1992年9月発売
尾張中村の貧農の家に生まれた日吉丸は、いかにして天下人になりえたか。天性の才智と人並外れた努力によって天下を極めた英傑、豊臣秀吉の物語。最高に面白い歴史小説の英語版。
京都の大火災から逃れたあと「きっと訪ねてきてください」という沙奈子姫の言葉もむなしく、総司は姫との約束をはたせぬ日々を送っていた。長州藩と連合艦隊の戦いが行われる下関へ出掛けた総司たちは、怪しいフランス船を発見。だが、それは暗黒の力の罠だった。乗り込んでいった総司たちに、おかめ・ひょっとこ党が斬り掛かってくる。その時総司の目の前に、白頭巾の「司令」と呼ばれる男が姿を現した。そして幕末の混乱のなか、ついに星連の7人が、そろう時が来ようとしていた。
比類なき美貌と知性を合せ持つ宮廷1の貴公子、光源氏とさまざまな女人たちの恋物語。千年の時を超え読みつがれる華麗なる王朝絵巻「源氏物語」。とばりの奥深く秘められた、愛の恍惚と苦悩を、女人たち自身のモノローグで紡ぎ出す鮮烈な「瀬戸内源氏」の世界。本巻では理想の男性・光源氏の誕生。亡き母の面影を慕う源氏はついに父帝の女御と罪深い1夜の逢瀬を持つ。年上の女人に魅かれる青年の情熱。
右大臣の末娘で弘徽殿女御の妹、朧月夜の君は花の宴の夜、光源氏と出会い、恋に陥る。やがてこの帝の寵妃との大胆な密会が政敵右大臣方に発覚したことを知った源氏は、都落ちを決意する。2年余りの流謫の地・須磨で結ばれた明石上。美しく優雅に成長した紫上。悲しい恋の回想とともに果てる六条御息所…。愛の理想を追い求める源氏に恋した女人たちの、歓喜と憂愁に満ちた魂の叫び。
彼は学校へ行かなくなった。食事も1日に1度、すべての料理にあふれるほどトマトケチャップをかけ、皿まで真っ赤にして食べるー。そんな彼がやがて結婚し、子供をつくり、流行作家になった。妻や子供との日常生活に、ふと昔の自分の姿を思い出す。深い思索の中に苦いユーモアをちりばめた私小説。
島送りの罪人を乗せ夜の川を下る高瀬舟。しかし実の弟を殺したその男の顔は晴れやかに、月を仰ぐ目は輝いていた。なぜ…。精美な日本語で鴎外で描く人間の不可思議。これは安楽死をめぐる永遠の矛盾として現代人の中にも生きている。表題作の他「阿部一族」「山椒大夫」「寒山拾得」など後期の代表作を収録。
オペラの夜、書斎、祭りの舞台…。婚約者と共に紀州・熊野山中の温泉に遊ぶ青年に、執拗に襲いかかる「蛇」のイメージ。差出人不明の謎の手紙、誘惑する姉。にがくも深いためらいを振り切り、気迫にみちた出発を告げるブラックな心理サスペンス。
東京競馬場でロールスロイスが炎上、車中から絵具で死に化粧をされた焼死体が…。被害者は六本木の西洋骨董店「カトレ・ガッツ」のオーナー・阿澄林成。府中・大国魂神社の祭礼の日に見つかったカタルニア国旗の謎?スペインと日本を舞台にした壮大な事件の真相は…。新境地を拓く新鋭の会心作。バルセロナ、パリ、日本を結ぶ謎と事件天才画家ピカソと幻の画家セバスチァン暴かれる歴史の闇。「青の時代」の隠されたドラマ。
湯島妻恋町の裏通り、明け方から夕暮れまで日が差さず、お先真っ暗な連中が肩寄せ住まう、人呼んで暗闇小路。その小路に越してきた、いかにもわけありの娘・お春が押し込み強盗に襲われ、伝家の観音像を奪われた。手習いの師匠で糊口する浪人者、島小平は思うところあって、お春の窮状に手を貸す。観音像は誰の手に渡ったのか、また像に隠された秘密とは?波瀾万丈の娯楽時代小説。
室町幕府に抗して滅ぼされた4代目鎌倉公方足利持氏の遺児たちは幕府軍に追われる流浪の身となっていた。下総国の豪族結城氏朝、持朝父子は義によってこのかつての主君の子を擁し、天下に叛旗を翻す。押し寄せる十万余の大軍を相手に、わずか一万の軍勢は果敢に戦い続けた。室町時代中期、関東を揺るがせた大いなる叛乱。戦場に展開するさまざまな人間模様を描く歴史長編。
智佐子の勤める三良旅行社が社運を賭けて企画したグルメツアーは、一流料亭で鮎づくしのフルコース、お泊まりは老舗旅館という豪華版。有名作家夫婦やOL3人組、怪しげなカップルにカヤおばあちゃんまでツアー客で、一騒動ありそうな気配。そのうえグルメにはほど遠い克郎と“夕刊サン”の田丸部長もついてきた。やっぱり殺人が起きて、意外な人が容疑者に…。大好評シリーズ。
巷では川柳こと五七五の万句合が大流行。夢中なのは町人ばかりではないらしい。なんと、どこぞの大名の御隠居までが吉原でネタを仕込んで密かに万句合を投稿しているって?おかげで江戸に居続けで、帰国を促す忠義の家臣にも耳をかさず、御家のことをなんとする。武家に職人、公事師、無宿人と、身分を越えて川柳の取り持つ奇妙な縁で結ばれた人々が繰り広げる文庫書下ろし時代長編。
「赤い旅団」の血を引く極左テロリスト“狐”は、年上の女闘士フランカに激しい情熱を抱いていた。が、そのフランカは自分の目前で当局の手に陥ち、組織は解体する。“狐”は単身、フランカ奪回の機会を狙うが、その耳に〈英国人誘拐〉のニュースが飛び込んできた。イタリア当局は頻発する誘拐事件に眉を顰めるが、追い打ちをかけるように“狐”から一通の不敵な挑戦状が届いた…。
ソ連の2重スパイはもう1人いたのだ、それも上層部にー。英国秘密情報部員ダビナの疑惑は、数年前の工作で逮捕した元部員の2重スパイの尋問によって確信に変った。彼ひとりではなかったのだ。疑心暗鬼となった上層部の妨害とKGBの不穏な動きの中、ダビナは情報部を辞職したと偽装し、独自の調査を開始する。情報戦の中の愛と野望を描く迫真のサスペンス。シリーズ第3作。
クラム・ポンドの畔でバードウォッチングを楽しんでいたフリー・ジャーナリスト、マックは、水底に沈んでいるフォルクスワーゲン・ビートルを発見した。車中にはブラジャーと巻きスカート姿の女の死体。しかもその女はマックが取材する予定の大統領候補と何らかの関わりがあるようなのだ。大統領選をひかえたこの時期、事件はワシントンをスキャンダルの渦に巻きこむのか?