小説むすび | 1996年4月30日発売

1996年4月30日発売

真紅のレクイエム真紅のレクイエム

ピットマンはかつて優秀な記者だった。息子の死の傷手から立ち直れず、酒に溺れていたが、危篤の報が入ったある人物の死亡記事を生涯で最後の仕事とし、その後は自殺しようと心に決めていた。その男は、アメリカの外交政策を陰で操る五人の「大顧問」のひとりで、元大物外交官だった。病院から拉致された男の居場所を突きとめた彼は、そこで一堂に会した「大顧問」の姿を目撃し、さらに病床に伏す男が発した謎の言葉を聞いてしまうが、あえなく見つかってしまい、命からがら逃げ出すことになる。翌朝のニュースを見た彼は愕然とした。例の男は殺害され、犯行の容疑者として、自分の名が報じられていたのだ。かくして、ピットマンは「大顧問」たちから追われる身となった。だが、逃避行の中途で助けを求めた看護婦ジルの優しい愛情に触れるうちに、一度は死を決意した彼の心に、今一度、生への強い欲望が湧きあがる。そして、男が残した謎の言葉を手がかりに、歴史の闇に葬られていた「大顧問」の恐るべき過去が明らかになった時、決死の反撃の火ぶたが切って落とされた…。

ゼロの誘いゼロの誘い

コネティカットのランディー・ケンブリッジという十九歳の若者からバークに仕事の依頼が入った。ランディーの母親は、昔バークがロンドンで知り合ったクラブのウェイトレス、チェリイだった。バークは若者の話を聞いてやった。彼は最近、自分の周囲で十代の友人の自殺が続いているが、自分も死ななければならないような気がして不安だからボディガードをしてくれという。いまひとつ釈然としない話だったが、バークはコネティカットに赴き、調査をすることにした。母親が海外出張中のランディーの家には、ファンシイという三十代前半の女が出入りしていた。彼女は最初から思わせぶりな様子で、バークをSMプレイに誘うが、バークは肉体は支配できても心までは支配できないことを思い知らせた。そしてファンシイにはチャームという双子の妹がいて、少女の頃、父親からひどく虐待されていた。一方、依頼人のランディーと日を過ごすうちに、バークは気のいいこの若者に好感を抱くようになった。バークの調査が進むにつれ、自殺した若者たちに共通する事実も判明した。それは、彼らが精神科医ドクター・バリモアの診療所に通院か入院をしていたという事実で、背後には残忍かつ非情な秘密が隠されていた。NYのアウトロー探偵バークとその仲間たちが三年ぶりにカムバック。ノワールな味わいを強めて再開する人気ハードボイルド・シリーズ第七弾。

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