1993年発売
傭兵部隊・鬼道組の副官である上条はイタリア・ボローニャで一人の老人に出会う。殺しのプロを擁する謎の組織に家族を惨殺され、旧式ライフルを手に復讐の炎を燃やす老人により、眠っていた野獣の血を呼び醒まされた上条は、戦闘に参加する。圧倒的な戦力を誇示する敵本拠に攻勢をかける二人。命を賭した死闘の果てに全貌を現す驚くべき謀略とは。
浅草で浮浪者風の老人が、消費税12円を請求されたことに腹を立て、店の主婦をナイフで刺殺した。だが老人は氏名すら名乗らず完全黙秘を続けている。この裏には何かがある。警視庁捜査一課の吉敷竹史は、懸命な捜査の結果、ついに過去数十年に及ぶ巨大な犯罪の構図を突き止めた。-壮大なトリックを駆使し、本格推理と社会派推理とを見事に融合させた傑作。
ある日食堂に入ってきた男は昔アフリカで殺したはずの男だった。「豹男に生き返らされたんだ」と語るその男は不吉な気配を漂わせていた…。トマス・バーク「がらんどうの男」をはじめ、隠退した医師を毎夜脅かすインド人の幽霊、コナン・ドイルの医学奇譚「茶色い手」、アルプス登山の姉弟を誘う死者からの手紙、邪悪な霊の侵入を描いて迫真のアン・ブリッジ「遭難」、アイルランドの民間伝承に材を採ったJ・S・レ・ファニュ「妖精にさらわれた子供」、H・R・ウエイクフィールドの精妙きわまる怪異譚「チャレルの谷」他、ハリファックス卿「ボルドー行の乗合馬車」、ニール・ミラー・ガン「時計」、レディ・ディルク「死神の霊廟」、J・H・リドル夫人「エニスモア氏の最期」、ニュージェント・バーカー「ウエッソー」、オリヴァー・オニオンズ「事故」、E・F・ベンスン「閉ざされた部屋」、いずれ劣らぬ恐怖の名匠たちの怪奇と幻想の物語全12篇。
箱根山中で白人女性の白骨死体が発見された。その直後、お寺の副住職で警視庁特命警部でもある鳥居快海のもとに、「手掛かりはヤマナシ。カゲキに聞け」というタレ込み電話があった。カゲキとは、男とも女ともつかない過激な衣装を纒った作家の志茂田景樹だろうか?快海は早速、テレビに出演中の作家に会うべくスタジオ入りしたが、そこで意外な手掛かりが。
激変する幕末、土佐勤王攘夷派の首領・武市半平太を慕い、ともに京に赴いた岡田以蔵。ただ勤王のためという大義名だけで、殺人剣を振り続け“人斬り以蔵”と怖れられた男。剣も思想にも理屈は無い。日本の夜明けを目指す勤王の志士たちとは異質な道を歩み志士たちから重宝がられ、ひたすら暗殺をくりかえす男。修羅の京の町に血飛沫が舞い以蔵が走る。
父の愛人を犯して旅立とうとする少年に、南国の海は沈黙し、山は怒りの火を噴き上げるー。自殺未遂を繰り返す母に苦悩し疾走する、17歳の生と性。鮮烈で残酷な“青春”を生きる少年を、神話的物語空間の中に描く渾身の力作。
いつかは女の子に生まれかわりたいー。少しずつ〈男性〉をうしなっていく少年バンビに訪れる、新しい愛と性のための、もうひとつの〈誕生日〉。誰も書かなかった愛のかたちに迫る、『YES・YES・YES』の作者による注目の第2弾。
エゴイストの女、男を替えて生きていく放蕩な女、作家をきどり、芸術にのぼせあがる女、善人面をして宗教や道徳を説く偏執狂の女…。ハイスミス一流の冷めた視線が〈女〉たちの嫌らしさとその残酷な最期を赤裸々に描きだす。女嫌い、女好き、フェミニスト、男性讃美者ー。その全ての人に贈る〈女嫌い〉というショート・ショート。待望の翻訳。
舞台は六世紀頃の英国。国王アーサーや騎士たちが繰り広げる、冒険と恋愛ロマンス。そして魔法使いたちによって引き起こされる、不思議な謎の出来事の数々…。今日人気の高いファンタジー文学の源流をなす、この夢のような伝説が今、よみがえる。壮大にして官能美あふれる中世騎士物語。
僕は三田村誠。中学1年。父と母そして妹の智子の4人家族だ。僕たちは念願のタウンハウスに引越したのだが、隣家の女性が室内で飼っているスピッツ・ミリーの鳴き声に終日悩まされることになった。僕と智子は、家によく遊びに来る毅彦おじさんと組み、ミリーを“誘拐”したのだが…。表題作以下5篇収録。