1999年発売
太閤秀吉の愛妻・淀の方が秘所に潜ませた歓喜をよぶ「楊貴妃の鈴」を浮気相手に盗まれた。それを旅役者に化けた石川五右衛門が奪う。一座の娘・織部は太閤の妾になる夜、五右衛門を思い、そっと鈴を体内に…。大盗賊の悲哀を描く「忍者石川五右衛門」、怪しげな敵討ちの「忍者車兵五郎」など怪異忍者出現の九短編。
橋本VS.小沢の対決と福田の秘蔵っ子・小泉の浮上、小渕政権誕生と自自連立、石原都知事誕生…田中角栄と福田赳夫の「角福戦争」がいまも永田町を揺るがす。ポスト佐藤を巡る怨念の対決から田中退陣、三木から福田への政権委譲、両雄の死後も続く二大派閥の果てしなき攻防を描く。
徳川の治世、荒涼とした那須野ヶ原の夕暮れ、敵討ちの旅にあるお国と従者五平、虚無僧姿の敵友之丞、サスペンス性を帯びた三人の関係。単なる仇討劇に留まらず、人間の愛欲と悲哀が赤裸々に描かれた「お国と五平」ほか、二十四篇の戯曲作品のうち「恋を知る頃」「恐怖時代」「白狐の湯」「無明と愛染」の四篇を収める。
最も残虐な人間と、最も邪悪な神々が手を組み、史上最悪の軍隊が誕生した。とどまるところを知らぬ悪鬼の所業は世界を震えあがらせる。激動の時代、急激な勢力拡大を果たしたナチスドイツ。しかしその背後には、知られざる闇の力が存在していた。その禁断の力にふれたものはみな奇怪な運命に翻弄されてゆく…史実と虚構をたくみに織りまぜ、異形のものどもの存在を描き出した戦慄の魔術的連作集。邪悪なる七篇を収録。
ニューヨーク郊外の大邸宅が何者かによって破壊された。ポールは叔母ヴィヴィアンからその修復を依頼される。瓦礫の山と化した邸宅を目のあたりにして、ポールは封印された過去の記憶を辿り始める。その頃、ルイスボロ分署のモーガン・フォード刑事は相次ぐ若者たちの失踪事件と、破壊された大邸宅とのつながりに気づき始めていた。精神の暗闇から生み出される超人的な力を描くモダン・ホラーの傑作。
邸宅近くで発見されたふたりの若者のバラバラ死体。モーガン刑事は、この事件と邸宅の破壊の間に異常な暴力という共通点があることに気づく。そして、ポールはこの異常な暴力を脳内の化学作用の面から説明する理論に出くわす。「ハイパーキネシス」と「ハイパーダイナミズム」。超人的な力を用いて悪魔的な暴力行為を起こし続けているのは、一体誰なのか?ポールと犯人との対決のときが迫る。
昭和十七年十月十一日午前三時半、ガダルカナル島奪回の大作戦が開始されようとしていた。「ルンガ飛行場を破壊しないことには、太平洋戦争の敗北は確実になる」と考える山本五十六長官だが、しかし、ミッドウェイの海戦以来、日本海軍は敗戦が続き航空戦力が消耗しきっていた。そこで、山本は、戦艦による艦砲射撃でルンガ飛行場を破壊するという乾坤一擲の大博打を決意。この特攻任務に栗田少将率いる挺身攻撃隊の戦艦金剛と榛名がソロモン海へ出撃する。
学習塾に勤める白井は、都心にある大豪邸に、少女の家庭教師として派遣される。そこで、綾麹家自慢の息子・高宗に目を付けられた白井はイタズラされ犯されることに-!?塾側の資料によれば品行方正・成績優秀の良くできた高校生のはずなのだが…白井の前でのみ豹変する高宗の激しい愛に打ちのめされ、白井先生のとった行動とは!?あの大人気作品が大幅書き下ろしで待望の新書化。
不慮の事故で引退した天才二輪レーサーの水島は、営業マンとして、一見平穏な市民生活を送っていた。だが、ある野望を胸に秘める水島は、その平凡な貌の裏で緻密な計画の元、現金輸送車、銀行などを次々と襲っていった。大金を手にした水島は、野望達成のための最終武器を手に入れるべく、米軍空母に狙いを定めた。水島の最終目的とは…。長篇ハードアクション。
画家になった元同僚の個展で、かつての部下で結婚退職した桜木映美に再会した大宮は、彼女が離婚したと聞いて、大胆にも「君を抱きたい」と耳元で囁いた。すると朝まで一緒ならと、いろよい返事の映美。さっそくホテルへ連れ込むと、これがとんでもない好き者で、朝まで大宮は…。熟れた身体を持て余す離婚妻から女子大生まで、欲望剥きだしの女たちの性態。
アリタは父を不名誉な死で失い伯父のラングストン公爵の邸で冷たい伯母の仕打ちに耐えていた。厩舎の世話に明け暮れる日々のなか馬だけが心のよりどころである。アメリカの大富豪クリント・ウィルバーが隣の館を買い上げることになった。その隣人に、公爵は馬を売りつけ夫人は娘を結婚させようと画策する。交渉は馬に詳しいアリタに一任されクリントは、厩舎の改造に協力するなら売買に応じると条件を出してきた。アリタはマースフィールド館へ通い始めクリントと共に、パドックの整備など新案を次々に実行していくが…。
八年という歳月を経て、二人の男が上京した。一人は刑務所から狂気を宿して。一人は山村から愛する一人娘を連れて。かつての仲間に裏切られ復讐に燃える和久井と野獣のようなパワーを持つ桜山は都会の片隅で劇的に出会う。桜山を復讐に利用すべく、娘のあかりを誘拐する和久井。親子は引き裂かれ、父は運命の奴隷となる。火花を散らす男と男。そして生と死。大都会を血に染めて、狂気と愛が激走する。気鋭が放つ衝撃のスーパー・ハードボイルド。
元警視庁の鬼・山城の組織した追跡抹殺部隊、暴力組織・旭道会、警察、自衛隊から成る重厚な包囲網が、マックたちに迫る。絶体絶命の危機のなか、マックたちの反撃と猛烈なる逃走が開始される。追われつつも巨大なる敵を殲滅すべく決意したマックたちに活路はあるのか。次々に倒れゆく犯人の死を乗り越え、雄大な大雪山を舞台に最後の死闘を繰り広げる犯罪小説のバイブル・狼シリーズ第三弾、完結。
パラダイン男爵家を脅かす怪現象の数々──ポルターガイスト、うろつく尼僧の亡霊、外から鍵をかけた部屋で夜ごとひとりでに曲を奏でるハープ。さらに悪いことに、客人が幽霊に襲われた! 騒動を鎮めるため駆けつけた心霊探偵ヒーロー氏の活躍やいかに? 『スノーグース』などで知られる心やさしきストーリーテラー、ギャリコ唯一の長編本格ミステリ、本邦初訳。解説=我孫子武丸
地方営業に呼ばれたフォークシンガー、七十四歳の女流詩人と結婚した七十六歳の文学者、新聞の勧誘に北欧までやってきた黒眼鏡のヨレヨレ男、開いてるのか閉まってるのか分からない中華屋の親父…。21篇の短篇小説がおりなす、人生模様カタログ。