1999年1月発売
EU(欧州連合)版FBIともいうべきユーロポール。そこに誕生した初の心理分析官、クローディーン・カーターは、ソルボンヌ出身の才媛だ。連続殺人、臓器窃盗、悪魔信仰、ハイジャック、幼児売買、マフィアの復讐劇…国境を越え、民族を越えて頻発する猟奇、凶悪犯罪に果敢にいどみ、プロファイリングを駆使して犯人をあぶり出す。スリリングに展開する待望の新シリーズ12話。
色彩を判別できない女性写真家ケイ。親友の男娼ティムが惨殺され、彼女は独り、真相を探りはじめる。犯行の手口は、15年前に発生した連続殺人に酷似していた。その犯人が凶行を再開したのか?あるいは模倣犯か?ケイは一枚の葉書に導かれ、ティムの過去を知る“魔術師”の元へと向かった…。霧深いシスコを舞台に猟奇と幻想の世界を描き、巨匠たちを唸らせた匿名作家の問題作。
鎌倉に流れ込んだ何万とも知れない飢えた病者の大群。傍観するだけの幕府と朝廷。人間救済は口にするが手をこまねいているだけの宗教各派。なぜ忍性とその弟子たちだけが炎となって、「どん底びとの救済」に立ち上がったかーその原動力は?らい患者を背負い、病者を抱き、いかに治療し、いかに希望を持たせたか?天変地異、蒙古襲来の国家存亡の危機の中、幕府をいかにして動かし困窮の民を救済したか。鎌倉中期、極楽寺・悲田院・療病院、馬病舎を開き何十万の困民から父と慕われた中世日本のマザーテレサの愛(慈悲)と英知と行動力。
明治維新をとげ、近代国家の仲間入りをした日本は、息せき切って先進国に追いつこうとしていた。この時期を生きた四国松山出身の三人の男達ー日露戦争においてコサック騎兵を破った秋山好古、日本海海戦の参謀秋山真之兄弟と文学の世界に巨大な足跡を遺した正岡子規を中心に、昂揚の時代・明治の群像を描く長篇小説全八冊。
戦争が勃発した…。世界を吹き荒れる帝国主義の嵐は、維新からわずか二十数年の小国を根底からゆさぶり、日本は朝鮮をめぐって大国「清」と交戦状態に突入する。陸軍少佐秋山好古は騎兵を率い、海軍少尉真之も洋上に出撃した。一方正岡子規は胸を病みながらも近代短歌・俳句を確立しようと、旧弊な勢力との対決を決意する。
日清戦争から十年ーじりじりと南下する巨大な軍事国家ロシアの脅威に、日本は恐れおののいた。「戦争はありえない。なぜならば私が欲しないから」とロシア皇帝ニコライ二世はいった。しかし、両国の激突はもはや避けえない。病の床で数々の偉業をなしとげた正岡子規は戦争の足音を聞きつつ燃えつきるようにして、逝った。
明治三十七年二月、日露は戦端を開いた。豊富な兵力を持つ大国に挑んだ、戦費もろくに調達できぬ小国…。少将秋山好古の属する第二軍は遼東半島に上陸した直後から、苦戦の連続であった。また連合艦隊の参謀・少佐真之も堅い砲台群でよろわれた旅順港に潜む敵艦隊に苦慮を重ねる。緒戦から予断を許さない状況が現出した。
年老いた父に愛人がいた!四人の娘は対策に大わらわ。だが、彼女たちもそれぞれ問題を抱えていた。未亡人の長女は不倫中、次女は夫の浮気を疑い、三女は独身の寂しさに心がすさみ、四女はボクサーの卵と同棲、そして母は…肉親の愛憎を描き、家族のあり方を追求してきた著者の到達点ともいうべき力作。
誰にでも、いつか、苦しみの指輪が回ってくる。全ての女性たちに、社会の矛盾の中でもがき苦しむ子供たちに、彼らとともに変革の時代を生きようと志す男性たちにも…深い絶望を超えた光を投げかけた干刈あがたの小説世界!新たな希望への旅路に、ようこそ。
信仰ゆえに孤独に身をおくイギリス人牧師オスカー。遺産でシドニーのガラス工場を買いとり経営する孤児ルシンダ。それぞれにギャンブルと出合い、のめりこんでいった2人の出会いと数奇な運命を、19世紀のイギリスとオーストラリアを舞台に描く長編。13カ国語に翻訳、ブッカー賞受賞作、待望の翻訳。
忌まわしい和音島の殺人事件の後遺症で記憶喪失になった如月烏有は、記憶をとり戻そうと寺社に連続放火。すると焼け跡からは焼死体が発見される。その彼のもとに「今度は何処に火をつけるつもりかい?」と書かれた手紙が届く。烏有は連続放火殺人犯なのか?名探偵メルカトル鮎が真相に迫る新本格ミステリ。
戦国の魔王松永弾正、己が邪恋を成就せんと、妖術師果心居士の弟子・根来忍法僧に数千の美女狩をさせた。伊賀忍者笛吹城太郎の妻・篝火もまたその贅となって果てた。だが奇怪!復讐に起った城太郎の前に、弾正の寵姫が、篝火の顔で艶然と微笑み、地獄へと誘う。根来vs.伊賀、容喙する柳生新左衛門の死闘。
都会の片隅に生を享けた黒猫フーディーニ。ある日、一人の若い女性に拾われてから日々は一変、飼い猫としての目まぐるしい日常が始まった。同居人は、飼い主のカップル、赤ん坊、犬、世間知らずの子猫グレース。やがて妻となる美しく無邪気な子猫グレースに語りかける、彼の人生、彼の哲学。
土星の衛星タイタンの軍事司令エドモンド・ポントナクはオヴァロン制御ステーションのコマンド脳に呼ばれた。ポジトロニクスがヴェガ星域でブリー率いる太陽系艦隊と交戦中の貯蔵庫部隊を捕捉、タイタンとグルエルフィン銀河を結ぶペドパイラーを作動させたのだった。待機するポントナクのもとにペドトランスファーしてきたオヴァロンは、侵攻部隊の動向を探るため、貯蔵庫を指揮するヴァスカロを乗っ取ろうとしたが…。
渋谷署強行犯係の刑事・辰巳吾郎は、目の前の若者たちを見て驚きを隠せなかった。彼らは渋谷センター街を仕切るチーム「渋谷自警団」のメンバー。他のグループと衝突し、袋叩きにしたところ、目出し帽の男が突然現れ、気がついたら倒れていたという。少年たちの体には胸骨の上に打撲傷が一箇所だけ。辰巳の依頼で少年たちを診た整体師・竜門光一は、その突きの破壊力に眼を止めた。長篇アクション。