1991年5月1日発売
クリスマスの季節を迎え、出来の悪い生徒たちに慈悲の精神を教えるには、どうすればいいのかしら?英語教師アマンダは、ホームレスの人たちを招くクリスマス・パーティーを思いついた。ところが、生徒の親で、慈善家として名高い大物実業家クローセンが、その会場として自宅を提供すると宣言したものだから、パーティーはアマンダの意に反し、とても派手なものとなりそうな予感がしてきた。ことの成り行きに不安を感じながらも、アマンダは発案者として準備に奔走する。ところが、パーティー当夜、クローセンの屋敷が火事に見舞われ、焼け跡から主人の黒焦げの撲殺体が発見された。しかも、容疑が教え子でもあるクローセンの娘にかかったとあっては、アマンダとしてもほうってはおけない。恋人の若手刑事が制止するのもなんのその、ふたたび馴れない探偵となって…。美人教師が恋と推理に大活躍する好評シリーズ第二弾。
サイズには、皮肉としか思えなかった。テキサス・ギャングのボス、ペコス・ジミーには、幼なじみのよしみで、これまで右腕としてさんざん尽くしてきた。その自分が、ジミーから刺客を差し向けられることになろうとは…。きっかけは、ジミーが犯してきたかずかずの不法行為を暴こうとするFBIの調査だった。サイズは重要な証人として大陪審に召喚され、その結果、自分に不利な証言をされることを恐れたジミーから命を狙われる羽目になったのだ。俺が幼なじみの親友を裏切るとでも思ったのか?自分の身代りに友人まで殺されたサイズは、復讐の念を胸に、ペコス・ジミーが大きな麻薬取引きをする予定になっているヴェガスへと飛んだ。はたして、ギャンブルの街ヴェガスでサイズがジミーに仕掛けた罠とは?暗黒街の掟に翻弄される男の愛と野望、友情と裏切りをリアルなタッチで描き切ったクライム・ノヴェル。
機略縦横、神出鬼没、絶世の美女に甘い恋をささやきながら狙った宝は断じて逃さない。それが、異星人コーサリイの支配下にある銀河貴族社会で、ひときわ人気の高い《公認盗賊》ドレイク・マイジストラルだ。だがこの快盗でさえ、今回の獲物には手こずっていたー。銀河帝国の命運を左右する究極の“秘宝”を盗みだすというのだから。全宇宙が注視する中で、虚々実々の駆引きの幕は切って落とされた…。シリーズ開幕篇。
地球上空に忽然と出現した小惑星〈ストーン〉-。未来の地球人がつくったこの巨大な恒星船の内部には、ハイテク都市ばかりか、さらに地球人の想像を絶する秘密がひそんでいた。無限へと通じる超空間通廊〈道〉が発見されたのである。この〈道〉が異星人ジャルトの侵略をはばむために閉鎖されてから40年の歳月が流れた。荒廃した地球と〈ストーン〉、そして〈道〉で、いままた新たなる壮大無比の物語がその幕をあける。
復興をめざす地球と〈ストーン〉の対立が深刻化するなか、かつて〈道〉の彼方に消えたロシア人将校が地球に現れた。その目的は?異星人ジャルトの真意はどこに?〈道〉の神秘を解明すべく、おのれの身を捧げた天才科学者パトリシアの運命は?そして無限の時空をつらぬく〈道〉の再結合は宇宙と人類にどんな運命をもたらすのか?人気作家ベアが前作『永劫』を遥かに上まわるスケールではなつ、ファン待望の続篇登場。
〈闇の子〉ザンドラマスにあと1歩というところまで追いついたガリオン一行。その彼らに再びマロリー皇帝ザカーズの魔手がせまっていた。だが、ガリオンたちにとって幸運だったのは、旧知の仲間たちがザカーズに対抗すべく策を弄してくれていることだった。しかも、一度はザンドラマスによって破棄された『アシャバの神託』だったが、実はその写しがひとつだけあることが判明。そして、その所有者までつきとめたが…。
傘だけのキノコのような形をして黄金色の柔毛に覆われたスロウリイには、目も鼻も耳もない。だがひと月にわずか1センチかそこら南のほうに這い進むスロウリイにこの星の子供たちは願い事をかなえる力があると信じていた。そのスロウリイの一匹が高速道路のために撤去されようとしている。撤去されたスロウリイは一匹たりとも生存していないのだ…。異星の生物を救おうとする少女とその祖母を描く表題作他、6篇を収録。
悪の源・宇宙海賊を一掃しようという太陽圏連合の次期首長候補アーマデュークが、火星の無法都市サベイジを訪れた。海賊王・〓@5FE5冥と対決しようというのだ。その護衛と案内をおおせつかったのが宇宙海賊課刑事のアプロとラテル。だが、護るべきアーマデュークは偽者だった。本物はいったいどこに?はたしてこれは海賊のしわざなのか?-黒ネコ型宇宙人アプロと、相棒のラテルが騒やかに繰りひろげるシリーズ第3弾。
パリに現われたロシア人の少年は医師たちを驚かせた。少年は驚異的な筋力と知力を備え、しかも急速に老化する遺伝病に冒されていて、わずか八歳なのに老人の顔をしていたからだ。どうしてこんな少年が生まれ、なぜ死をもたらす奇病に冒されたのか?謎に挑む生化学者マリガンと遺伝学者セヤンは、いつしか産軍複合体の非情な策謀に巻き込まれていくー。最先端の科学情報を駆使し、遺伝子工学の陥穽を描く医学スリラー。
