1991年発売
1998年7月12日、オーストラリアの国立天文台では、銀河系の外、はるか140万光年のかなたに、異常な速さで地球から遠ざかっている不思議な光を発見した。同じころ中東の小国、イズミール王国でも、“ツイン・ピラミッド”と呼ばれる遺跡が突然に高い電磁エネルギーを発するという異変が起きていた。考古学者を中心にさっそく遺跡の調査が進められたが、一方、米国のCIAもまたこのエネルギーを手に入れようと画策していた。これら二つの無気味な異常現象の正体は、いったい何なのか。
ガド王の愛娘、リス姫に変身の呪いをかけたエグゼ。存在の知れぬこの大魔法師を見つけ出すには、アルヌ大陸を統一しなければならないー。悲劇の誕生から十六年の歳月が流れ、リラ姫が真実を知る時も迫りつつある。各王国はそれぞれの思惑を秘め動き出し、山、草の両王国軍の血戦の火蓋も“獅子ヶ原”で切られんとしていた。一方、シャルの一行は旅の目的地である、海の王国に到着した。龍宮城のような宮殿の主、フラーヌ女王にガド王からの親書を届ける時がついにやってきた…。
メシアの謎を追い、ついにOWLのハンク・シュミットが、愛美の前に姿を現した。キメラの情報の代償にハンクからメシアの動きを聞こうとする海渡だったが、ハンクの口から語られたのは、驚くべき事実だった。一方、五百はミラの腕の調査を生物学者の春本に依頼し、キメラの秘密を探ろうとするが、ミラの腕を狙って、ハンクとヒッサーの激闘が始まった。地獄さながらの両者の対決の行方は…。また、声紋から一馬の正体を知ったらしいメシアの“神”が、ついに動き始めていた。
大砲をぶっ放したり放火をしたり、餓鬼の頃から波天荒。13歳のときすでに、いっぱしの繭買入業者となり、日露戦争を挾んで繭の思惑買いで大儲けをする。女遊びも半端じゃない。なんと妾を持ったのが21歳のとき。その後儲けた金で次々と事業を興し、34歳で史上最年少の代議士となった梅井草平の波瀾万丈の人生を描いた表題作ほか、事業欲性事欲ともに溢るる大胆不敵な“実録・男の人生”5編。
横須賀の朝、高台の洋館で女の死体が発見された。そして、米軍桟橋沖に沈んだワーゲンからは男の死体が…。無関係に思える2人は、ロシア製の拳銃で射殺されていた。公安警察の怪しい影が見え隠れする、この事件の極秘調査を命じられた県警捜査1課の刑事・二村永爾が、真相に辿り着くまでを描いた表題作のほか、女優脅迫事件を巡る二村の活躍を描く「陽のあたる大通り」を収録。
辺境の荒野に囲まれた〈螺旋の街〉。そこは貴重な鉱石パラサンサを採掘する男相手の歓楽街、女ばかりの街だった。ある時、予言者の孫娘カレンシアが街に逃げてきた。彼女は、パラサンサを独占して世界の支配を狙う「トリネキシア商会」の軍隊に追われていたのだった。街でたった一人の少年イェノムは彼女をかくまうが、トリネキシアの魔手は〈螺旋の街〉にも忍び寄っていた…。
時は戦国、嵐の時代、白い米と立身出世を夢見る村の若者たち。そんな中に、伊上家の内乱に足軽として参加した福助がいた。乱戦の最中、福助たちが捕えた三郎左という武士は、伊上家の宝の隠し場所を知っているという。その場所は、竜神の住む滝。ポルトガルから竜探しにきた新米騎士一行も加わって、福助たちの大冒険がはじまった。戦乱の時代を舞台に描く、宝探しファンタジー小説。
〈ゴールド航空アンド運輸〉の総帥ハーマン・ゴールドは、新型ジェット旅客機GC・909の開発に社運を賭ける。一方、朝鮮戦争で英雄となった息子のスティーブンはF・105を駆ってベトナムの戦場へと飛び立つ。そして今や、孫のロビーも空軍の戦闘機乗りとしての道を歩き始めた。…ベトナム戦争、中東戦争など激動の時代を背景に、3代にわたる空の男たちの波瀾の生き方を描く。
13歳の元気な女の子ジャッキーは、ブッシュベイビー(アフリカに住む小型のサル)のカマウと大の仲良し。父親の仕事が変り、一家は英国へ戻ることになったが、カマウを連れ帰って良いという大事な許可証が見当らない。カマウを1人ぼっちにはできない、生れ故郷に返さなきゃ。カンバ族の戦士テンボーと一緒に、アフリカの美しい自然の中、ジャッキーの冒険が始まったー。
1950年、ソ連領リトアニアのある地方に、アメリカ北東部に実在する街がそっくり再現された。電気製品も車もすべてアメリカ製で、英語しか話されないこの街で養成されたスパイたちは、やがて完全な「アメリカ人」となり、西側世界に潜入する。そして30年の後…。各国政府、大企業、そしてホワイト・ハウスの中枢に食い込んだスパイたちが展開する、世界的スケールの西側経済壊滅作戦。
もう少し早くめぐり逢っていれば-。互いにひかれあいながらも、すれ違う恋の予感。熱い抱擁のかわりに、スクリーンをみつめるだけの一夜。心を乱す『ナインハーフ』から旅立ちの『マンハッタン』まで、恋愛映画の醍醐味を全編にちりばめた、ロマンチックな大人の純愛。
家へ帰りたくない新婚のサラリーマンが深夜の電車で不思議な人物に出会う吉本ばななの「新婚さん」、電車に一匹の犬が乗りこんできたためにくりひろげられる光景を描く椎名誠の「ある日。」など、電車の中吊りに連載されて大評判になった8つの小説を絵入りで再現する楽しい超話題本。
パージェター夫人にとっては、拷問にもひとしい旅だった。ロンドンを発つ飛行機は遅れるし、パック旅行のメンバーときたら、つまらない冗談ばかりとばす男に、やかましい赤ん坊づれの家族、等々…。だが、それだけではすまなかった。目的地ギリシアの村に着くそうそう、一緒にパック旅行に参加していた親友ジョイスが一見自殺と思われる死をとげたのである。そもそも今回の旅行は、夫をなくしたばかりで落ち込んでいるジョイスを元気づけるのが目的で、酒びたりのジョイスは、いつ自殺してもおかしくはなかった。だが、手首を切るのに、手近にあるナイフを無視してわざわざウーゾの瓶を割り、その破片を使うだろうか?疑問を感じたパージェータ夫人は自殺説に固執する地元警察に対抗して独自の調査を開始した。人生をエンジョイする未亡人パージェター夫人が異国の地で起きた難事件に挑む、英国ミステリの好篇。