1997年発売
あの日から、すべてが崩壊に向かった。ある老人に行方不明の孫を捜してくれと頼まれた日からー家電販売会社で働くニックは、二週間前に突然失踪したアルバイトの少年ジミーを探しはじめた。まもなく彼は、少年が過激なパンクグループの男と謎の美女とともに消えたことを突きとめる。が、失踪事件はやがて麻薬絡みの殺人事件へと発展し…ハードボイルドの次代を担う新鋭が放つ、ノワールの香り漂う話題の新シリーズ。
魔都ニューヨークへ戻ってきたバークの許に、NY市警殺人課の女刑事ベリンダが会って頼みたいことがあると執拗に連絡してきた。一方、バークは幽霊ヴァンの一件以来、ベリンダと同じ殺人課の鬼刑事モラレスにもつきまとわれていた。バークはとりあえずベリンダに会うことにした。彼女の頼みというのは、連続レイプ殺人犯として逮捕されたジョージ・ピアソルは冤罪であり、それを証明するのに力を貸してくれということだった。彼女によれば、ピアソル逮捕の直接のきっかけになった事件には矛盾があり、署内の人物によって細工が施された形跡があるらしい。しかも驚いたことに、その人物はモラレスだと彼女はいう。バークは弁護士も加えてピアソル本人に会ってみたが、そのときのピアソルを見つめるベリンダの視線が妙に気になった。半信半疑のままバークは、馴染みの新聞記者や仲間たちとともにモラレスの過去や行動を調べていくと、たしかに、モラレスが真犯人ではないかと思えるような性向や事実がわかってきた。しかし、どう考えても、バークにはしっくりこなかった。そしてバークは、ベリンダの性急な働きかけとモラレスの圧力をかわしきれないまま、油断ならぬ無気味な空気をひしひしと感じさせられていく…。
自らのパートナーが捜査中に殺されて以来、ジャック・ウォルシュ刑事の人生は落ちていく一方だった。酒に溺れ、自暴自棄になり、ついには酔っ払い運転のあげく、ボストンの暗黒街を牛耳るマフィア・ファミリーのボス、ジョニー・ダンジェロの息子を事故死させてしまう。警官としての職も失い、刑務所で無為に服役するジャック。当然のことながら、そのころ塀の外ではダンジェロが、愛する息子を死に至らせた憎き男、ジャックへの復讐を固く誓っていた。刑期を終えたジャックのもとを連邦検事局のケイト・ハガーティが訪れた。ダンジェロにかねてから目をつけていたケイトは、彼を逮捕するために、ジャックに生き餌となるよう持ちかける。なかばやけになりながらも、囮役を引きうけたジャックは、しかし、パートナーの死とダンジェロが裏で深く関わっていたことを知り、自らの名誉と正義の回復をかけて、いまいちど決死の戦いに臨むことを決意した…。
研究実験施設「イコシエル」事件に端を発したイソギンチャクラーとの闘いが終わって、ひと月。ユリとケイはとりあえずさらなる敵の動向を探るため、薔薇十字学院で毎日を過ごしていたが、そうこうするうちに恒例の修学旅行が行われることになった。行く先は、大宇宙。豪華客船でのリッチでゴージャスな船旅、のはずだったが。前作で活躍した円行、ファン・スーに加えてインド人の美青年ディーバも登場。脇役陣もパワーアップ。
スコットランド高地では、昔から氏族同士の紛争が絶えなかった。今も、マックスティールとマクブララの両族が敵対し、一触即発の状態である。マックスティール族長の娘フィナは父と共に、強く平和を願っていた。その結果、フィナとマクブララ族の若者ブララデール伯爵との縁談がもち上がる。一方の伯爵は、ロンドンでの生活を享受していたが、故郷の現実を知り、若き族長としての義務感に駆られる。二人は気の進まぬまま、一族のためについに結婚を承諾したが…。
日中の溝が拡がる1930年代。美貌の娘・碧雲は神戸の日本人家庭に育てられた。突然舞い込む紙片に記されたメッセージー中国人であることを忘れるな!目に見えぬレールが彼女を故国へと導く。抗日運動の地下組織に身を投じる人々の、激烈な生を描く。
加速する日本軍の大陸侵略、次々と陥落してゆく都市。亡国の危機にさらされた中国を救おうと泥沼の戦場へ向かう同志たち。自分だけにしか出来ない仕事ー碧雲は地下組織からの使命に奔走する。乱世に生きる人間の宿命と愛。壮大なサスペンス・ロマン。