ソ連のイスラム系共和国の各地で反体制民族運動が激化しつつあった。このまま闘争が広がれば、ソ連は崩壊する。危機感をつのらせた保守派のKGB議長フョードロフは、独断で反体制の波を鎮める策略をめぐらし始める。そんな折、CIAが進める超能力研究の関係者が何者かに殺害されるという事件が起きた。研究の責任者ベニントンは即座に事件の調査を開始する。-やがて、世界を揺るがす陰謀に巻き込まれるとも知らずに…。
フョードロフの計画は恐るべきものだった。まず、過激なイスラム教徒の犯行に見せかけた対米テロ事件を引き起こす。次いで米大統領の感情を操り、テロ事件に対して過剰反応を取らせる。そして、ソ連国内のイスラム系住民の鉾先をアメリカに向けさせようというのだ。計画はついに実行に移された。一方、ソ連の陰謀を知ったベニントンは、危機回避に全力を注ぐが…。『第五の騎手』の共著者が放つ戦慄のサスペンス巨篇。
KGBの命を受けて破壊活動を繰り返すテロリスト、フランク・バリイ。彼の暗殺を決意した英国情報部は、その実行者にバリイのIRA時代の戦友ブロスナンを選ぶ。だが彼はフランスの警官射殺の罪により、絶海の孤島で終身刑に服していた。釈放を条件に暗殺を請け負わせるべく、情報部IRAを引退したリーアム・デヴリンにブロスナンの説得を依頼するが…。『鷲は舞い降りた』のデヴリンが再び活躍するヒギンズの傑作長篇。
動物が重要な役割を果たす物語は3000年前も今も同じくらい好まれている。したがって、ミステリ作家たちが動物にある種の愛着を感じ、彼らが登場する物語をたくさん書いたとしても不思議はない。犬、猫、鳥、ハムスター、蛇…。自らも大の犬好きで知られる女性作家パレツキーが、さまざまな語り口の多様な動物観と多岐にわたる短篇形式の精華を、膨大な作品郡の中から選び抜いた、動物好きには読み逃せないアンソロジー。
クリスマスを控えてにぎわうマンハッタンに爆破事件が続発した。政治テロか?狂気の無差別殺人か?警察の必死の捜査を嘲笑うかのように犯人は爆破予告を送りつけ、次々と実行に移してゆく。街は恐怖に怯え、マスコミは〈クリスマス爆破魔〉と呼んで騒ぎ立てた。遅々として進まぬ捜査に、責任者のカウフマン警視はしだいに苦しい立場に追いこまれて行くが…。息もつかせぬスリルが横溢する大型警察小説シリーズ第二弾。
人気TVキャスターのエドワード・カーンが妻殺しの容疑で告発された。彼は強く犯行を否定したものの、数々の不利な情況証拠を前に、なぜかいっさいの証言を拒否していた。その心中にあるものとは?そして、彼を裁く立場に立った陪審員たちの揺れ動く心が下した評決とは…。英国推理作家協会賞ゴールド・ダガーを受賞した緊迫感溢れる法延ミステリの傑作。
10の短篇の主人公は、チェコ出身、容姿端麗、頭脳明晰、お色気過剰とおせっかいが玉にキズ、のイヴ・アダム嬢。国営の芸能エージェントとの契約によって、世界をまわって巡業することになったナイトクラブ歌手だ。なぜか行く先々で犯罪にまきこまれてしまう彼女は、そのたびにブロンドの髪に包まれた灰色の脳細胞をうごめかして事件を解決していく。古典のパロディあり、パスティーシュあり、ゲーム的興趣を満載して、チェコの文豪が贈る痛快連作集。
茶色の目と髪、いつも地味な服を着ているサリー・ポーターは、ニューヨークで働くごく平凡なウエイトレス。だが、彼女には人に言えない悩みがあった。子供のときから、ときどき記憶喪失におちいるのである。それが原因で仕事も長続きせず、結婚も破局をむかえた。じつはサリーの心のなかには、あと四つの人格がすんでいたのだ-。サリーに起こったことはなんでも知っているブロンドで青い目の楽天家デリー、長い黒髪の教養あふれる画家のノラ、赤毛でいつも厚化粧、歌やダンスが得意で女優志望のベラ、すべての男を憎んでいる乱暴者、黒い服しか着ないジンクス。サリーは自分に耐えられない事件にでくわすと、無意識のうちにこの四つの人格にスイッチしてしまう。それがサリーの記憶喪失の原因だったのだ。ある事件のため、病院に運びこまれたサリーは長年にわたる記憶喪失の悩みをついにうちあけ、精神科医ロジャーの治療を受けるのだが…。ネビュラ賞受賞作『アルジューノンに花束を』であらゆる読者を魅了したキイスが、五重人格のサリー・ポーターの心の軌跡を鮮やかに描く傑作長篇。
ワシントン郊外のみすぼらしい小屋に、人の過去を見とおし、病をなおす説教師がいる-そんな噂を聞きつけて、ホーキンズ大統領夫妻は、謎めいたブラザー・クリストスを別荘に招いた。血友病の息子ジョージがなおるかもしれないという期待があったからだ。その矢先、ジョージが脚を切り、傷口から血が止めどなく流れだした。だが、クリストスが触れるだけで、出血は嘘のようにとまってしまったのだ。クリストスの神秘的な力に魅了された大統領は、やがて政策の決定にまでクリストスの意見を求めはじめる。一躍ワシントンの寵児となり、近づく女たちとつぎつぎに関係をもっていくクリストス。そんな事態に危機感を抱いたホワイトハウスのスタッフは、クリストスの暗殺を決意するが…。稀代のストーリーテラーが、権力の中枢を舞台に繰り広げる聖と肉欲のサスペンス大作。全米で二百万部を売った大ベストセラー。