1994年7月発売
あらゆる格闘技をマスターし紛争各地で傭兵たちに殺人技を教える岸田龍一。日本での束の間の休暇中、ヤクザにからまれている男を救った事が岸田を闇の格闘技の世界へと引きずり込んだ。億単位の金が動き、ルール無視のファイトで生き残りを賭けるデスマッチ。そして岸田の相手は、大金で岸田の死を契約したこの世界では実力No1の男だった。生か死か…。
映画界の鬼才・大柳登志蔵が映画の撮影中に謎の失踪をとげた。すでにラッシュも完成し、予告篇も流れている。しかし、結末がどうなるのか監督自身しか知らないのだ。残されたスタッフは、撮影済みのシーンからスクリーン上の犯人を推理していく…。『探偵映画』というタイトルの映画をめぐる本格推理小説。
ギア復活。ライラから分裂してまで愛を守ろうとした雷羅の戦いもむなしく、冥府に呑まれたエルミアンの魂。その両性具有の身体に、伝説の闇騎士ギアの邪悪な魂が入ったのだ。一瞬のうちにダリの街を破壊するほどの強大な魔力を見せつけられたライラたちの前に、大魔導師デビウスの霊体が現れて、告げる。『ギアがこの子を狙っている』-魔力の強さゆえに崩壊の危機に瀕した肉体を強化し、完全な復活を果たすために、ヴィガの神秘の力を持つヨシュアに目をつけたというのだ…。
小奴の澄子、久千代の民江、花勇の貞子、染弥の妙子ー戦争という苛酷な運命を背景に、まだいたいけな少女の身で、金と男と意地が相手の稼業に身を投じた四人の女がたどる、哀しくも勁い愛の生涯を描ききる傑作長篇小説。女流文学賞受賞作。
R国皇太子ルール殿下は国内紛争のため日本へ逃れ、変名で巽小路侯爵邸に隠れていた。女性記者の星野龍子がカフェ『シセリア』で友人平山松太郎とこのことを話題にしていると、同じカフェで不思議な男がマダムの長川伸子に向かって、「今夜限りに、わたしという男はこの世界から消えてしまう」と泣きながら訴え、立ち去っていった…。その翌日にルール殿下の姿が消え、さらに数日後には侯爵が変死を遂げる。その現場に居合わせた星野龍子は侯爵のポケットに残されたメモを頼りにルール殿下の行方を追う。一方、侯爵の弟が二十年ぶりに帰国して間もなく、侯爵夫人が謎の失踪を遂げた…。-R国皇太子と巽小路侯爵家をめぐって続発する怪事件の謎とは。怪紳士響晰とは。
殿中での吉良への刃傷沙汰により浅野家は断絶、赤穂浪士は仇討の機を窺う。一方、吉良方の上杉家では家老の千坂兵部が女忍者を用い、色仕掛けで浪士骨抜きを企む。大石内蔵助が同志と密議の最中に、妖美と怪異の忍法が華と炸裂した。
信州毎朝新聞・牧田の絞殺死体が水内ダムで発見され、部下の中島が疑われた。だが恵那山トンネル、長楽寺、寝覚の床でも次々と絞殺死体が発見され、それが長野県歌「信濃の国」に歌われる名勝であることに、中島の妻・洋子は気が付いたが…。信濃のコロンボ、こと竹村警部登場の長編傑作旅情ミステリー。
ホールを埋めた聴衆の前から、オーケストラのメンバー全員が消えた。黒い舞台衣裳の特異な姿の彼らだ、人目につかないわけがない。なのに目撃者は皆無。やがて楽団事務局に、正装したヴィオラ奏者の死体の入ったコントラバスケースが届いた。-空前の消失トリックにいどむ音楽ミステリー。読者に挑戦。
次々と興信所を訪れては、およそ事件とは思われない奇妙な依頼をしていく謎の女・平林貴子。いったい、彼女の本当の目的は何なのか。やがて、それぞれの調査報告が、ひとつの輪のように繋がって隠された大事件の全容が明らかになっていく。斬新なスタイルで、読者に挑戦する華麗なるメドレー・ミステリー。
懐しいグールズボローへ向かう旅の途中、アンジェリクは何者かの謀略によって夫のジョフレと引き離され、イギリス人清教徒の村で、インディアンの大襲撃に出合う。九死に一生を得たものの夫には会えず、今度は、海賊“黄金ひげ”の手中に落ちる。しかし、彼の正体を知ったアンジェリクは…。
海賊“黄金ひげ”こと昔の愛人コラン・パトゥレルとの再会で、アンジェリクの心は乱れる。謎の人物ジャック・マーウィンの船で、ようやくクールズボローにたどり着いた彼女を迎える夫ジョフレの態度は冷ややかだった。誤解と不信から、ふたりの間に危機が訪れる。その陰には邪悪な敵の企みが。
チェルノブイリ原発事故による放射能汚染食品がヨーロッパから検査対象外の別の国経由で輸入されていた。厚生省の元食品衛生監視員として、汚染食品の横流しの真相究明に乗りだした羽川にやがて死の脅迫が…。重量感にあふれた、意外性豊かな、第三十七回江戸川乱歩賞受賞のハードボイルド・ミステリー。
血なまぐさい風が吹く居合道場、一心館。完全な密室状態の中で、二つの白装束の惨殺死体が発見された。覚悟の自刃とみなされた事件の容疑者に浮び上ったのは、全日本剣道選手権優勝者…何者かが仕組んだ罠か。三十年余の時空をこえていま甦る怨念の復讐劇。江戸川乱歩賞受賞第一作の剣道長編推理。