1995年発売
1910年の日韓併合から45年の日本敗北の瞬間まで、36年間朝鮮半島に君臨した「朝鮮総督府」。足がために乗り込んだ伊藤博文から寺内正毅、長谷川好道ら八人の総督が存在した。語られることの少ない“日韓併合時代”を大韓帝国滅亡に立ち合う悲運の国王高宗と純宗、暗躍する親日派高官、生命をかける抗日志士のそれぞれの生きざまを軸に展開する。知られざる歴史ー日韓の悲劇を描く壮大な近代史ドラマ。
’60年代の反戦運動の元闘士ペリー・ヒルダリーが通り魔に撃たれ死亡した。友人ハンク・ザーンは彼の遺言執行人だったが、死の3週間前に遺言が書きかえられていることを発見する。それは実子を完全に排除し、100万ドルの遺産を4人の男女に贈るという意外なものだった。1人は若く美貌の女性キャスター、1人はうさん臭い離婚訴訟専門家。女探偵シャロン・マコーンはそこに犯罪の匂いを嗅ぎつけるー。
昭和62年10月、中曽根裁定によって内閣総理大臣となった竹下登だが、政局は消費税導入をめぐる国民、野党の猛烈な反発、さらに税制国会中に明るみに出たリクルート疑感によって混迷を深めていく。内閣官房副長官、小沢一郎とともに舞台裏の根回しに走り、“国対の神様”金丸信を税制特別委員長にかつぎ出し、懸命に野党との駆け引きをくり返す竹下だが、ついに退陣の腹を決める。激動期を描く政治ノベル。
左大臣、道長の治世-。大宮人の任官、昇任を決める除目の季節。武蔵国へ赴こうとした新任の国司、小野行正は逆賊、平将門の怨霊軍団に襲われ、気がふれてしまう。また、上総国の国司に任官した藤原治成も任地に赴く途中、逢坂山で同じ亡霊軍団に遭遇し、惨殺されるという怪事件が相次いだ。平安京の安穏を守ることを使命とする影法師は京職の隠れ法師と協力して、京の平和を乱す「平将門の亡霊軍団」の謎の正体を突き止めるため立ち上がった。
坂巻内科医院の院長、倫三が急死した。死因はウイルス性の脳炎によるものだった。同じ頃、彼が研究に通っていた明京医大の細菌学教室で、ウイルスの盗難事件が発覚しており、倫三は致死率100%の恐るべきウイルスに感染した可能性もあった。しかし、専門医による感染ルートの解明も不可能だった。果たしてウイルス利用の完全犯罪殺人は可能なのか。
源田実司令の発案ですすめられていた、紫電改を主力とする343空紫電改部隊が遂に編成された。先に始動している901潜以下の伊900型潜水艦部隊と合流することになる。インドネシア、フィリピンの輸送海路の保全のため、秘密基地ヤバ島から、南シナ海、セレベス海…へ、混成部隊が哨戒に出動する。折しも、米国が新型爆弾に成功し、輸送船でインドに輸送するとの情報を入手した源田司令は、三四三空の混成部隊に、この輸送船団の撃沈を指令する。そのころ東京上空は、中国から飛来するB-29の襲撃をうけていた。インド洋上では、米国輸送船団めがけ、空から紫電改部隊が爆弾を、海から901潜以下が魚雷を、集中砲火していた。
卓越した性技で次々と女子社員たちの肉体を漁る人事課長補佐・弓削清。彼の狙いは、直属上司であり次期社長候補夫人でもある魚住志麻を自らの性の虜にすることにあった。立場上、志麻部長の言いなりになるふりをしながらも、様々な恥戯で徐々に彼女を手なずけていく弓削。だがそんな彼の歪んだセックスの裏にはある暗い過去が影を落としていた…。長篇官能ロマン。
