1992年3月発売
天保4年の春のことであった。身延街道の1要地たる興津川に沿う小島の猫背山下の一本松に集まった織部熊太郎ら3人の武士が、鉄拐飛介という若者に松の根方を掘らせて取り出したものは。それこそは、200年の昔、寛永10年に埋められた月海老人の白髪の木乃伊であった。織部らに無人の塔に運ばれた月海老人の木乃伊は再生した。200年の昔、駿府城より運ばれた黄金の延棒15貫の秘宝はいずこへ?その埋没場所の秘密は月海老人の木乃伊によって握られていた。秘密の継承者猿丸柳斎の娘加代の乳房に月海の手により謎の文字が隠し彫りされた。加代の乳房に迫る悪人輩の魔手。かくて、加代を助けて美男旗本宗像宗太郎の活躍は…。-手に汗を握ぎる波乱万丈の物語。
東京湾に出現した魔窟・水上区で残虐な殺人が連続し、死体はなぜか無惨に喰い荒らされていた。折しも巷では正体不明の獣人の黒い噂が流れ、住民を恐怖のどん底に陥れていた。事件の拡大を恐れた当局は、腕利きの獣人ハンター竹辺弾十郎に事件解明を命じた…。大都会の闇を跋扈する獣人の驚くべき正体とは?激化する殺戮の真相は?また“獣使い”の異名をとる弾十郎の切り札とは?若手実力派の俊英が描く、白熱のバイオレンス傑作。
有栖川組の若頭砂田が、六本木でヒットマンに狙われた。跡目相続を巡り上部団体が分裂し、血で血を洗う抗争が勃発したのだ。一方、一度は極道世界から脱け出したものの、悪の魅力と甘い汁が忘れられず、組に舞い戻った瞳と涼は、またもや事件に巻き込まれた。だが仲間を眼前で殺られたとき、何かが弾けた…。熾烈な報復合戦と背筋も凍るリンチ。2人を待つ過酷な運命は?現代ヤクザ社会に生きる若者を描いて好評のシリーズ待望の第2弾。
くどいてくるのは全共闘世代のオジサンばかり。うれしいようなさびしいような、乙女心。高田馬場は、昔も今も青春まっただなかで-。著者初のエンターテインメント・ストーリー。
マンションの一室で、彼女は死体となって発見された。警察は自殺と判断している。しかし彼女が自殺をするわけがない。なぜなら…。大都会の片隅に生きる男と女の、吐息のような殺意を、ジャズ・ナンバーをフューチャーして描き出す、気鋭のアーバン・ミステリー。
先輩の夫である上司の新田と親友の貴世美が不倫。景子はそれを知らされた瞬間、奇妙な不安を覚えた。親友ながら貴世美には得体の知れない“恐さ”があったのだ。案の定、他ならぬ新田は離婚後、悲惨な事故で亡くなってしまい、景子も会社をやめざるを得なくなる。それから5年、景子は着実に自分の道を歩きながらも、未だに貴世美の記憶に捉われている。ケジメをつける為に彼女は貴世美の消息を調べ始めるが、あるとき、どこからともなく、3回鳴って切れる無言電話がかかりはじめる。それで景子は1つの歌を思い出した…。
秘された“過去”を負う“被疑者”冬木二等兵の「不条理上申」と東堂二等兵の「意見具申」によってさしもの「剣〓事件」も終熄する。そして事態は、醜怪極まりない「模擬死刑事件」による東堂・冬木らの営倉入りを経て、小説の掉尾を飾るかのような大珍事によって急転回をとげる。…1942年4月24日午前9時55分、主人公東堂太郎二等兵の屯営への訣別と共に、4700枚の壮大なファルスも遂に完結する。
その日までルイーズは平和な毎日を送っていた。やさしい夫、まだ反抗期に手の届かない上の娘たち、そして、夜泣きの虫を発揮してはルイーズをあたふたさせる生後七カ月の息子。だが、あの謎の間借人が現れた日を境に、べては一変した…。研ぎすまされた感性と絶妙のユーモアが生み出す、たぐいまれなサスペンス。アメリカ探偵作家クラブ最優秀賞に輝く傑作、遂に登場。
彼女は作家、しかも男ばかりを狙う連続殺人鬼。女性私立探偵クィンの恋人もまた、犠性者のひとりだった。犯人はわたしが探す。そう言い張るクィンに、殺人課刑事マクレアリは手を焼いていた。そんな彼らの前に新たな殺人事件が…。捜査が暴く人間の隠された顔、顔、顔。そして、最後に現われたあまりにも意外な殺人鬼の素顔とは。期待の女流が放つ慟哭のサイコ・サスペンス。
クイーン美影のリングネームで花形レスラーだった私は23歳で引退、女子プロの興行を仕切っていた白松組組長・白松竜次の妻に。子供が産めない体になっていた私は施設からマリアを養女として迎え、幸せな日々を送っていた。が、2年前、京都のホテルで2人組に襲われ、夫は射殺され、マリアは行方不明に。私も重傷を負ったが命だけは…。八方手をつくしたが犯人の手がかりは掴めない。組を離れた私は復讐の鬼と化し、2人組とマリアの行方を追った。と、そこに-?
1966年6月28日。一人の老人が射殺された。西太后の翡翠を握り、七夕までは待てなかった、といい残して。当日、東京は大混乱だった。台風4号の襲来で、飛行機は欠航、新幹線は運休。しかも翌29日にやって来るビートルズに23万の若者が熱をあげ、補導された者が6500人。おまけにベトナム反戦の炎が燃えていた。そんな過熱東京で6月30日またも殺しがあった。が二つの殺人事件は、なんと大陸の謀略事件に結びつく。それをビートルズが解いたのだ。歴史の軋みを描いて新機軸「ラスト・エンペラー」の巨宝をめぐる長編・現代史ミステリー。
雪の朝、高価な服を着ているが裸足の奇妙な死体が発見される。一方、女性ジャーナリストのジュディスは、ハンガリー移民から身を興して今やカナダを代表する実業家のポール・ジマーマンのインタヴューに成功する。しかし彼は、豪壮な邸宅でのパーティの最中に不慮の死を遂げる。ジマーマンの死に不審を抱いたジュディスは恋人でトロント警察の警部デイヴィッドとともに事件の謎に迫るが…。
愛する男のために産業スパイとなった美人秘書・裕美。その報酬はレイプ。オフィスで裸に剥かれ、豊満な肉体を晒す。屈辱的な態位で犯され、男のペニスを受け挿れた裕美の秘唇は、妖しく蠢き歓喜の嵐を呼ぶ。だが男は裕美を裏切り、妹の美処女に目をつけた…。