1996年12月発売
相手を殺すつもりでパンチを繰り出す異常なほどの闘争心と自制心のなさが、鳴海をボクシング界から追放し、いまでは暴力団組長の用心棒…とびきりの美女を抱く時も、他人に隙を見せない警戒心は元プロ・ボクサーの哀しい習性か…緊迫の官能バイオレンス。
宇宙空間を故郷とし、強大な星間帝国を築いて、銀河の半分を支配するアーヴ。帝国では、三年前に「人類統合体」に制圧された星々を奪いかえすため、今まさに大規模な作戦行動が始まろうとしていた。戦争を前に、編成される大艦隊。その中に一隻の小さな突撃艦があった。艦の名は「バースロイル」。ラフィールが指揮する最初の船だった。
クリスマス・イヴまであと三日。南カリフォルニアの老人ホームにいる孤独な老婦人ふたり。一方だけが善と信仰と希望とを今でも信じている。そうして自分の子どもたちに電話をかけさえすれば、見知らぬ旅人「ストレンジャー」に対する思いやりが存在することを証明できると思っている。ところが、信じられないようなことが起こって、ふたりの人生観は根底から揺さぶられることに…。
1934年カンザス・シティ。大恐慌でアメリカ全土が不況にあえぐ中、ギャングが幅を利かすこの街だけは異様な活気に満ちていた。民主党の悪徳政治家ペンダーガストが裏で操作する、不正はびこる選挙の前日。強盗を働いて黒人ギャングに捕まった夫を取り戻したい一心で、ブロンディは、ルーズヴェルト大統領の顧問、ヘンリー・スティルトンの妻を誘拐する。誘拐犯と人質として行動を共にするうち、二人の女性の間には奇妙な信頼関係が生まれるが…。
潜水禁止地域の川で発見されたジャーナリストの変死体。溺死か、他殺か?ダイビングの目的は?男の背後を探るうちに浮かびあがってくる狂信的カルト教団の影。やがて、全米を震撼させる事件が勃発する。天才プログラマー・ルーシーの力を得て巨大な陰謀に立ちむかうスカーペッタ。
結婚しない人は恋をすればいいー。別れた男へ電話する予感をここちよく思う女。親友の恋の行方を静観する男。不倫と割り切る寂しさ、恋を恋する喜び。男と女の綾なす恋模様を、ますます円熟味あふれる筆致で描く大人のための十二編の小説集。それは昨日のあなたかもしれないし、明日のあなたかもしれない。
ブルゴーニュのシャトー・ホテルに、日本人の新婚カップルが到着した。豪華な結婚披露宴に招かれて、花嫁の友人たちも同行したが、新妻の香菜は青ざめて、何かに怯えている様子。そしてパーティの夜、ホテルの塔が燃え上り、若い女性の無惨な焼死体が…。暗い情熱のもたらした悲劇を華麗に描く、推理長編。
殺人鬼につけられたニックネームは、フラッシュ。実際、目を覆う殺人だった。二十二歳の青年がハンドルに手錠で繋がれて、ガソリンを浴びた体に火を点けられたのだ。捜査官ソアラが死ぬ間際の犠牲者から得た情報は、「犯人は若くて小柄な白人女性。ブロンドで目は茶色」。ゆきずりの犯行か、計画的殺人か?全米話題作。
自称“ボケ老人”の映画監督八十一歳とベテラン女優の妻。慈しみあい静かに暮らす二人の前に、生まれたての野良ネコがひょっこりあらわれた-。新作に執念を燃やす老監督。大人への階段をまっしぐらに昇る子ネコ。それぞれの、力いっぱいの「生」を描いた感動のストーリー。
長い眠りからさめたジュナは、目の前の自分の姿に息をのんだ。頭髪は消え去り、鉤爪が生え、肌は鮮やかなオレンジ色だ。いったいなぜ?わたしは異星の熱帯雨林で死にかけていたはずなのに…ジュナを救い、その身体を改造したのは、密林に住む原住民テンドゥだった。人類のたびかさなる調査でも発見できなかった異星種族が、ついにその驚くべき力を現わしたのだ!見知らぬ緑の星にとり残されたジュナの運命は…。
ジュナの生存を絶望視した仲間たちは、宇宙の彼方へ去ってしまった。いつか地球に戻る日まで、テンドゥと共に生きるほかない。そう決意したジュナだったが、異質な皮膚言語を操るテンドゥの生態にとまどうばかり。しかもテンドゥは、地球人に森を焼かれた憎しみをジュナにまともにぶつけてきた…『ヴァーチャル・ガール』の著者トムスンが、二つの種族の出会いと交流を情感ゆたかに描きあげた、ファン待望の長篇第二作。
