1992年3月発売
発端は、日本のブシドー精神の書物〈ハガクレ〉盗難事件の調査依頼だった。依頼人の態度は気に入らないが、白紙の小切手には魅力がある。早速、私立探偵コールは調査を開始するが、逆に依頼人の娘ミミが誘拐されてしまう。独自捜査を進めるうちに浮かんできた日系ヤクザの存在。ミミ誘拐の裏に隠された秘密とは?タフでクールな探偵コールが活躍するハードボイルド・シリーズ第二弾。
スペース・シャトルが謎の飛行物体によって爆破された。-これが戦慄の〈オメガ計画〉の烽火だった。アメリカ全土の経済と生活をコントロールするコンピュータの盲点を衝いて全情報を支配し、国家の転覆をはかる恐るべき計画。これを阻止すべく、ベトナム帰りの極秘情報機関〈ギャップ〉エージェント・マクラッケンは、単身で戦いを挑む。スーパー・ハードボイルドの新シリーズ。
港区海岸通りのアパートメントに住む25歳の作家-セイとササミの航海は、春の夜、始まった…恋人を想いながら過ごす日々に、家族と離れ友人に励まされながら働く日々に、自分を信じ続けるなら、きっとこの街は、ぼくらを裏切りはしない。東京を祖国に感じて暮らしている若者たちの青春を描いた、新しい世代の恋物語。
母親ダラが生前「ナタリーおばさん」と呼んでいた女性が殺害されたことに興味を持ったブリジットは、母親と親交のあった六人の人物を訪ねる。だが彼らの話を聞いていくうちに興味の中心は母親の生涯へと傾斜してゆく。-ダラはユーゴにチトーが凱旋してくる前夜に国を捨てた政治亡命者だった。混迷の時代を生きなければならなかった女性の過酷な生を慈しみをこめて描く長編。
病弱で生意気な美少女つぐみ。彼女と育った海辺の小さな町へ帰省した夏、まだ淡い夜のはじまりに、つぐみと私は、ふるさとの最後のひと夏をともにする少年に出会ったー。少女から大人へと移りゆく季節の、二度とかえらないきらめきを描く、切なく透明な物語。第2回山本周五郎賞受賞。
迷彩服に身をつつみ、偽物の拳銃を手にして森林のなかで実戦さながらの戦闘をくりひろげる戦争ゲーム。その最中に、ひとりの若者が実弾をうけて死亡した。ちかくの山で鹿狩りをしていたハンターの流れ弾が命中したのか?調査員を引退したブランドステッターは、恋人のセシルから事故の件を知らされた。それによると、死亡したのはセシルの勤め先のテレビ局にいたヴォーンという若者で、人種差別主義者であったという。当然、敵も多く、そのうちのひとりに殺されたということも大いに考えられた。しかも、ブランドステッターが調査を開始してみると、ヴォーンと同棲していた女性が、事故の直後に自分の幼い息子をつれてどこかへ姿を消していることが判明した。彼女はなぜ逃げるように去ったのか?そして、どこへ?アメリカ社会にはびこる人種差別の実態を、ホモセクシュアルの調査員ブランドステッターが鋭く抉る問題作!
