1994年10月発売
腐敗政治の悪を糾すため、林冲、魯智深、晁蓋、花栄らおなじみの好漢たちが、ある者は朝廷に反発し、ある者は官に追われ、続々と梁山泊に集いはじめた。高い関税と次々に課される新税に反抗し、海商たちが立ち上がる反海禁戦争など、これまで描かれたことのない好漢たちが、血湧き肉躍る活躍を見せる未知の水滸伝。武松の虎退治などおなじみの名場面にも、新しい視点で活写した新エピソード満載。「水滸新伝」初の翻訳本。全170回、好漢108人の小伝つき。
指揮者・朝倉宗和の要請で、声楽コンクールの会場警備にかりだされた片山刑事とホームズ。コンクールの開始直前に、優勝候補ナンバーワンの井田貴子が何者かに狙われたのだ。何事も起こらなければいいと思いながらしぶしぶ出かけた片山だったが…会場では貴子とライバルの丸山恭子をめぐって次々と事件が発生した。表題作ほか2編の短編に、著者の自伝的エッセイ「三毛猫ホームズの青春ノート」を加えた作品集。大人気、三毛猫シリーズ第17弾。
浅見光彦の遠縁の大学生・緒方聡が女子高生誘拐の嫌疑をかけられた。何でも一目惚れして、のこのこと家まで後をつけていたらしい。あきれる浅見ではあったが、聡の濡れ衣を晴らそうと、行方不明になった浜田文絵の家を訪れる。そこに届けられていた一通の脅迫状。文面には文絵の出生の秘密をばらすといった内容が…。文絵は人気俳優・三神洋と「宝塚」出身の女優・鳥越美春との十七年前の秘めやかな愛の結晶だったのだ。数日後、文絵が遺体で発見された。浅見は悲劇の真相を追って、乙女の都「宝塚」へと向かう。
殺されたフィリピン人教授の未亡人を名乗る女が現れたのは、事件後四か月を経てのことだった。遺品引き渡しを強硬に求めるその女は、実直で亡妻をこよなく愛した教授にはまるでそぐわない。女の狙いははたしてどこにあるのか…。巻きこまれた父親を気づかいながらも軽やかにプロの立場を貫く女探偵ジェリの活躍。故人の足跡を辿るひたむきな探索の旅が面白い、充実の第二弾。
幼い自分が暗い森をさまよっている。四阿が見えてきた。そこでは何かとても恐ろしいことが…何を見たのか話すんだ。怖がることはない、言ってごらん…女医エイミーは、はっと目を覚ました。耳に残る男の声。彼女は最近、毎晩のようにこの夢に苛まれていた。そんなある日、勤務先の総合病院で担当の患者が不審な死を遂げた。しかも彼女は、患者の娘がまったく同じ夢に慄いているのを知る。これはいったい。傑作医学心理サスペンス。
冒険者が憩う街、リルガミン。この街では、カント寺院やギルガメッシュの酒場が彼らを優しく迎えてくれる。ボルタック商店では二百年生きているともいわれているドワーフのおやじとホビットのケズンが仲良く店番をしながら、楽しい冒険奇譚を聞かせてくれる。ウィザードリィファンならずとも、迷宮探検をおおいに満喫できる。全6話を収録した書き下ろし短編集。
ファン待望『真・女神転生エル・セイラム』の第二巻。岳玲子と太宰春子を中心にして起こる奇怪な出来事の数々は、バール神に選ばれた石川安奈が引き起こしたものだった。しかし、玲子も春子も、自分のまわりで起こる惨劇や悪魔との戦いに翻弄され、安奈の背後にいるバール神の存在や、自分の転生に気が付いていない。玲子・春子たちに、どんな未来が待ち受けているのだろうか。
話題のメディアミックスゲームの小説版が登場。しかも通常のノベライズと違い、ゲームシナリオに小説的な描写をプラスしたという新感覚のシナリオノベルなのだ。あくまで小説でありながら、しかもゲームの雰囲気をそのまま味わえるという画期的な作品といえよう。
才筆、栗本薫が描きつくす色と欲の浮世の真実。好色極まる人気俳諧師、井原西鶴は、遊女夕霧と深くなじむ。彼女は恋人・世之介と心中して生き残り、遊女になった女だった。交わりの最中、その世之介の影が浮かび上った…。
明治のおわり。群馬県前橋市のちいさな織物屋の末っ子として、裕福ではないが暖かい家庭で育った小野沢智和。進学の夢をあきらめきれない彼は、東京本郷にある老舗の茶問屋・南条家で書生をしながら、一高へ通うことになる。智和が仕えるのは、帝大へ進む貴臣という涼しげな切れ長の目が印象的な青年であった。旦那様にも奥様にも似ていないような、怜悧な美貌の-。周囲を拒み憑かれたように勉学する貴臣に、慈愛と尊敬を込めて仕える智和であったが…。
突然もちあがった抗生物質博物館設立プラン。展示の目玉にすべく、わが国初のペニシリン菌株を追い求める旅が始まった。忍びよる妨害の手、迫り来る危難。一体なぜ。菌株に何かの因縁があるとでもいうのだろうか。五十年を経た今、医学界をわき立たせ、同時に震えあがらせるペニシリンの秘密とは何か。
北欧の都で駐在武官が入手した極秘情報-ベルリン陥落後も滅びへの道をひた走る日本が、世界地図から抹消される。ストックホルムから、情報を携えて地球を半周する苦難の冒険行。『ベルリン飛行指令』『エトロフ発緊急電』に続く、第二次世界大戦三部作、ついに完結。
「火は、消せる。あきらめるには早すぎる」「畜生、開け。どうして開かないんだ」「生きてるの、返事して、お願い」「誰か、助けて…誰か」。最大瞬間風速88メートル、未曾有の大型台風が上陸したその夜、風が、炎が、そして管理人の男が、リゾートマンションの宿泊客を襲う。一夜のドラマを描く驚天動地のパニックサスペンス。