1996年発売
犯罪心理学者のヘレン・ハドソンは、連続殺人鬼のカラムに命を狙われて以来、広場恐怖症になり、部屋に籠もって怯え暮らしてきた。サンフランシスコ市警の辣腕女性刑事モナハンは、再び起きた女性連続殺人を解決する糸口を探していたー。モナハンの要請で、連続殺人の手口を分析したハドソンは、不気味な事実に気がついた。誰かが過去の異常犯罪の手口をコピーしていることに…。
江戸南町奉行より密命を受け、裏探索方を務める内与力の早乙女源六は、配下に定町廻り同心筧彦七、岡っ引き甚八ら六人を従えていた。その源六らが、妙な事件に巻き込まれる。一刀のもとに斬殺された死体を発見するが、辻斬りの目的は物盗りではなく大小の抜き身にあり、しかも次々と襲われるのは薩摩藩士だった。何故刀を。やがて、刀に隠された真相と謎の集団を追って、源六たちは京へと上る。長篇本格時代小説。
学校を守護するような大きな桜の下で出逢った少年二人、修司と圭。互いに想い互いに避け、絡み合わない小さな恋。この恋は君が語る前に僕が語らなければ始まらない。だからがんばって。いつも桜は恋する少年達を守護している。いつか恋する人に追いつこうとがんばっている少年も。いつまでも恋する人を忘れられずにがんばっている少年も。春原いずみが貴方に贈るオムニバスラヴストーリィ。
兄への禁じられた恋を忘れたいが、忘れられない。そんな想いに押し漬されて苦しむ樹と、それを見守る巧。2人の前に兄と似た裕之が現れて動揺する樹に迫る。脳裏に8年前の過去が甦る。この想いから逃れる事はできないのだろうか。苦しむ樹の秘められた力が裕之を傷つけた。この力がすべていけないんだ-錯乱した樹を巧は救えるか。そして樹の想いはどうなるか。藤隆が貴方に贈る純愛物語。
能の名作「善知島(うとう)」を素材に、人間存在の無明の深淵をあざやかに浮き彫りにした表題の傑作のほか、古典より材を得て、自在かつ縦横に小説世界を構築した、人間凝視の鋭さに満ちた著者の代表的短篇集の待望の文庫化。
第六学級B組でのあたらしい学年を記念して、オヅ先生の提案で始められた学級日誌。終わりゆく世界のなかで夢み、成長する少年たち。たがいに傷つけあい、いやしあう学校ともだちの一年間を、彼ら自身のことばで綴る珠玉作。
桜散る闇と殺りくの街・スプラッタシティでくりひろげられる“夢の中の「私」”桃木跳蛇とゾンビたちとの壮絶なバトルー今世紀最大、史上空前の悪夢を出現させる笙野文学の代表作にして、現代文学の金字塔、待望の文庫化。
なんとしても家康に逢い、秀吉討伐に立たねばならぬ。それには敵陣の中、越中から真冬の北アルプスを越えて行かねばならない。成政は必死の形相の従臣たちに向かってこう言い放った。「佐々の存亡はこの一事にかかっている。皆の生命をわしにくれ」とー。信長への忠義の念から、秀吉の天下奪取に抵抗し続けた佐々成政。武人としての誠実さに殉じた男の生涯を描く書き下ろし歴史小説。
宇宙に浮かぶ、青い、水の星。海の中に浮かぶ、五つの大陸と島々。そこには、この星を守ろうとする人々と、青い星を壊そうとする人々がいる。本書は、青い星と平和を守ろうとする人々の、怒りと涙に満ちたすべての存在の、抗議の寓話集である。
大阪・天満橋から三十石船に乗り込んだ夢野幻十郎。彼は舳先に座っている二人連れの女に近づいた。17、8の娘と30前後の年増である。千人供養の第一番はこのどちらかに決めた…。色公卿・高倉色道軒の千人供養満願成就にケチをつけたのがキッカケで、自らも3年以内に千人の女と媾合う願をかけるハメになった幻十郎の色ごよみ。
徳川家康が七十五年の生涯を閉じ、その遺骸は駿府の久能山の仮殿に安置された。翌年、伊賀の忍び滝野右近が遺品を盗みに仮殿に侵入し、家康の遺体を見て驚愕した。“首がない。”仮殿を逃げ出した右近に襲いかかる幕府の伊賀服部軍団。彼らを操るのは影の将軍、怪僧天海。徳川将軍家康安泰と己れの権力への野望をみたすべく家康の首が密教呪法の外法にかけられた。
本書は「現代の『紅楼夢』」「記念碑」「奇書」「後世に伝わる書」と賛美の反面、「モラル不在の作品」「反共」「猥本」「作者を法により罰せよ」と罵詈雑言を浴びた。そこに描かれているのは二十世紀末の中国の現実であり、中国人の生存情況や精神位相、および生命意識などである。