1992年3月発売
「女は変る、信ずるは愚なり」の命題を前に、鈍く透明な光に満ちた妹と、琥珀色に彩られた火のような姉が、一方は初老の紳士に嫁ぎもう一方は異国人の子爵と駈け落ち婚を遂げた。だが、美しい姉妹の禁断の園は-。
秩父の山荘に7人の芸術大学生が滞在した日から、次々発生する恐怖の殺人劇。最初の被害者は地元民で、死体の傍にトランプの“スペードのA”が意味ありげに置かれる。第2の犠牲者は学生の1人だった。当然の如くスペードの2が…。奇怪な連続殺人を、名探偵星影竜三はどう解く?巨匠の本格傑作。
不伝流の俊才剣士・片桐敬助は、藩中随一とうたわれる剣の遣い手・弓削新次郎と、奇しき宿命の糸にむすばれ対峙する。男の闘いの一部始終を緊密な構成、乾いた抒情で鮮烈に描き出す表題秀作の他、円熟期をむかえたこの作家の名品を三篇。時代小説の芳醇・多彩な味わいはこれに尽きる、と評された話題の本。
結婚相談所〈Kブライダルセンター〉に届いた一通の脅迫状、そしてその直後、センターのOLが射殺され、死体の上には花束が。さっそく捜査に乗り出した片山兄妹は上司の指令でお見合いパーティに出席、妹・晴美を熱烈恋愛中の石津刑事も泣く泣くつき合うが、やはり頼りになるのは三毛猫ホームズ。片山が女性と二人きりになっている間に、パーティに凶悪な男が乱入するが。お馴じみの一行が今回もハラハラしながら大活躍、超人気シリーズの第15弾。
母親と結束が異様に強い夫、老後の面倒をみるからと実家に甘える妻、フリフリの洋服を押しつける勘違いの義母etc。有利なチャンスをつかもうと挑んだお見合い結婚。“愛の力”を信じて決断した恋愛結婚ーそれぞれの夢と欲をふくらませた結婚生活が、「こんなもんか」と思えるまでの、12のドラマチック・ストーリー。
小畑洋介、12歳。海洋生物学者の父、徹郎とフィジー諸島のパゴパゴ島に移り住んで3年になる。洋助はある朝、通学の途中、珊瑚礁の潮だまりにひとつの生命を発見した。“奇跡”との出会いだった。それは6000万年以上も昔に死に絶えたはずのプレシオザウルスの生まれたばかりの姿だったのである。しなやかな肢体と愛らしい黒い瞳を持ったその奇跡の生命は、洋助を見つめ、「COO」と歓喜の産声をあげた。こうして少年と幼い恐竜クーとのきらめく至福の日々がはじまった。だが平和は長くは続かなかった。第99回直木賞にかがやく、感動の冒険ファンタジー、待望の文庫化。