スパーホークと仲間たちが、軍神シルゴンを崇める邪悪な古代民族と戦闘を繰り広げていたまさにそのときーエラナ女王が暗黒の魔術師の一味にさらわれた!スパーホークたちは手分けして女王の行方を探しはじめた。一方、スパーホーク一行の援軍としてイオシア大陸を出発した聖騎士の大部隊は、タムール帝国に足を踏み入れたとたん、巨大な怪物に率いられた謎の巨人戦士軍団と遭遇。無敵の聖騎士団に最大の危機が…。
ニューヨークで活躍するファッション写真家ナン・ルーカスは8歳の息子スティーヴンを連れ、20年ぶりにテネシー州の田舎の家を訪れた。最近、逝去した祖母がそこを遺産として遺してくれたのだ。そこでナンは奇妙な声を聞き、不思議な少年を見かける。しかも、友達のいないスティーヴンは空想上の友人ウッディと遊ぶようになった。やがて、ナンの周囲では怪異な事件がつぎつぎと起こりはじめるが…話題の心理サスペンス。
十一月のある雨の夜、精神科医がハンマーで頭を殴打され、両眼を潰されて殺された。ニューヨーク市警が捜査を開始するが、事件は奥深かった。被害者の父親である不動産王と未亡人から圧力をかけられた市警は、元刑事部長のディレイニーに協力を求める。だが有能な刑事たちと進めるディレイニーの調査も難航、しかも市警本部内の勢力争いのため、事件は年内に解決しなければならなかった。新訳で贈る人気シリーズ第四弾。
大好きな街ニューヨークが、今は涙で曇ってみえるーニューヨークの財団の所長を務める友人のキャロルが強盗殺人にあったとの知らせに、わたしは現地へ飛んだ。その直前、彼女はわたしの留守番電話に謎の伝言を残していた。しかも彼女は、厄介事をたくさんかかえていたらしい。死因に疑問を抱いたわたしは、キャロルの伝言の意味を調べはじめるが…大都会で独り、友人の死の真相を探るジェニー。人気シリーズ第七作。
判事になったデボラは激務の間をぬって、貧しい家族のために家を建てる活動に手を貸していた。だが建築現場で姪が男に乱暴され、その男が何者かに撲殺された。死体を発見したデボラは事件に巻き込まれ、さらに次々と不可解な謎が。アメリカ探偵作家クラブ賞、アンソニー賞、アガサ賞、マカヴィティ賞を受賞した話題作『密造人の娘』に続くシリーズ第二弾。
猫の名探偵フランシスは、飼い主のグスタフの家で、哲学的思索にふける幸福な毎日を送っていた。が、しかし。そこに現われたのが思いもしなかった闖入者。なんと飼い主のグスタフが恋人をつくり、共同生活をはじめたのだ。しかもその恋人というのが、大の猫嫌い。フランシスにたいして、何やらよからぬことを企んでいるらしい。身の危険を感じたフランシスは、自由気儘なひとり旅に出ることに。ところが、旅の第一歩を踏み出したとたん、フランシスは大雨で起こった濁流に流され、下水道に落ちてしまう。そこで遭遇したのが、誰に知られることなく下水道で暮している猫のグループ。フランシスは彼らから、いま凶悪な連続猫殺害事件が起きていることを教えられる。そればかりか、その推理力を見込まれ、容疑者と目されている「黒い騎士」を見つけ出してくれと依頼されるのだが-。
クリスマスまであと二日、という日のこと。八歳になる少年のマークが窓の外を見ていると、ひらひらと雪が降ってくる。そのひとひらを大切に冷蔵庫にしまって、マークはある計画を思いつく。そうだ、この雪を誰かにプレゼントしよう!世界でいちばん美しい心をもったひとに…自分の贈り物にふさわしい人物を探すため、マークはさっそく町へでかけるのだが-。たったひとひらの雪が教えてくれた、人生でいちばん大切なものとは?-誰もが優しい気持ちになれる、珠玉のクリスマス・ストーリー。
1965年、アメリカ一のマフィア・ファミリーのボス、ドン・ドメニコ・クレリクーツィオは、自分の身近な血縁にあたる二人の子ども、ダンテとクロスの洗礼式を祝ったのち、声明を発表した。「いまから20年後、われわれはすべて合法的な世界に埋没しているだろう。二人の幼な児は、われわれと同じ罪を犯したり、同じ危険にさらされたりすることはないだろう…」だが、ドンの強大な権力を持ってしても、運命の歯車を止めることはできなかった。クロスの父、ピッピの引退後、ファミリーの“鉄槌”的存在となり、生まれもった攻撃的気質を武器に、自らの野心を高めていくダンテ。ラスヴェガスで育てられたのち、ハリウッド女優と情熱的な恋に落ち、幹部の意向を無視して、映画産業にかかわっていくクロス。ふたりの生きる道は、やがて非情にも交わりはじめる…。