1997年3月発売
毒島町の財政は破綻寸前だ。予算を根こそぎ使ったあげく、町長はポックリあの世行き。残された者たちが苦しまぎれに思いついた、観光客誘致の妙手とは…?表題作をはじめ、人の心を読んで犯罪捜査を行う刑事が活躍する「チャネリング刑事」、謎の団体「裏プロレス」の死闘を描く「闇のリング」、ジュラシックならぬ「クラシック・パーク」など、バカバカしい笑いに溢れた11編。
「ミスターJ」は、放送作家の私が仲間と創りあげた架空のコラムニスト。この正体不明の男が評判を呼んだとき、私は実在の男にその役割を振りあてた。彼がこれほどの「怪物」に育つとは思いもよらずに。深夜放送で若者の苛立ちや鬱屈を代弁してカルト的人気をえた彼は、毒舌で大衆を扇動しつつ、攻撃の矛先を意外な方向にむけ始める…。情報化社会にひそむ恐怖を描く現代の都市伝説。
村田風子は女学生の時、8月9日に被爆した。終戦から5年後の1950年20歳の風子は、大阪の「中国研究会」に就職。その小さな編集室に光あふれる風子の青春があった。人妻と愛人関係にある編集長をはじめ、過去を背負いながら戦争を生きぬいてきた人達の生の輝きと静かな死…。還暦を迎えた風子は、あの日の自分の心を確認するために再度旅にでた。青春の光と影を描く自伝的長編小説。
死刑囚舎房の夏は、インディアン系囚人の処刑で始まった。その頃「グリーン・マイル」には不思議な鼠があらわれた。食べ物をやると神妙な態度で床にちょこんと座って食べ、糸巻きを相手にサーカスさながらの芸当をやる、驚くほど知性的な鼠だった。6人の人間を生きながら焼き殺した囚人ドラクロアが、この鼠の飼い主となったのだがー最悪の地獄がいま、始まろうとしていた…。
ローダン一行は異銀河の掠奪種族オルコノルから惑星シャカモナに関する情報を得た。そこには猛獣同士を闘わせる闘技場があり、タケル族要人が多数集まるという。そこでローダンはカピンの動静を探るため、タケル要人の誘拐を計画した。ロード・ツヴィーブスとタクヴォリアンを猛獣に仕立て、自らシャカモナに乗りこもうというのだ。闘技場惑星にむかう宇宙船を拿捕したテラナーたちはただちに潜入作戦を開始するが…。
名探偵シャーロック・ホームズがワトスン医師とともに事件を追って大活躍するアーサー・コナン・ドイルの名作『シャーロック・ホームズ物語』は、ほとんどの作品がヴィクトリア朝時代のロンドンを舞台としている。霧につつまれたロマンチックで邪悪な大英帝国最盛期の首都ロンドンの街の姿を、『ホームズ物語』の記述にのっとりながら当時の多数の写真で再現する。
ボーイはメイル夫妻に拾われた実在の犬である。素姓も知れぬ野良犬だったが、すぐに特異な才能を発揮し始め、同家の看板ともいうべき存在となった。本書は、ピーター・メイルが愛犬ボーイの口を借りて人間と現代社会を思う存分に論じた文明戯評である。イギリス的ユーモアと辛辣な観察に満ちた抱腹絶倒の物語でもある。全米一のイラストレイターの挿絵も話題。
「地獄」は実在し、そこに人間の魂を送り込むことが可能になった西暦2095年のアメリカ。恐怖政治を行う独裁者ソレックスの治下、「ヘル」は反逆者の魂の追放場所であり、「悪魔」たちの徘徊する無法地帯となっていた。そんな時代、政府の人工現実規制局で働いていたギデオンとレイチェルは、何故か政府から命を狙われる。身の潔白を証明するために、「ヘル」と現実世界を往復する二人の前に立ちはだかる邪悪な「悪魔」たち。謎と不条理と戦い、辿り着いた「ヘル」の真実とは?大人気ゲームソフト「HELL」の小説化。
最新鋭旅客機の低速飛行、そのとき、何が起こったか!!事故原因の調査は、果たしてどこまで真実に迫れるのか!?現実には、証拠を残さずに確実に墜落させてしまう方法がある!!「驚くほどひ弱な超ハイテク航空機」の未来を問う書き下ろし。
出向を拒否して通産省をとび出し民間会社に就職した馬淵英介は若いモデルと再婚する。殺人の刑期を終えた妻の祖母が同居し始めたことから、新家庭はとめどなく奇妙な方向へ傾き、ついに周囲の登場人物がそれぞれ勝手な「反乱」を企てるに到る。-現代的な都会の風俗を背景に、市民社会と個人の関係を知的ユーモアたっぷりに描いた現代の名作。谷崎潤一郎賞受賞。
ビクトリアの丘に風は吹きすさぶ。香港の中国返還を機に、世界のビッグビジネスの激しい闘いが始まった。アジア衛星、香港第二空港計画…香港マーケットを狙って、思惑が入り乱れる。中国をいかにコントロールするか。日本、アメリカ・イギリスの巨大資本が、香港を舞台に展開する熾烈な市場争奪戦。
思いのままに吹く風のように自由な医者タイガ、大きな愛情で優しくいたわってくれるダイチ。一つを選ぶということは、一つをなくすということ。ふたりのあいだでゆれる杏奈。震災に裂かれた神戸と聖なるヒマラヤを舞台に描く書き下ろし恋愛長編。
ロンドンに今も残る、異様な様式の七つの教会で発生した連続殺人。捜査にあたるホークスムア警視正の前に立ちはだかるのは、十八世紀の建築師ニコラス・ダイアーが仕掛けた「謎」-過去と現在を二つの文体で往復しながら読者を迷路に誘い込み、イギリス読書界を慄然とさせた現代の「言葉の魔術師」ピーター・アクロイドの最高傑作。
敵はヤクザ、政治家、建設会社、狙うは数十億円の巨大利権、そして相棒は…疫病神!?建設コンサルタント・二宮啓之が巻き込まれた「産業廃棄物処理場」をめぐる熾烈なシノギ合い。襲いかかる容赦ない暴力、やがて姿を現す巨悪の構図-小気味よい会話で描く関西風味ハードボイルドの頂点。