人類が夢みていた月世界への旅がついに現実のものになろうとしていた。砂漠に建設されたロケット打揚げ基地ルナ・シティから、宇宙船プロメテウス号が発射されるのだ。この史上初めての壮大なプロジェクトを成功させるべく、世界各国から選抜された乗組員たちは、厳しい訓練をかさねてきた。その苦労がようやく報われようとしていたのだが。果てしない宇宙と未来に賭ける人々の夢を鮮やかに描く巨匠クラークの処女長篇。
ひとりのOLの不機嫌な感情が家族から、周りにいる人、そして日本中の人びとにまで伝染していってしまう表題作ほか、大好きなボーイフレンドの五感をテレパシーで感じてしまうようになった女子高生を描く「五感テレパス」、失恋の痛手から、子供と年寄り以外の目に入る男はみんな、画像処理のモザイク模様に見えてしまう女子大生のラブ・ゲーム「男はモザイク」など、いろいろな女の子が体験する不思議な物語の数かず。
スウェーデンの秘密海軍基地近くで、領海侵犯中のソ連潜水鑑と漁船との接触事故が起きた。この事件に疑念を抱いたCIAの女性局員ルールは,バルト海でのソ連海軍の異常な行動の原因を探るべく、工作員をソ連国内に潜入させた。だが彼女の調査は、CIA最上層部の妨害によって暗礁に乗り上げてしまう。その頃、ソ連軍は全世界を震憾させる秘密作戦を開始しようとしていた…。『警察署長』の作者が放つ迫真のサスペンス。
地中海最大の激戦地マルタ島。独伊軍の猛爆撃の前に全滅寸前となった英国海軍の同島守備隊を救うべく、英国政府は輸送船団を派遣した。その護送部隊の一翼を担って、キャメロンの乗る駆逐艦も出撃する。だが、行く手には独空軍の誇る急降下爆撃機隊の執拗な攻撃と、狂暴なEボート戦隊、さらには恐怖の機雷原が待ち受けていた。絶望的な状況下で、キャメロンは被雷した油槽船の指揮を命じられるが…。シリーズ第6弾。
楽しいはずの新婚旅行がだいなしだった。新妻のジュリーとイギリスの片田舎を訪れたギデオン・オリヴァー教授は、またもや事件に巻きこまれてしまったのだ。見学先の博物館からは貴重な古代人の骨が盗まれ、つづいて旧友が発掘中の遺跡で殺人が…。アメリカの名高きスケルトン探偵ギデオンが「正統的英国の殺人」の謎に挑戦する推理と冒険のシリーズ第四弾。
シエナ王家が治める城下町で、古着屋を一人で切りまわす少女リデル。身よりはないが、幼なじみたちと元気いっぱい暮らしている。そんなリデルも最近、ふらりと現われて家の裏手に住みついた学者の先生に、ちょっぴり恋をしていた。ところがある日、森のなかで生まれたばかりの赤ん坊を拾ったことから、王位継承をめぐる巨大な陰謀の渦にまきこまれていったが…少女リデルの恋と冒険に満ちた本格ファンタジイ、登場。
私立探偵スペンサー・ブームに火をつけた代表作『初秋』から十年-十五歳の少年だったポール・ジャコミンはみごとに自立してダンサーになり、ガールフレンドのペイジとの結婚を考えていた。だが、遊び好きの母親パティとの連絡がとれず、困り果てた彼は、父のように慕うスペンサーに母親の行方を捜してほしいと頼む。男がいないと生きていけない彼女は、案の定、リッチ・ボーモントというチンピラと付き合って、さいきん駆け落ちしていた。しかも、その男はギャングの親玉ジョウ・ブロズの息子ジェリイの仲間で、百万ドルをこえる組織の金を持ち逃げし、命を狙われていた。失踪した二人を追って、ギャング組織とスペンサーとのつばぜりあいが始まる。親と子の絆、男と女の永遠の結びつき、探偵の生い立ちを物語る、人気シリーズ第18作。
100年前のフロリダ-無法の辺境地帯。貧しい白人の入植者、黒人逃亡奴隷の子孫、インディアンなどが流れこむ混沌としたこの地に、謎の男エドガー・J・ワトソンはやって来た。マングローブの茂る湿地帯で他の入植者が苦闘している間に、ワトソンは有能な農園主としてたちまち頭角を現わす。しかし、一方では黒い噂が囁かれていた。一見して完壁な紳士である男が、なぜ地の果てまで流れて来て、肌身離さず銃を持ち歩いているのか?もしや、西部の名高いお尋ね者、人殺しのワトソンと同一人物ではないのか?そして、1910年10月24日、最大級のハリケーンが一帯を襲った後の静寂の中、惨劇は起こったのだった-。謎と伝説に満ちた実在の男エドガー・J・ワトソンが、綿密な調査と物語の凄まじいエネルギーによって、神話から蘇る。ナチュラリストとしても高名な著者が、息を呑む迫力のストーリーテリングで描き上げる、自然と人間の叙事詩。