1993年3月発売
うだつのあがらぬ男、営業課課長代理(40歳)妻子あり。エキゾチックな女、営業課為替係(23歳)独身。男の転勤が決まった時、僕は、支店の書庫で寄り添うふたつの影を見た-。銀行員の恋は小説よりもロマンティック。
“裏切り者を罠に掛けろ!”父親が遺した無念のメモを発見したエリザベスは、意志を変えて巨大企業集団の社長の椅子を継ぐ。金に飢える重役たちは、一人の男を除いて、みな血族だ。自分の名が筆頭に載る暗殺者リストまで相続してしまったエリザベスを待ちかまえているものは?天才作家シドニィ・シェルダンがしかける空前のサスペンスが、読む者を三日三晩眠らせない。
上条飛鳥は従姉のアイコの影響で弓道を始め、大学でも、アイコに引っぱられて弓道部に入部する。が、弓道部の方針を納得できず、三月で退部してしまう。アスカの退部はアスカひとりの問題にとどまらず、アスカの同居人タケルもまきこんで思わぬ波紋をひろげていく。大学の弓道部を舞台に、先輩・後輩、男子部員・女子部員間の葛藤をシリアスに描く青春小説。
70年近くも昔の奇妙な三つの死。昨年の冬、完璧に封印された館で発見された、不条理きわまる六つの死。…過去に9人もの命を奪った“呪われた館”を今また6人の男女が、警察も見放した謎を解明すべく訪れた。推理行の果てに浮かびあがる戦慄の犯人像、そして新たなる惨劇。恐怖と幻想の本格ミステリー。
「ジルベールに会わせてあげる」セルジュ・バトゥールと美少年ジルベールの足跡を追い続けるアンリに思いがけない出来事が。…そして、過去へ向かう時計の針が、ゆっくりと回り始めた…。活字で甦る、名作漫画『風と木の詩』の続篇。
ガソリンが混入された石油ストーブで焼死した香原周一郎。容疑者として香原家の家庭教師、笹山克典が犯行否認のまま逮捕された。逮捕理由は目撃証言と周一郎の妻と笹山との不倫。事件は罪状否認のまま公判に持ち込まれた。罪名は『現住建物放火ならびに殺人』。冤罪と確信した若林弁護人は、目撃証人の偽証を突き崩すべく、法廷での鋭い反対尋問を始めた…。
小学校の同窓会に出席した真杉伸子は、かつて彼女に惚れていた宮田治夫と久しぶりに会った。伸子はいまだ独身の宮田に妹・光子を紹介し、高村光太郎の信奉者だった宮田は光子を光太郎・智恵子展に誘う。光子は展覧会よりも光太郎の木彫の「蝉」を見つめていた男が気になった。数日後、光子はその男が福島で殺されたことを新聞で知る。そして宮田も島根で変死。真杉姉妹は光子の同級生・浅見光彦に真相の究明を依頼するのだが…。傑作旅情ミステリー。
詩織の母は「トランプの本」と言い残して病死。父も「トランプの本を見つけた」というダイイング・メッセージを残して非業の死を遂げた。途方にくれた詩織は浅見を頼るが、そこにも死の影が迫り……!
聞くことはできるが話すことのできない帰国子女の少女期から結婚までの間に見たさまざまな人間模様を描く芥川賞受賞の表題作を始め、気鋭の女流が描く清新な短篇全三作。(藤田昌司)