1995年11月発売
東日本独裁者、山多田大三の命令で父島海域を制圧し、星間文明の「黒い球体」奪取に向かう七隻の東日本艦隊。一方、東日本軍機の奇襲を受けながら、ただ一隻、父島海域に急行する西日本海軍イージス艦「新緑」。三宅島沖海戦の衝突が迫る…。さて、いきなり呼出をくって、空母「赤城」を発艦しF18ホーネットを駆る愛月有理砂は、敵の正体も分からずに、阿武隈山中の峡谷に突入していく。
平成元年、竹下登の後をうけて新総理となった宇野宗佑だが、女性スキャンダル、参院選での自民党惨敗で、あっけなく退陣に追いこまれる。後継総裁をめぐり隠然たる勢力をふるう長老たちの水面下の争いとともに、硬直化した党の改革を目指す若手たちとの世代間戦争もまき起こり、内部の混迷は深まる。橋本龍太郎、海部俊樹、河野洋平、小沢一郎、羽田孜などの名が新総裁候補として浮かび上がっては消えていく。
君原由紀恵の絞殺死体が発見された。捜査に当たった七尾中央署の島中は、由紀恵の部屋のカレンダーの事件当日の欄に、謎のSの文字が記されているのを発見。犯人はイニシャルがSの男とにらみ、捜査をすすめるが、島中たちが真犯人に行きつけないうちに、金沢市内の公園で第二の殺人事件が発生。浮かび上がった人物には鉄壁のアリバイが…。Sとは誰か。金沢発特急「きらめき4号」30秒のトリックとは。数学者・黒江壮の左脳が冴える。意表つく展開。斬新なトリック。著者会心の“逆転シリーズ”長編本格推理・書下ろし第6弾。
トレドにある酒場「ロコス亭」に集まる奇妙な人々は、物語の内と外を、またそれぞれの物語の間を自在に行き来し、読者を虚構と現実のはざまに誘う。ナボコフ、カルヴィーノ、そして多くのラテン・アメリカの作家たちの原型ともいうべき、知的で独創的で、とてつもなく面白い小説集。
1999年7月-その世紀末の日本において、話題の中心は二つだった。1年ほど先のトータチス飛来と急速に勢力を伸ばすシャンバラ教団。シャンバラ教団とは、現史に生きる“あの敷島英二”が率いる宗教団体だった…。10月23日夜、首相官邸や陸海空軍基地が一斉に制圧された。それは、シャンバラ教団による軍事クーデターだった。クーデターの目的は、トータチス迎撃を阻止し、もう一度時空転移することによって、日本を世界の先導者に育てあげることだった。教団に対する反撃の切り札は帯広実験基地。しかし、北海道沖には乗っとられた最新鋭の攻撃型潜水艦「玄海01」が姿を潜ませていた。はたして、日本は、そして世界は破壊から逃れることはできるのか。クライマックスへ向け、いよいよ最後の戦いの幕が開く。
1998年12月、大統領府へ向けモスクワの町中をリムジンが走り抜ける。国家情報相から大統領に、ロシア極東地域でのクーデターが報告された…。年が明けた、1月9日の日本。北関東地方は断続的に襲ってきた寒波によって山間部は積雪が徐々に増えつつあった。夜明け前の赤城山の北面道路の駐車場に、一機のヘリコプターが舞い降りた。それは陸上自衛隊の縮小改編にともなって結成された第一空中機動団に配備された新型機AH-3Fの訓練飛行だった。その頃、ウラジオストクでは反政府軍の反乱を逃れた巡洋艦・駆逐艦・強襲揚陸艦など20隻ほどの艦隊が流氷に閉ざされた港を脱出。日本海を南下し、日本政府に対し、救援を要請した艦隊は、平和という長い眠りにつく日本を無理やり覚ますべく新潟港を目指す…。
なぜかまだ続くカクテルショートストーリー。フランス人数学者が書いた、ご存じ笑いあり、ユーモアあり、恋もあり、そしてちょっぴり涙あり…の34話。舞台はニューヨークの場末のカクテル・バー“ジェイズ”で、いつもの3人の待つ店に、妙なお客が今夜も舞い込む…。1991年タイド・モニエ文学協会賞。1992年美食文学賞受賞。
警視庁歌舞伎町分室の警視・村木正は、妖刀“村正”と恐れられる強者。その村木の許にOL全裸殺人の知らせが入った。だが、被害者の藤咲霧子は、過去に傷害事件を起こし、村木が更生させた女だった。新しい就職先で、順調に勤めていたはずの霧子に何があったのか。彼女を殺した憎き犯人を追い、村正が闇の世界に戦いを挑む。長篇バイオレンス・アクション。
22歳になる美貌の青年フィオリーナは砂漠の国クシュの王の愛人だったが、次期国王のレイファムと許されない恋に落ちてしまった。王に身を弄ばれる日々に堪え、彼は密かにレイファムと逢引を重ねる。しかし、二人の仲にフィオリーナを慕う少年エリシュアが気づいて…。ひと味もふた味も違うファンタスティック・ロマンス。
英雄色を好む、という。だが、色を好むために英雄をめざす男もいる。信長の妹・お市の方の美貌に魂を奪われた瞬間から、名もなき軽輩の天下取りへの夢は始まった。巧みな弁舌と憎めぬ猿面の陰の冷徹な権謀術数。ライバルを蹴落とし、敵同士を反目させ、はては本能寺の変をも演出した希代の謀略家・秀吉。確固たる歴史眼と人間洞察力をもとに、無類の想像力で描く風太郎版太閤記の魅力。
悪意のない、ほんの不注意から起ってしまった事件。しかも自分が手を下したわけでもなんでもない不可抗力的事故…。きっかけはそんな曖昧な出来事だった。しかしその残り火は、東京周縁部の町や村を炎でおおい尽くしていった。あたかもかつての田園地帯が近代に復讐するかのように…。社会心理の、微妙な、しかし本質的な変化を捉える名手・本岡類が放つ、新感覚ミステリー。
灰の国はいかにして甦ったか。九州高鍋の小藩から養子に入り、十七歳で名門上杉家の藩主の座についた治憲は、自滅か藩政返上かの瀬戸際にある米沢十五万石を再建すべく、冷メシ派を登用し改革に乗り出す。藩主や藩のために領民がいるのではない、との考えのもとに人びとの心に希望の火種をうえつけてゆく…。
重役の反乱を克服し、家臣や領民一人ひとりの共感をかちとりながら、地域と人を活性化してゆく鷹山の経営手腕とリーダーシップのすべて。“最も尊敬する日本人はウエスギ・ヨウザン”と、かつてケネディ大統領が語ったように、「愛と信頼の政治」を貫いた鷹山の不撓不屈、信念の生涯を描く。
死体の額には鋭い角で突かれたような痕があった。衆人環視のなか行なわれた謎の殺人。伝説の一角獣の仕業なのか。フランスの古城を舞台に、稀代の怪盗、警視庁の覆面探偵、HM卿が三つどもえの知恵比べを繰り広げる傑作本格推理。