1991年発売
物語は、17歳の多感な若者マイケル・デヴリンが、アメリカ南部の基地の町ペンサコーラ(フロリダ)で体験するさまざまな事件を中心に繰り広げられる。童貞でブルックリンしか知らない主人公が、色々な人間との出会いから徐々に人生とアメリカの現実に目覚めていくのだ。なかでも、身震いするようなエロティックな世界へ誘ってくれた謎の年上の女イーデン・サンタナとの出会いは、マイケルにとって決定的なものとなっていった…。アメリカの伝統的な青春小説の系統に連なる、ピート・ハミルの最新作。
本選集は日本推理作家協会が、1990年に雑誌等に発表された夥しい短篇推理小説から、すぐれた19篇の傑作を選出して、推理小説界とSF界の1990年の展望と共に収録した代表作アンソロジー「決定版推理小説年鑑」です。
極秘開発中だった特殊戦闘ヘリコプターが奪取され、その行方を追う巨大な機関と、それを妨害する謎の組織。この二大組織の陰謀で父母を惨殺された美少女・美里は、仇と狙う両方の頭目を追って、壮絶な闘いの渦へー。一方、彼女を守って、大市街戦の只中へ躍り出たのは、かの伝説の英雄・矢沢高雄。
大手スーパー「ドライブ」が狙う、次の標的は中堅の「白梅」。社長の二本柳太郎は、ニヒルな男・平尾剛に密命を下した。手段を選ばず、どんなことをしてでも乗っ取れ!スーパーマーケット戦争が始まった。生きるか喰われるか、攻めるものと守るものの虚々実々の駈け引き、激烈な舞台裏を描いた経済小説。
猿沢秀彦、古丹神人、比嘉隆晶、遠田宗春のジャズ・カルテットが、ハリウッド・ジャズ・フェスティバルに招かれた。が、宿泊先のモーテルで米人女性が殺され、猿沢が逮捕される。被害者の夫には恐るべき過去が。4人の超能力者は復讐鬼との死闘に臨む。『般若』の能力を生まれ持つ猿沢の思念が冴える。
昭和11年2月26日の未明、大雪の東京で陸軍皇道派青年将校が約1400名の兵を率いて「昭和維新」をめざすクーデターを決行。首相・陸相官邸・警視庁へ殺到した蹶起部隊と対峙する警察当局は…。国家の危機のさなか、要人警護に身命を賭し、重臣の盾となった警察官の苛烈な命運を描く。
恋人を京都駅に見送りに来ていて知り合ったOLふたり。麻子は結婚を切望してその資金作りに躍起。そしてまゆみは不倫の恋の相手と別れ話の最中にある。お互い順調に進まぬ恋に悩みながら株に走るが、やがて奇怪な殺人事件が相次ぎ、ふたりは疑惑の渦中に…。株ブームと推理を融合させた好長編。
「あなたが父を殺した。なぜ、なぜ行かせたんです?教えてください」少年の声は歓呼にかき消されていた。人人は立ち上がって、喝采を送りつづけている。だが、少年は2度と昔の彼に戻ることはないのだ。-湾岸戦争の「大勝利」に酔う先進諸国の読者に贈る、汚い台所を描いた傑作戦争小説。
神はいかなる過ちを罰するために中東の地に資源を、そしてその地の人民に悲惨な運命を与え給うたのか。エリトリアで起きた戦争は内乱寸前のソ連、経済破綻に喘ぐ米国、石油ショックの日本にリンケージして、世界大戦へと突き進んでいく…。大佐フォーガティは無言で死地に向かって旅立っていった。
孤独の彼方の一筋の光のごとき夢…。都会の片隅、一人の若い女性の心の中にひっそりと咲く夢を描き、ひとのかたちとひとの棲む此の世のかたちを清澄な筆致で確実に捉える純文学連作長編小説。
一枚の絵のために祖国ロシアを追放された画家バラノフ。ヒトラーのドイツからも追われアメリカに渡るが…亡命生活を送る画家の悲哀を描く「緑色の裸婦」他六編。第二次大戦から冷戦へ。時代を読みながら、芸術家、中年夫婦、若者たちのすがたをドラマチックな構成力としゃれた語り口で活写するショーの傑作短編集。