともいえない波紋の数々-。彼らが奏でる人生の協奏曲を円熟の筆で伝える連作小説集。
昇進したてのパーサーはバイク通勤の過激ギャル、新入りスチュワーデスはワンレン、ボディコンの新人類、さらに地獄の特訓をパスしたばかりの男子客室乗務訓練生が加わって、今日のフライトはロンドン直行便。悪ガキどの客も乗せて、極東航空のジャンボは成田を飛び立った。雲の上では何かが起きる。国際線乗務員の汗と涙をユーモラスに描くご存じ「スチュワーデス物語」特別編。
チーフのカーニー以下、敏腕調査員オバノン、元ボクサーの黒人ヘスリップ、新人ラリーら、DKA=ダン・カーニー探偵事務所の面々が直面した様々な事件ー令嬢を死に追いやった「メイフィールド事件」、ヒッピーのメッカで麻薬売人を追う「ページ通りの張りこみ」、大金と共に消えた男を探す「ペドレッティ事件」などDKAファイルに記された11のケースを集めたハードボイルド短編集。
弁護士は喉を掻き切られ、デスクに突っ伏して死んでいた。わたしは急いでキャビネットを探り、関係書類を宿泊中のホテルに持ち帰った。そもそも、昔の恋人カールの依頼など受けなければよかったのだ。だが養子にしたメキシコ人の子供を返せと脅迫をうけている、といって泣きついてきたカールをむげに追い返すわけにもいかなった。わたしは交通違反や離婚訴訟の弁護を放り出し、養子を斡旋した弁護士に会いに、アルバカーキからメキシコ国境ぞいの町に飛んだ。ところが、養子斡旋の際の事情に精通しているはずの弁護士は、詳しい話を聞く前に殺されてしまった。芯が強く、助けを求めてくる者を捨ててはおけないアルバカーキの女弁護士ニール・ハメル初登場。
暴力とセックスに彩られた“私立探偵バート・スティール”のシリーズ最新作は、物議をかもすこと必定だった。会社の金を横領したハリウッドの大物プロデューサーをモデルにした暴露小説だったのである。案の定、原稿の存在が明らかになるや、作者のウェルドンは車ごと道路から追い落とされそうになり、何者かに狙撃された。排優業のあいまに探偵稼業で食いつなぐサクソンがウェルドンの護衛を引き受けることになった。サクソンは、大物プロデューサーやウェルドンの友人たちの周囲を調べ始めた。だが、彼の調査を嘲るかのように、再びウェルドンに危機が…。虚栄の街ハリウッドを舞台に排優兼探偵のサクソンが真犯人を追う。第1回私立探偵小説コンテスト第1席。