1993年6月30日発売
〈会社戦争〉は〈艦隊〉側の敗北で終結した。ステーションで絶望の日々を送る、元〈艦隊〉の軍人ベット。彼女は宇宙に出たいー心で、正体不明の辺境航行船ーリムランナーーに整備工と身分を偽って乗りこむ。ところがその船は、よりによって〈艦隊〉の生き残りを狩るスパイ船だったのだ。くせ者ぞろいの乗組員にかこまれて、一触即発の苛酷な宇宙生活が始まった。ヒューゴー賞受賞作家が放つ現代のスペース・オペラ。
なんとか西の魔道師と北の魔女の手を逃れたラップは、透視能力を買われて、ヨッツンのガトモルガ指揮する交易船〈嵐の踊り子〉号に奴隷として乗り組み、フェアリー島をあとにすることになった。しかし、イノスを捜しに船出する望みを果たすまもなく、〈嵐の踊り子〉号の本拠地がガルクの領主カルコル麾下の海賊に襲われ、ラップとガトモルは捕虜にされてしまった。囚われの身となったラップを待ち受けていたものは…。
皇帝アザク、伯母ケイドと共に后妃ラシャのもとを逃げ出したイノスは、四人の魔道師に会って自らの王位継承権に対する支持をとりつけるべく、長老エルカラトの率いる隊商に混じって中央都市フブへと向かっていた。ところが、エルカラトはイノスたちの監視を命じられたラシャ后妃の手先だったのだ。イノスとケイドとアザクはエルカラトの隊商から離脱し、三人だけでフブを目指すが…。壮大なスケールのシリーズ第三弾。
2077年中央アジア・タリム盆地。かつてのシルクロードはその地下に眠る膨大な石油資源をめぐって熾烈な争いの舞台となっていた。アジア国家連合は、敵国がロプノール湖岸に建設した軍事基地を破壊すべく“タリム7”を送り込んだー。タリム7とは、特殊能力を持つ犯罪者で構成される傭兵部隊。この一癖も二癖もある男たちをひきいて、隊長の白龍は人工知能に守られたハイテク要塞に挑む。新鋭が描く書下ろし痛快冒険SF。
ベルファストのホテル支配人ディロンの家に、突如IRAのテロ・グループが乱入した。彼らはディロンの妻に銃を向け、ディロンに自分の車をホテルまで運転するよう強要する。折しもホテルでは要人による講演会があり、IRAが車に爆弾を仕掛けて会場の爆破を計画していることは明白。だがそこには大勢の宿泊客がいた。妻の命と多くの人命の間で板挾みになるディロン。絶体絶命の窮地に立たされた彼のとった最後の手段とは?
冷戦終結後の中東で、ソ連とアメリカの外交使節団が相ついで謎のテロ集団に拉致された。米ソは極秘協定により、ただちに合同の特殊作戦チームを編成、救出作戦の準備に移る。一方、英週刊誌記者のガーリングは、中東支局のスタンセルから、事件が〈審判の天使たち〉なるアラブ原理派組織の犯行であるとの情報を入手。だがその直後、スタンセルは何者かに誘拐され、消息を絶ってしまった。俊英が放つハイテク軍事冒険巨篇。
カイロへ飛んだガーリングは、残された情報を手掛りにスタンセルの行方を追う。イスラエル情報部やエジプト警察、そしてアラブ原理派組織の思惑が複雑に錯綜するなか、やがて彼は事件の背後に横たわる巨大な陰謀を知る。だがそのころすでに米ソ合同特殊作戦チームは、ソ連の情報をもとに、レバノンにあるテロ集団の本拠地にむけ、救出作戦を開始していた。最新の軍事情報をもとに特殊作戦の全貌を描き、絶賛された話題作。
あの時わたしが力をかしていたなら…。荒れた手に銀の指輪をした彼女の面影が、今も頭から離れない。紛失したグリーン・カードを見つけてほしいと言い残して姿を消したマヌエーラという女性が、死体となって発見されたのだ。カードと殺人には何か関係が?調査を始めたわたしの前に、やがて不法移民を食いものにする犯罪組織の存在が。私立探偵兼タクシー運転手のカーロッタが人情味溢れる活躍を見せるシリーズ第二弾。
偽りを言う者は滅びるー。事故死した検死医の葬儀の日、獄中の連続殺人犯から脅迫めいたメッセージが届けられた。死んだ検死医の偽証で、自分は無実の罪まで着せられているというのだ。再捜査を始めたメイブリッジ主任警部は、解決したはずの事件の裏に潜む愛と僧しみの人間模様を知るが…。サスペンスの名手が卓越した心理描写で描く、美しくも残酷な物語。
