1997年3月発売
フランス語教師の優しいハルと八歳の一人娘ケイトリンとともに幸せに暮らしているサマンサには悩みがあった。八年前、浜辺で倒れているところを発見された彼女にはそれ以前の記憶がまったくなかったのだ。私立探偵を雇い、過去の自分の正体を調べつづけているがままならない。やがて、ある事故をきっかけにして、サマンサは過去の記憶を取り戻しかけるが、謎の殺し屋たちが彼女に迫ってきていた…。
若くして図書館の館長を務めるジョーダン・ポティートは、わが身の不運を嘆いた。自分の図書館で殺人事件が起き、その容疑者にされたのだ。被害者は、ジョーダンや彼の母親などの名前を記した奇妙なメモを持っていた。真相を探るため彼は調査を始めるが…複雑な謎と感動的なラストシーン。アガサ賞、マカヴィティ賞の最優秀処女長篇賞を受賞した話題作。
1939年、砂漠で碑文の発掘を続けていたドイツ人考古学者ムラーは、ついにシバの神殿の発見に成功した。第二次世界大戦の勃発を目前にひかえ、折りしもスエズ運河の破壊をたくらんでいたヒトラーは、神殿を破壊工作の拠点とするべく、ムラーをベルリンへ召喚する。一方そのころ、アデン湾に臨む港町ダーレインをねじろにするアメリカ人船長ギャヴィンのもとを、イギリス人の女ルースが訪ねてくる。神殿をさがしもとめて行方不明になった夫を捜すため、協力してくれないかというのだ。かくして砂漠へ向かった彼らの行く手では、世界を揺るがすナチス・ドイツの陰謀が着々と進行していた。
ミックス&マッチ殺人鬼-被害者たちをバラバラに切断し、頭部や四肢を寄せ集めてつなぎ合わせては死体を遺棄することから、こう名づけられた猟奇殺人犯は、実はCIAが旧ソ連からひそかに亡命させ、保護・監視していた元KGBの大佐ジョン・マリクだった。事実の隠蔽を目論むCIAは、警察やFBIにはいっさいの真相を伏せ、内密裡にマリクを捕らえることを決定する。そこで白羽の矢が立てられたのが、亡命前からマリクの性向を熟知している元ベテラン工作員のマイク・カリーだった。CIAの秘密工作を擁護するため偽証罪に問われ、連邦刑務所に服役していたカリーは、かつて自分を裏切ったCIAに複雑な思いを抱きながらもマリク捜索の任に着いた。一方、この動きを察知したFBI側も心理分析官のジャック・マシューズを捜査に当たらせ、徐々に犯人像に迫りつつあった…。かくして、KGB仕込みの殺人、暗殺、拷問のテクニックを駆使して次々と犯行を重ねる恐るべきサイコ・キラーとCIA、FBIの三つ巴の闘いが始まった。
三田麻衣子は、広告代理店「北斗七星」四大卒入社五年目の二十八歳。今期の社内異動で社内最強軍団といわれる大原チームへの所属が決まった。配属早々、ドラゴンビールの経営する青山店オープニングのプロデュースと運営への参画を申し渡された。ドラゴンビールの宣伝に憧れて入社した麻衣子だったが、イベントまでわずか八ヵ月しかない。
冷たい空気の流れるアメリカ、ミネソタ州。ラスベガスのショーガールを夢見るフレディはギャングのレッドの金を盗んだと因縁をつけられ、その代償として愛してもいないサムと結婚させられようとしていた。そこへ20年ぶりにサムの弟ジャックスが舞い戻る。久しぶりに会っても冷たい家族に失望する彼と、絶望のどん底にあるフレディは激しい恋に落ちる。が、嫉妬に狂ったサムが許すはずもなかったー。
戊辰に始まった徳川幕府と薩長連合軍の戦いは、慶喜の意志を受けた榎本武揚が幕府艦隊を率いて脱走し針路を北に取り、北海道国を打ち立てたことで、日本を二つに割る大戦争となった。二度にわたる津軽海戦の結果、太政官軍が勝利を収め、両国は休戦条約を結んだ。分裂の危機を回避した日本に迫る新たなる危機-それは、北の猛獣ロシアの存在だった。1874年6月、樺太で監視につく男たちの目の前にロシアの装甲艦の姿があった。甲板にぎっしりとつまっていた兵はボートに分乗し、ついに上陸を開始した…。樺太からロシアを追い出すために開戦を決意した日本は、総力を結集し、北の海に向かう。対するロシアは、バルト海から最新鋭艦を回航した太平洋艦隊で日本に挑む。ついに、日本の命運を賭した壮絶なる艦隊決戦の幕が開く。