あいつはやはり生きていた!双葉山中に潜むあの殺人鬼が、麓の街に姿を現わしたのだ。凄惨きわまりない殺戮の狂宴が、いま再び始まる。他人の“目”になる不思議な能力を持った少年・真実哉との対決の行方は?そして明かされる、驚くべきその正体とは…。ミステリー界に一大衝撃をもたらした、新本格スプラッタ・ホラーの第二弾!あなたはこの恐怖に耐えられるか。
悪性腫瘍の手術から半年。免疫強化剤による宙を漂うような状態の中で、作家は小説を書いている。最後の作品になるかも知れぬ小説を、自分の頭蓋骨の内側に坐りこむのにも似た書斎で。私はあのとき確かに生きていたのだ、と感じられる場景に出会うために。想起することで高められ、強められる現実感を呼びよせようとして。死にも対峙し得る記憶の鮮烈、濃密な瞬間を…。野間文芸賞受賞。
昭和九年冬、江戸川乱歩はスランプに陥り、麻布の「張ホテル」に身を隠した。時に乱歩四十歳。滞在中の探偵小説マニアの人妻や、謎めいた美貌の中国人青年に心乱されながらも、乱歩はこの世のものとは思えぬエロティシズムにあふれた短編「梔子姫」を書き始めたー。乱歩以上に乱歩らしく濃密で妖しい作中作を織り込み、昭和初期の時代の匂いをリアルに描いた山本周五郎賞受賞作。
ある日突然、戦場からカチアートが消えた。8600マイル彼方のパリを目指して脱走したという。第三分隊は、追跡指令を受け、一路西へと進むが、神出鬼没のカチアートに翻弄されるばかり。蜃気楼のようなカチアートに幻惑されながら、彼らが旅路の果てに見出したものは…。兵士たちの奇想天外な冒険と奔放なファンタジーが交錯する、ヴェトナム戦争が生んだ最高の小説。全米図書賞受賞。
時は1932年、舞台はアメリカ南部のコールド・マウンテン刑務所の死刑囚舎房。この刑務所で死刑囚が電気椅子にたどりつくまでに歩く通路は、床が緑のリノリウムであることから、通称「グリーン・マイル」と呼ばれている。ここで起こった驚くべき出来事とは?そして電気椅子の真の恐ろしさとは?毎月1冊ずつ全6巻の分冊で刊行され、全米を熱狂させた超ベストセラー待望の第1巻。
パリの下町で怪しげな老人からモジリアーニの幻の絵の存在を聞き出した女子学生ディーはイタリアへと向かった。彼女の動きを嗅ぎつけたロンドンの画商達がその跡を極秘に追う。一方、大家至上主義のロンドン画壇へ憤りを募らせる気鋭の前衛画家は友人の美術教師とともに復讐を画策する…。企みと企みが複雑に絡み合うストーリー、巧緻な仕掛け、そして意外な結末を用意した野心作。
ガス室での死刑執行が目前に迫った69歳の死刑囚サム。実の祖父の弁護に奔走する26歳の弁護士アダム。あらゆる法的手段を駆使して救命に努めるが、刻々と迫る処刑の瞬間まで残された時間はあとわずか。もはや死刑をまぬがれることはできないのか?死刑制度そのものの問題点を抉りだし、死の恐怖と向き合う人々の苦悩を浮き彫りにした著者渾身の長編。
対ソ戦の出撃拠点として中東欧諸国の背後に兵站補給基地を計画した日米両国はドイツに残っている軍需工場の再生を急ぐ…。狙い通りスターリンはトルーマンの和平提案を蹴った。ここにソ連への攻撃が開始された。連合国軍第1空挺軍所属の6個空挺師団がバルト三国に飛びたった。そしてエストニアの首都・タリンには本間第9軍の第1師団と第5戦車旅団が、本隊の第9師団と第10師団はラトビアのリガに上陸を敢行した。連合国軍150個師団に及ぶソ連侵攻作戦の大展開。
毛利輝元と小早川隆景には秀吉の狙いが読めていた。四国の長曽我部攻略の際の大船団も毛利水軍を中核とさせ、九州の島津攻略にも参戦を強いられた。毛利の戦力を削ごうというのである。さらに小早川・吉川の両家を毛利から離そうと画策している…。毛利元就の天下統一の野望を実現させるべく、輝元と隆景は対秀吉、対家康への大知略戦を展開させる。
昭和、平成とあまたの作家が登場したが、この天才を越えた者がいただろうか? 近代知性の極に荒廃を見た作家の、光芒を放つ珠玉集。二十一世紀への心の遺産「現代日本文学館」その二
父は映画の脚本家、母は高校教師、優秀な三姉妹-モゼル家は、ロサンゼルスの高級住宅街に住むインテリ家族だったが…。ある日、母が家族を捨てて同僚の教師と駆け落ち。残された父はアルコール依存症と躁鬱病にかかり、耄碌していく。やがて独立した三姉妹は、次女のイヴを中心に、次々と騒動を起こす父の面倒をみることに…。