1995年2月発売
エンジュの街に店をかまえる骨董屋の孫娘コウノと、店につかえるコンリョウが巻き起こす大冒険。巨大な技人兵とともにあらわれた謎の怪人・雷冥鬼を追って、素人探偵を気取るコウノは謎解きに挑戦するが、そこには過去へとさかのぼる因縁の対決が待ち受けていた。魔術とも思える不思議な術を使い、街を混乱に陥れる雷冥鬼。次々と出現する謎の技人兵を向こうにまわし、コウノの謎解きは完了するのか。待望の六覇国伝、第3話。
現代の女子大生と17世紀の石工を隔てるのは時間と空間の海……ギリシアの悲恋物語を、『ハザール事典』のパヴィチが、新しく不思議な物語に変容させた。この本は表紙が両面にあります。どちらからお読みになりますか?
昭和十六年十二月八日、米国太平洋艦隊の本拠地パールハーバーを奇襲攻撃した帝国海軍は、太平洋上の米軍基地を次々に占拠した。ガダルカナル島をはじめソロモン諸島全島に飛行場を建設、これを“浮沈空母”に見立て、米・豪の連絡線を遮断する大構想を立てた。しかしミッドウェー海戦に空母赤城ら四隻を失う敗戦の後、ガダルカナル島も米軍に奪取されてしまった。昭和十七年十月、ガダルカナル島ヘンダーソン飛行場の再奪取を目指し、帝国陸海軍は隠密作戦を展開する。高速戦艦金剛、榛名の艦砲攻撃と同時に陸軍歩兵部隊は夜闇にまぎれ、泥濘のジャングルを突き進む…。
けっして猫好きではなかった著者が、隣家の白い仔猫にひと目惚れ。誘拐同然に連れ帰り、返すつもりが一日一日…。しだいに彼の生活は仔猫を中心に回りだす。緑あふれる英国の田舎町の暮らしを背景に、猫と飼い主のユーモラスな関係をつづった心あたたまる物語。
美しい顔をゆがめ、唇を噛んだり、身震いしたり、しきりに声をあげて-イイ、イイ、イイ-と泣くような細い声は耳の底で性感帯を刺激して…高額の学費を取る花ムコ学校だが、美人校長自らのベッド講習の人気で生徒は満杯。さて、その楽しみな実習が始まって…現代風俗と男女の営みをリアルな筆致で描く官能長編ロマン。
これは若くして死んで現世を離れ切れぬ女の幽霊の恋物語だ。Z村の貴族屋敷の住人たち、モスク未亡人とその娘二人は、令嬢クリスティナの美しい絵姿を生前の寝室に飾り、さながら聖画像のように渇仰していた。令嬢は未亡人の姉で、ルーマニア全土を震撼させた1907年の大農民一揆に巻き込まれたのだ。まだはたち前だった。死骸は見つからなかった。物語の舞台はそれから30年近く経っていて、貴族屋敷を訪れた青年画家と考古学者は、令嬢クリスティナについて村では身の毛もよだつような噂がささやかれていることを知る…。
世界中から美男美女を吸い寄せ、彼らの人生をメチャメチャにしてしまう華麗な魔界、ハリウッド。そこに君臨するスーパー・スターは、スーパー下衆男だった。過去を捨て、名前を変えて、ハリウッドに出るジョゼフィンを待っていたものは…孤独な中でついに出会ったひと組の男女の運命を、天上の星たちは“吉”と定めるか“凶”と書くか。殺人は事故になるか。宿命の男女を乗せて、豪華客船がいま出帆する。
西暦19352年に開発された時間航行の方法は、人類に多大な危険をもたらした。この方法を悪用し、過去を都合よく改変しようとする者があらわれたのだ。こうした時間犯罪を取り締まるためにタイム・パトロールが組織された。その一員エヴァラードは、大規模な歴史改変をもくろむ「称揚主義者」を捕えようと命じられるが…時流を縦横無尽に行き来して歴史を管理するタイム・パトロールの活躍を描く、時間テーマSFの傑作。
タイムサイクルで時流を行き来して歴史を監視し、時間犯罪を取り締まるタイム・パトロールの一員エヴァラード。さまざまな時代で歴史に干渉して時流を支配しようとする超人〈称揚主義者〉との戦い、隊員として出向いた時代に生きる人々との出会いと別れ、そして美貌の隊員ワンダとのせつないロマンス…“正しい時間線の管理者”たるエヴァラードの活躍を描く、時間テーマSFの名作『タイム・パトロール』の続篇登場。
九カ月の赤ちゃん、ビンク坊やはお気に入りの絵本『赤ちゃんのおでかけ』を子守りに読んでもらっていた。大富豪コットウェル家の跡取り息子のビンク坊やの夢は、絵本の主人公のブー坊やと同じように、すてきな冒険をすること。それが思いがけず実現した。悪党三人組が、ビンク坊やを誘拐して身代金を手に入れようと考えたのだ。誘拐された赤ちゃん、ビンクをめぐって起こる大騒動を描く、痛快アドヴェンチャー・コメディ。