1999年3月発売
十四歳の少年少女たちにとって、学校がとても酷い場所になっているんだよ!全ての女性たちに、社会の矛盾の中でもがき苦しむ子供たちに、彼らとともに変革の時代を生きようと志す男性たちにも…深い絶望を超えた光を投げかけた干刈あがたの小説世界!新たな希望への旅路に、ようこそ。
「昨日のニューヨーク市場では、また例のDファンドが派手にやってくれましたよ。まったく手がつけられない」50兆円の投機資金を操るヘッジファンドが、日本市場に狙いをつけた。だが手口は巧妙をきわめ、ボスの動きも闇に包まれている。国際金融の妖怪の実態をリアルタイムで描く経済小説。
コロラドの牧場主アティカスは、メキシコ・カリブ海岸に住む次男・スコットの突然の自殺の報を聞き、単身現地へ飛ぶ。葬儀をすませ、息子とかかわった人物や遺品と接するうち、確信に満ちた疑問がー他殺!?かつて妻を死に追いやった息子との心の溝を越え、力強い愛情で真相を追う父の苦闘を描くサスペンス。
大坂夏の陣、落城前夜に救出された千姫とその侍女たち。智将真田幸村はそのなかに秀頼の落とし胤を身籠る五人の女忍者を潜ませていた。それを知った家康は、「子が生まれる前に始末せよ」と密命を伊賀忍者に下す。子を宿しながら迎え討つ、くノ一、五人衆に危機迫る!忍法帖ブームの際に頂点をなした傑作。
銀河系中枢部に貯蔵庫9万体が出現した。タケル侵攻軍を指揮するヴァスカロが最終ブロック回路を使って呼びよせたのだ。この大部隊が太陽系に到達すれば、テラが蹂躙されるのは明らか。太陽系帝国首脳は銀河諸種族に大団結を呼びかけることにする。さっそくエドモンド・ポントナクがガルブレイス・デイトンの命をうけ、三大星間帝国ー銀河連合ノルモン、中央銀河ユニオン、カルスアル同盟を説得するべく出発したが…。
春野一郎は、金井組所属のチンピラやくざ。根っからのお人好しが災いし、どうにもうだつが上がらない。そんなある日、一郎は兄貴分から貸金の取り立てを命じられた。三万一千八百円と額は極端に少ないが、この集金ができないようでは男じゃねえとばかりに、“劇団 華”の主催者北原の許に勇躍乗り込んだ。しかし、劇団員の田井サキに一目惚れしてしまい…。ユーモアとペーソスで描く長篇やくざ小説。
肥満し醜い気弱なレナード。だが彼は周期的に「風の吟遊詩人」へと変性し、浄化の神となって人を殺す。天才的ハッカーの腕前でセキュリティを打ち破ってどこにでも侵入しては女性を惨殺し死体を切断する。犯罪プロファイラーのカレンと捜査官のジョンは偶然、インターネットでレナードの秘密のチャットルームをのぞいてしまう。急きょ追跡を始めるが、レナードも彼らの侵入に気づき、迎え撃とうとしていた。
抜群のカード・テクニックを持つマイクはロシアン・マフィアテディKGBとのポーカー勝負で全財産を失い、ロースクールの学生としての新たな人生を選ぶ。同棲中の恋人ジョー、そして輝かしい将来を目前にしながらも、闇ポーカーのスリルと興奮が忘れられない。そんな時友人のワームが刑務所から出所しトラブルに巻き込まれる。マイクは友情のため再び“ラウンダーズ”の世界に足を踏み入れることに…。
ドアの前に男が一人、険しい顔をして立っていた。多岐島には男の用件の察しはついた。この男の妻と不倫をしていたのだ。男は多岐島に、「俺の女房がされたことと同じことを、お前の奥さんにしてやる」と脅した。多岐島の妻は、初めは恥ずかしがっていたが、肉壺のなかに、人指し指と中指を埋め込むと感度よく反応した。背を反らせ、恍惚の表情をみせた。-「不倫の報復」より。表題作のほか、九編を収録した官能小説作品集。
大阪伊丹飛行場。3人の海軍中将が大空を見上げている。そこには、急上昇しながら機体を一回転させる新鋭機の力強い姿があった。ミッドウェー以降、ソロモン、南太平洋と惨敗は続き、無敵を誇ったはずの帝国海軍航空隊に、いまや真珠湾の面影はなかった。一方、アメリカは日本が形勢挽回の機会を逸している間に、「超空の要塞」ことスーパーフォートレスB-29の実戦への投入を着々と進めていた。中部太平洋にこの重爆撃機が配備されれば、日本本土は焦土と化してしまう。アメリカの攻略を阻止するためには、海軍航空隊に陸軍飛行隊を組み入れた“空の艦隊”を一刻も早く再建するしかない。残された時間はあまりに少ない。3人は再び天空を舞う、紫電改を見た。
世の真珠ブームにのり、売り上げを伸ばしている宝石販売会社社長の井尻俊作は、商売ものの真珠を自分のモノに埋め込んでいる。その自慢のモノで井尻は、顧客の貞淑な人妻を口説き落とし、未知の快楽へと誘い、人妻たちもその熟れた唇戯で井尻を絶頂へと導くー。猟色も仕事もパワフルにこなす、絶頂請負人の昼夜を問わない八面六臂の活躍を描く長篇官能ロマン。
前後して銀行を襲った二組の強盗団。都心銀行は大パニックに陥る。強盗団のリーダー上杉は、警察だけではなく現代そのものに戦いを挑んでゆく。事件は事件を呼び、さらなるパニックへと連鎖してゆく。共感する二百万人のやじ馬たち。ついに総理が倒された時、日本は激動する。非常事態宣言が発令され、自衛隊が動きだす。帝都に戦車が走り、大型ヘリが舞う。空前のノンストップ・ハードノベル・完全版、ついに文庫化。
どうしたというのだ?-良平は愕然とした。授業中眠ってしまったというのにきちんとノートがとってあるのだ。その上、周囲の人々も、まるで何者かに乗っ取られたかのような行動を見せるではないか!人間の身体と意識を占領し、思いのままに操る借体生物の恐怖を描く表題作。他に、亜空間に住む無機生命による驚くべき侵略をテーマとした『まぼろしのペンフレンド』を収録。
戦争によってその将来を断たれたピアニスト・寺田武史。戦後、非業の死を遂げた彼の生涯を小説にするべく取材を始めた柚木桂作は、寺田の遺した謎の楽譜や、彼の遺児と思われる中国人ピアニスト・愛鈴(エーリン)の存在を知る。調査をすすめるうち徐々に明らかにされる、戦時下の中国と日本を舞台とした“ある犯罪”…。複雑にもつれあう愛憎劇に、楽譜による“暗号”を絡めて描く、長篇ミステリー。
昭和前期、戦争へと転回していく時代のなかで「赤い鳥」の連載童話『私のピーター・パン』と出逢って以来六十年、イギリスから東北の山中までピーター・パンを追いかける表題作ほか、忘れ得ぬ書物に人生の記憶を重ねた「大事の小型聖書」「トッテンコーローの話」「七十一歳のシェイクスピア」、献体というかたちで「神様に肉の体をお返しした」兄の生涯を描く「夏の月」「兄の帰還」「くじらの骨」の七篇を収録。