1995年2月発売
昭和十六年十二月八日、米国太平洋艦隊の本拠地パールハーバーを奇襲攻撃した帝国海軍は、太平洋上の米軍基地を次々に占拠した。ガダルカナル島をはじめソロモン諸島全島に飛行場を建設、これを“浮沈空母”に見立て、米・豪の連絡線を遮断する大構想を立てた。しかしミッドウェー海戦に空母赤城ら四隻を失う敗戦の後、ガダルカナル島も米軍に奪取されてしまった。昭和十七年十月、ガダルカナル島ヘンダーソン飛行場の再奪取を目指し、帝国陸海軍は隠密作戦を展開する。高速戦艦金剛、榛名の艦砲攻撃と同時に陸軍歩兵部隊は夜闇にまぎれ、泥濘のジャングルを突き進む…。
美しい顔をゆがめ、唇を噛んだり、身震いしたり、しきりに声をあげて-イイ、イイ、イイ-と泣くような細い声は耳の底で性感帯を刺激して…高額の学費を取る花ムコ学校だが、美人校長自らのベッド講習の人気で生徒は満杯。さて、その楽しみな実習が始まって…現代風俗と男女の営みをリアルな筆致で描く官能長編ロマン。
これは若くして死んで現世を離れ切れぬ女の幽霊の恋物語だ。Z村の貴族屋敷の住人たち、モスク未亡人とその娘二人は、令嬢クリスティナの美しい絵姿を生前の寝室に飾り、さながら聖画像のように渇仰していた。令嬢は未亡人の姉で、ルーマニア全土を震撼させた1907年の大農民一揆に巻き込まれたのだ。まだはたち前だった。死骸は見つからなかった。物語の舞台はそれから30年近く経っていて、貴族屋敷を訪れた青年画家と考古学者は、令嬢クリスティナについて村では身の毛もよだつような噂がささやかれていることを知る…。
西暦19352年に開発された時間航行の方法は、人類に多大な危険をもたらした。この方法を悪用し、過去を都合よく改変しようとする者があらわれたのだ。こうした時間犯罪を取り締まるためにタイム・パトロールが組織された。その一員エヴァラードは、大規模な歴史改変をもくろむ「称揚主義者」を捕えようと命じられるが…時流を縦横無尽に行き来して歴史を管理するタイム・パトロールの活躍を描く、時間テーマSFの傑作。
タイムサイクルで時流を行き来して歴史を監視し、時間犯罪を取り締まるタイム・パトロールの一員エヴァラード。さまざまな時代で歴史に干渉して時流を支配しようとする超人〈称揚主義者〉との戦い、隊員として出向いた時代に生きる人々との出会いと別れ、そして美貌の隊員ワンダとのせつないロマンス…“正しい時間線の管理者”たるエヴァラードの活躍を描く、時間テーマSFの名作『タイム・パトロール』の続篇登場。
九カ月の赤ちゃん、ビンク坊やはお気に入りの絵本『赤ちゃんのおでかけ』を子守りに読んでもらっていた。大富豪コットウェル家の跡取り息子のビンク坊やの夢は、絵本の主人公のブー坊やと同じように、すてきな冒険をすること。それが思いがけず実現した。悪党三人組が、ビンク坊やを誘拐して身代金を手に入れようと考えたのだ。誘拐された赤ちゃん、ビンクをめぐって起こる大騒動を描く、痛快アドヴェンチャー・コメディ。
精神科医ケイレブの患者が謎の死を遂げた。警察は自殺と発表するが、そんなはずはないと直観した彼は、独自に調査をはじめる。一方、捜査にあたったシネス刑事はじつはケイレブに殺人の容疑をかけていた。人間を犬型と猫型に分類し、超然と生きる精神科医と、たたき上げの実直な刑事。ふたりはいつしか立場を超えて理解しあうが、時すでに遅く、第二の殺人が…マリス・ドメスティック・コンテスト最優秀作に輝く話題作。
シャーロック・ホームズがこの世を去ってから二年後、ワトスンは彼の伝記を書くため、新聞に情報を募る広告を出した。その時から奇怪な事件が続発し、資料の一部も盗まれた。謎を解くべくワトスンは数々の資料を調べ始める。やがて明かされるホームズの美しい恋と、バイエルン国王ルートヴィヒ二世をめぐる陰謀。意外な結末が待ち受ける傑作パスティーシュ。