少年戌子は、いつか馬奴騎手になりたいと思っていた。馬奴とは、蹄を持ち二本の脚で直立する獣で、騎手はその肩にのって、速さを競うのだ。だが、ある日、戌児が住む流民の町は、黄武神皇が支配する巨大帝国〈霊ノ国〉の軍隊によって、一夜にして壊滅してしまう。親しい人々を殺された戌児とその仲間たちは黄武神皇に復讐を誓うが…、神皇は謎の力に守られていた。戌児たちに残された方法はただ一つ。三年後に開催される国家行事“大耐久馬奴走”に参加することだった。この大陸横断マラソンレースに勝利すれば、神皇暗殺のチャンスがやってくる。戌児は、夢見ていた騎手となって、レースに挑んだ。ハイ!ノヴェル大賞受賞作。
六年前、妻のイザヘルを射殺した容疑で起訴されたデヴィッド・バーニーは、裁判で無罪の評決を受けた。だが、イザベルの別れた夫は、デヴィッドが莫大な遺産をめあてに殺人を犯したと信じて疑わず、わたしに事件の再調査を依頼してきた。当時、デヴィッドとイザベルは不仲で別居中だったうえ、彼は事件の数カ月前に、殺人に使われたものと同じ型の銃を購入していたという。さらにデヴィッドは裁判の直後、犯行を匂わす発言を知人にもらしていたらしい。新たな手がかりを求め、わたしは事件を探り始めるが、デヴィッドの有罪を裏付ける事実はひとつも見つからない。やはり彼は無実なのか?一カ月後には、法律で定められた出訴期限が切れ、二度と彼を裁判にかけることはできなくなってしまう。あせりを感じ始めたわたしをよそに、タイムリミットは刻々と迫る…。南カリフォルニアの女探偵キンジーがかつてない試練に立ち向かう、人気爆発の全米ベストセラー・シリーズ最新作。
ミネアポリスで二人の男が惨殺された。ひとりは、インディアン居住区でアパートを経営する高利貸しの男。もうひとりは、社会復帰訓練所の指導官だった。そして今度は、ニューヨークの福祉局の局長が殺された。被害者は皆、黒曜石のナイフで喉を切り裂かれていた。そして、一様にインディアンから憎まれていた。ミネアポリス市警は、特別チームを組み捜査を開始、ダヴンポート警部補もその一員に加わった。福祉局局長殺しの犯人を追ってきたニューヨーク市警の女性警部補リリーと共に、彼は捜査を進めていく。だが、その間にも新たな犠牲者が生まれていった。やがて、ダヴンポートは連続殺人の裏に隠された真の目的に気づく。が、彼は知らなかった-。リリーと自分の身に危険が忍び寄っていることを。『サディスティック・キラー』につづき、ミネアポリス市警の一匹狼、ダヴンポート警部補が再び登場。注目のベストセラー・シリーズ第二弾。
宋の都・開封で、包希仁は白載星と名のる少年とともに双剣舞の花形芸人の花娘こと陶宝春を暴漢から救った。が、その夜、彼女の祖父・陶老は「陶」ということばを残して遺体とともに忽然と消えた。さらに花娘の双剣の皮鞘に隠されていた紙片には、陶淵明の「桃花源記」が書かれていた。桃の花につつまれた仙境の物語である。白載星は実は今上帝の子で、劉皇后と宦官一派の陰謀で母の李妃は追放され、刺客の殷玉堂から命を狙われていた。桃花源の謎と母を捜す三人の旅がはじまったが…。華麗な筆が舞う武侠冒険の第二弾。
昭和18年1月、マッカーサー元帥が率いる南西太平洋方面連合軍によってポート・モレスビーから叩き出された第35旅団は、ブナを目指して、撤退を開始した。豪州方面艦隊司令長官・南雲忠一中将から「生きて還れ!」と海中へ突き落された松尾次郎少尉もこの中にいた。オーストラリア軍の追撃と米軍の地上攻撃にさらされ、行く手には標高数千メートルのオーエンスタンレー山脈が阻んでいた。彼らの食料空輸のために零戦隊を率いた西沢広義は、敵編隊を発見し舌打ちした。「新型機か?こいつは強敵だ」-。渾身の第3弾。
継父が無理強いする結婚話から逃げるため、リーラは伯母を頼って海を越え、オランダに渡った。ところが、愛する伯母には会えたものの伯母は手術しなければ余命いくばくもない体のうえ、手術には莫大な費用が必要だった。そんな折、リーラの絵の才能に目をつけた画商が金になるという話を持ち込んできた。有名画家の絵を模写し、本物と称してとあるイギリス侯爵に渡せばいい、というのだが…。
海難事故で両親を失い、叔父の暴力に怯える毎日を送っていたシタ。インドへの船上、とうとう死を決意したシタは深夜の甲板に立った。そんな彼女の前に現れたひとりの男。ターバンを巻きインド人を装ったその男と話すうち、シタは次第に生きる望みを取り戻していく。
すべてを失い、失意の中で亡くなったロックボーン卿。残されたマリスタら三姉妹は、一家を追いつめたスタンブルック伯爵を憎みながら暮らしていた。そこへ伯爵から膨大な家賃の督促状が届く。途方に暮れたマリスタたちは、屈辱に耐え、かつての自分たちの城に、伯爵を訪ねることを決意する。