連合艦隊司令部が陸上から指揮をとる異例の事態で発令された作戦第一弾は、空母飛行機隊により米輸送船の強襲であった。ガダルカナル沖での日米の熾烈な攻防戦が始まる。米海軍の新鋭機F6Fの待ち伏せに遭い、緒戦は痛み分けとなった。再度、敵戦闘機を撃破すべく零戦隊が飛び立った直後、山本五十六連合艦隊司令長官に内地帰還の命令が届いた。超大鳳を核とする新機動部隊編制に山本の意見が必要とされたのである。山本は帰国すべく、急遽ラバウルを飛び立った。同じ頃、この緊急電報をキャッチしていた米空母ホーネットでは、山本機を撃墜すべく、80機のグラマンに出撃準備が命じられていた。日米の命運を分ける出来事が起きようとしていた。
生きることは死ぬことであり、死ぬことは生きることでもある。生と死はいつも背中合わせであり、死を見つめることで新たな生気を得ることもできる。ひとつひとつの死の中に愛と悲しみを垣間見た-感動の書き下ろし短編集。
時代の俳優・伊関拓朗は、毎日仕事に追われ、大手広告代理店課長である恋人・永見潔との逢瀬もままならない。そんな時、二人が知り合うきっかけとなったCMの映画化により、一緒に仕事ができることになった。だが、喜びも束の間、突然東堂潮が共演者として現れ…!?『engage』シリーズ第1弾、満を持してついに登場。
調所笑左衛門の改革策断行で、薩摩藩は財政立て直しに成功した。だが藩主斉興は世子斉彬に家督を譲ろうとしない。洋学好みの斉彬の浪費による財政再崩壊を恐れたのだ。一方、斉興の愛妾お由羅の方は、実子久光への家督継承を画策。その意を受けた兵道家牧仲太郎は、斉彬の子どもたちの呪殺を謀り、斉彬派の軽輩武士は陰謀暴露に奔命する。-藩情一触即発の風雲をはらむ南国藩「お由羅騒動」の顛末。
果てしなく求め、無限に連なる快楽のひだに身をまかせながら駆け抜ける、男と女のセクシュアルな関係を妖しく揺れうごく心理とともに描きだす。過激に、大胆に、繊細に、そして軽やかにとらえた様ざまな恋愛のすがた。九編を収録。
足が悪いジョゼは車椅子がないと動けない。ほとんど外出したことのない、市松人形のようなジョゼと、大学を出たばかりの共棲みの管理人、恒夫。どこかあやうくて、不思議にエロティックな男女の関係を描く表題作「ジョゼと虎と魚たち」。他に、仕事をもったオトナの女を主人公にさまざまな愛と別れを描いて、素敵に胸おどる短篇、八篇を収録した珠玉の作品集。
「簒奪者め」-スティーヴンは長い一日を歩き始める!『ユリシーズ』の第一巻、『スティーヴン・デッダラスの巻』とも言える三挿話「テレマコス」「ネストール」「プロテウス」の全訳。一字一句の驚くべき洗い直しと彫琢を通して顕れる、全く新しいスリリングな作品世界。
ピエールは30代後半の高校教師。妻のアニーはキャリア・ウーマン。この夫婦には一見、不和も亀裂もない。だがピエールは4年前から、ロールと不倫の関係にあった…。不倫の愛のかたちを鮮烈に描いた現代フランス文学の傑作。ベストセラー。
俊はご近所一帯を仕切る高2のヤンキーだ。しかし、彼にはトップシークレット級の弱点があった。-天才少年の名をほしいままにしている呉清一郎(小六)に、愛を囁かれながら日々セクハラをうけているのだ。その「愛」を受け入れたくない俊だったが、ビデオ出演という形でとうとう清一郎と本当のSEXをするハメになり-!?水戸泉が贈る待望のサディスティックコメディ。