インドから「光り輝く島」(スリランカ)へ移住し、小さな町の駅前で粗末な茶店をいとなむ男、レンガサーミ。タミル人の彼は、シンハラ人優位の社会で、シンハラ人になりきろうと健気な努力をかさねてきた。妻と年ごろの娘との、貧しいながらも平穏な生活。だが、彼がきずいた人生は、町の映画館でおきた些細な出来事をきっかけに一変するー。仏教とヒンドゥー教、シンハラ語とタミル語…さまざまな民族と文化がせめぎ合う国スリランカ。その複雑な社会で、少数派として生きるレンガサーミの姿を、シンハラ人の「私」が友人の眼で描写する。開発の波に洗われ変わりゆく町を舞台に、スリランカの根源的な問題を浮き彫りにした力作長編。
異世界“バイストン・ウェル”へと不幸にして召喚されてしまった、現代っ子の主人公・千秋クリストファ。流浪の民メトメウス族から伝説の聖戦士“ガーゼィの翼”として期待と不安を一身に背負わされ、自分なりに、なんとかがんばってはみたものの、やはり現実は厳しかった。「これからどうしよう」と嘆く彼を無視するかのように、さらに過酷な世界が待ち受ける第2巻が登場。
父アンシュラーク王によってヴァンクールにテレポートされたことを知った王子フリンは、父の本意を確かめそして本当の自由を得るために、戦乙女(ヴァルキリー)のデュカとともに故郷アインシュタットへと向かう。魔界の悪魔(デーモン)インダール、大吸血鬼(ヴァンパイア・ロード)ギルバルス、そして父アンシュラーク王が、悲運の王子の運命を翻弄していく。叶わぬ熱い想いに悩み苦しむ者たちもまた思わぬ運命へと導かれていくが。
「エリック、なんて変ったんでしょう」ともに少年期を過ごした館に帰り着いたエリック、コンラートのふたりを迎えたのはコンラートの姉ソフィーだった。第一次世界大戦とロシア革命の動乱期、バルト海沿岸地方の混乱を背景に3人の男女と愛と死のドラマが展開する。フランスの女流作家ユルスナール(1903-87)の傑作。
劇場を地上げ屋から守るべく企画された連続公演で、ジョスリンは幸運にも第一弾『バーバラ少佐』の演出を任されることになった。ところが試演初日のカーテン・コールの中、役者の一人が謎めいた心臓発作に見舞われ死亡を遂げる。試作錯誤の果てに事件の奥に潜む真実を見抜いたジョスリンが、思いかけず迫られることになった重大な決断とは…。ファニーでシリアスな第三弾。
片山里の湖畔亭、草鞋を脱いだ男がひとり。旅のお供はからくり眼鏡、風呂場に仕掛けて悦に入る。ある夜目にした光景に、心乱れて気は差して…警察も匙を投げた世にも不思議な「A湖畔の怪事件」とは。五年間の沈黙を破って、湖水の底に葬られた真相を吐露する手記。作品を巡る多彩なエピソードで知られる『一寸法師』を同時収録。連載時の挿絵に乗せて、往時の感興を再び。
連続殺人の犠牲者は、みな雛人形を抱えていた。名人人形師の遺作という五体の人形には、どんな秘密が隠されているのか。日ごろ子どもに手習いを教える異色の同心いろはの左近は、この謎をどう解く。推理小説の手法も鮮やかな表題作をはじめ、般若面をつけた生首の怪を追う『鬼面三人組』、刺青を彫った死体ばかりが盗まれる『美しき白鬼』など、巨匠の抜群の小説技巧を示す初期捕物帳七作を収録。
いかに厳重に見張られていても、巧みに家を抜け出してゆく美少女〓@49A3@、媚術に翻弄される五六。一方、孔子の使いとして費城に赴いた公冶長は、意外な裏切りの存在を知る。邪な少正卯一味に攪乱される孔子一族の危機。春秋の世を戦国の世に踏み込ませていったのは誰か-。東洋の房中医学にも分け入る、驚異の第5巻。中島敦記念賞受賞。