小説むすび | 1999年3月発売

1999年3月発売

太陽王の使者太陽王の使者

1699年、エジプト。カイロの街に住む風来坊の薬剤師ポンセは、路上で美しい女性と出会う。彼女はフランス領事の一人娘アリックス。互いに魅かれあう二人だが、あまりにも身分違いの恋だった…当時の北アフリカは、強大なオスマン・トルコ帝国の率いるイスラム教徒の支配下にあった。太陽王の異名をとるフランス国王ルイ14世は、そんな状況を打破すべく、途方もない計画を企てる。北アフリカ唯一のキリスト教国で、長らくの鎖国のため未知の国となっているアビシニアと同盟を結び、彼の地に楔を打ち込むのだ。だが、アビシニアへの道は遠く険しい。そのうえ強大なトルコや周囲のイスラム教国を刺激するような公式使節は送れない。太陽王の命を受けた領事は名案をひねりだした。カイロに住む民間人を密使として送ればよい。アビシニア皇帝は病に悩んでいると聞く。ならば医学知識を持つ者を送り込もう。かくして、白羽の矢はポンセに立った。アビシニアへの旅を首尾よく終えれば、報償として、アリックスにふさわしい身分を得られるのだ。前途に待ち受けるのは、危険な道中、未知の文化、野心と裏切りのはびこる権謀の都…愛する人への思いを胸に、大いなる旅が、今始まった。二つの大陸をまたいで展開される、波瀾万丈、絢瀾豪華の一大歴史冒険絵巻。ゴンクール賞最優秀処女長篇賞受賞。

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