1995年発売
時は万延元年、1860年。日米修好使節団が咸臨丸で太平洋を渡った。勝海舟、ジョン万次郎、福沢諭吉…幕末史に登場する多彩な人々に混じって尊攘派の水戸藩士・上条健吉とニンジャ・為次郎が乗船していた。小栗豊後守の刺客・上条とサムライになりたかったニンジャ・為次郎、ふたりの目的は違っていたが西部の大平原が彼らの運命を変えた。
最愛の妹・幸菜の死を契機に、忠之は甥・千幸を引き取る。しかし、冷めた視線の千幸に、忠之は戸惑うばかりだった。そんな時、忠之の経営する会社が何者かに乗っとられる。途方に暮れる忠之を励ます千幸-お互いに強く魅かれはじめた二人の行き着く先は、楽園なのか、それとも…。小林蒼の描く、究極のイノセント・ワールド。
タクシーの運転手がこんな話をしていた。彼はカラオケバーで会った女から聞いたという…。ブティックの試着室で次々と消える少女たち、ガイジンたちの間で有名な古びたコインロッカー、そして、男を去勢する謎のウィルス…。あなたは今、増殖する噂の群れの先頭にいる。悪夢と祈りに満ちた都市のフォークロア六十余編。
旗本小普請組の晴気竜行は囚われの身となった友人を救うため刺客の仕事を引き受けた。約束通り、丹後田辺藩の重臣の暗殺に成功したが、友人は謎の自害をしていた。刺客として生きる道を選んだ男たちを描く長編剣豪小説巨編。
死よりも甘い快楽(トリップ)、愛よりも残酷な涅槃(ニルヴァーナ)へ-。究極のドラッグ=SATORIをのむとき、脳内にひびく老師(グル)の教え。90年代をふるわせる芥川賞候補作家の不敵な挑発。
老舗の酒造メーカー・日本酒造がビール生産に乗り出した。広告戦略を担当する東阪広告は、CMキャラクターに新進俳優・水島紀之を起用する。だが海外ロケ直前に水島側がキャンセルを。対応に苦慮した東阪広告の堂門百合子は、窓際部長・舘脇一輝に事態の収拾を依頼。舘脇流の収拾策により、ロケは無事終了するが、帰国の際、水島にある事件が発生。さらに日本酒造の意外な対応により、東阪は窮地に追い込まれる。舘脇は独自の方法で対応に乗り出すが、複雑に絡み合う利権構造は新たな事態を生み出す。
ロシアのスペース・シャトル“ブラン”を破壊するため、NASAの全面的支援のもと天翔は三度、宇宙へと飛び立った。しかし、ブランは天翔の放ったミサイルを難なく躱して帰投してしまう。失意のまま硫黄島に帰還した篠原原達を待っていたのは、周囲の批難と罵声だった。再度の決戦をめざし訓練に励む天翔隊だが、そんな中、日本上空に反射衛星を投入するため再びブランが打ち上げられるとの情報が届く。いよいよ天翔対ブランの一騎打ちの時が迫る。
『インド夜想曲』の作者タブッキが、魔術を駆使してオールディーズの世界をノスタルジックに描く。ものうい夏の午後、ドリス・デイの「ケ・セラ・セラ」の歌声が、「ヴォラーレ」のメロディーが聞こえてくる。
三カ月前に交通事故で死んだはずの不倫相手によく似た男を、街で見掛けたOL。そんなはずは…。彼女の背後にはドス黒い陰謀が密かに迫っていた-日常と隣り合わせの犯罪の魔手、突然降り懸る不可解な出来事、身に覚えのない事件に巻き込まれる男と女…現代社会の裏面を鋭く抉り出す、本格傑作ミステリー。
199×年。世界があのキューバ危機以来の第三次世界大戦勃発の恐怖に直面した。ロシアの国粋主義者と旧ソ連軍の不満分子が手を組み、シベリアの核ミサイル基地を占拠し、アメリカと日本を攻撃するという脅しをかけてきたのだ。米海軍精鋭の原子力潜水艦『アラバマ』に出動の命令が下った。艦長はF・ラムジー大佐(ジーン・ハックマン)、そして新任の副艦長がR・ハンター少佐(デンゼル・ワシントン)。潜行12日目、敵潜水艦と遭遇した『アラバマ』にペンタゴンから命令が送信されてくる。だが、敵の魚雷が船体をかすめて爆発、『アラバマ』の通信設備が作動しなくなってしまった。敵ミサイル基地への攻撃をすべきか、否か。〔即時攻撃〕を主張するラムジー艦長、〔命令の再確認〕を強く求める副艦長のハンター。『アラバマ』の艦内は二派に分裂し、男たちの息づまる戦いが始まった。