1992年12月発売
都内のアパートで若い女性の死体が発見された。情況は殺人だが、ドアも窓も内側からロックされている。密室殺人?ただちに警視庁から御存知八木沢警部補たちが出動する。物盗りの仕業ではなさそうだ。しかし被害者の人間関係を洗っても殺されるような動機はまったく見つからない。死体の胸元から平泉の絵葉書が発見される。ダイイングメッセージ?やがて第二の殺人が湯沢で起こる。そして第三の殺人が東京の夜の路上で…。被害者はいずれも若い女性、そして平泉の絵葉書が登場するのだった。
東京の高級住宅地・自由ヶ丘にマンション一棟を所有している29歳の笹岡夏美が自室で、下着もつけず裸同然の姿で殺された。その後千葉県市川市で中年の女性書家・木村初江が殺されているのをフリーライターの叶雅之が発見した。殺された二人は叔母姪の関係で犯人は同一と推測された。叶は事件のひと月ほど前、霧深い納沙布岬で偶然出会った女性に強く印象づけられていたが、その女性によく似たひとが被害者の身近におり、事件と何らかの関係があるように思われてならなかった。書き下ろし長編ミステリー。
ツアー旅行でオックスフォードを訪れたロース・ストラットンは、観光バスがホテルに着くとすぐに、夫をロビーに残したまま、部屋にあがった。はやく風呂にはいりたい。そうすれば、関節炎で痛む足もすこし楽になるかも…。しばらくして散歩からもどってきた夫は、裸のまま床に横たわる妻の死体を発見した。死因は心臓麻痺。だが、モース主任警部には腑に落ちない点があった。オックスフォードの博物館に寄贈するためローラがアメリカから携帯してきた高価な中世の装身具が、部屋から消失していたのだ。ルビーを填め込んだ黄金の装身具を盗みに入った者が、たまたま現場を目撃されてローラを殺害したとは考えられないだろうか?モースの疑念をさらに掻きたてるかのように、翌日、ツアー関係者のひとりが死体となって川面に浮かんだ。アメリカ人観光客と英国人ガイドたちの錯綜する証言をもとにモースが華麗な推理を展開するシリーズ最新作。
売れない純文学作家フレッドは一念発起、アメリカの土を踏んだ。ところがどう道をはずれたか、畑ちがいのコンピュータ会社に就職し、プログラマーにされてしまった。右も左もわからぬフレッドが命じられたのは、軍のためのAIロボット開発プロジェクト。かくて文科系人間フレッドは、人間も人工知能も右往左往する悪夢の悲喜劇に巻きこまれてゆく…。SF最後の鬼才スラデックがギャグと毒を満載して贈る抱腹絶倒の怪作。
いにしえより、魔力を持つ半神的種族デリニと人間との対立に揺れ動いてきたグウィネド王国。現在王国は、人間の王の統治下にあった。ところが、王が何者かに暗殺されてしまった。残されたのは弱冠14歳の王子ケルソン。父の王冠を継ぎ、その暗殺の真相をつきとめようとするケルソンだが、前途には思いもかけぬ邪悪な陰謀が待ち受けていた…。トールキン以後のファンタジイ・ブームの火つけ役となった人気シリーズ開幕。
数多くの傑作を世に送り出し、冒険小説の王者と称されたマクリーン。彼の唯一の短篇集である本書は、『女王陛下のユリシーズ号』を生み出すきっかけとなった記念すべき処女短篇「ディリーズ号」や、ドイツ海軍の誇る巨艦が撃沈されるまでの数日間を克明に再現した「戦艦ビスマルクの最期」、軽妙なショート・ショート「金時計」など、さまざまな角度から海と人間のドラマを描いた珠玉の14篇を収録。冒険小説ファン必読。