1999年発売
自殺した学生とのゲイ関係などまったくない-ロビンソン教授は断言した。教授はゲイ関係の噂を立てられ、終身在職権を否決されたので調査を依頼してきたのだ。恩人の息子だからよろしく、というホークの紹介とあれば断わるわけにはいかない。スペンサーは黙って自殺事件の調査をはじめる。自殺した学生は、他人のゲイ関係を暴露するミニコミ紙を発行していたいかがわしい男だった。さらに、彼の銀行口座には法外な金が残されていた。犯罪の臭いを嗅ぎつけたスペンサーは、自殺現場を見て不審の念をいっそう強めるが…。ホークのみか、前後してスーザンも事件を持ち込んできた。女友達のKC・ロスが正体不明のストーカーに悩まされているという。こちらも気軽に引き受けたスペンサーは、ロスの元夫や元恋人を中心に聞き込みを開始する。ところが、孤独な境遇のロスはスペンサーに急接近し、ついには彼女自身がスペンサーに対しストーカー行為を働いてきた!息もつかせぬ展開で魅了する、人気シリーズ最新作。
観光地として賑わう、古代遺跡のローマ浴場の地下室で、白骨化した人間の手が発見された。一報を聞きつけた警視ピーター・ダイヤモンドは、骨の身元を特定すべく捜査を開始する。だが、くだんの地下室の番地に、『フランケンシュタイン』の作者メアリ・シェリーの自宅がかつてあったという事実が浮上し、捜査は混乱に陥った。この偶然の一致にマスコミが飛びつき、「人骨は怪物の犠牲者なのか?」などとバースの町に流言飛語が飛びかう実態となってしまったのだ。時同じくして、女性の骨董商が他殺とおぼしき水死体となって発見された。事件担当の主任警部ウィグフルは、容疑者の尾行を単独で開始するが、何者かに殴打され、生死の境をさまよう意識不明の重体に!同僚に代わってこの事件の捜査も担うことになったダイヤモンドは骨董商の身辺を探り、幻想的な画風の絵画が殺人事件当夜に取り引きされていたことを突きとめる。しかも、その不気味な絵のモチーフは『フランケンシュタイン』の一場面を意味していた…。不可解な繋がりをみせる二つの事件から、ダイヤモンドが辿りついた犯人像とは?ゴシック的な香り漂う怪奇な事件に、ピーター・ダイヤモンド警視が熱き刑事魂で立ち向かうシリーズ第六弾。
バーバラはにっこり笑い、ぼくの唇に情熱的なキスをした。ぼくはバーバラを見つめ、そこに「冒険」を見たーサーフィン映画から抜け出たようなアメリカ娘バーバラに会ったとたん恋をしてしまったリチャード。ロンドンの恋人も仕事も投げうって勝手にL.A.にやってきた彼だが、彼女にはボーイフレンドがいる。クレイジーな街で二人の恋は何処へ行く?R・レイナーのおかしくもアイロニックな自伝的処女小説。
難攻不落のガダルカナル島奪回を目指す連合艦隊・山本長官は、戦艦「金剛」「榛名」率いる艇身攻撃隊にヘンダーソン飛行場を艦砲撃させ、さらに「長門」「陸奥」率いる制圧攻撃隊を浅深度のシーラーク海峡へ出撃させ、米国巡洋艦隊を撃破することに成功した。しかし、国力で勝る米国は、いまだにガ島を死守しており、上陸して占領することはかなわなかった。そこで山本長官は、連合艦隊旗である戦艦「大和」に座乗、自らガ島制圧に乗り出すことを決意した!「大和」「武蔵」を先頭に、いよいよ最終決戦のときが迫る。
八年前、卑劣な罠で新聞記者を追われた畝原は、以来探偵として一人娘の冴香を養ってきた。ある日、畝原は娘の通う学童保育所で美貌のデザイナー・姉川明美と出会った。悪意に満ちた脅迫状を送りつけられて怯える彼女の依頼を受けた畝原は、その真相を探りはじめたがー。畝原と姉川が出会う猟奇事件を描いた短篇「待っていた女」と長篇「渇き」を併録した、感動のハードボイルド完全版。
不可思議な現象が、奇蹟かトリックかを鑑定する、奇蹟鑑定人、魚間岳士のもとへ、瀬戸内海の鹿羽島というところから依頼がきた。島にある山の中で、木から鹿の首が生えていたのだという。早速、フリーの鑑定人、天倉真喜郎をひきつれて、鹿羽島へ向ったのだが…。前作『赤き死の炎馬』に続く、奇蹟鑑定人ファイル第二弾、渾身の書き下ろしで登場。
結婚を一ヶ月後に控えた藤森岳志は、独身最後の想い出として、悪友とともに山に登ったが、縦走中に転落死してしまう。婚約者の野々村亜衣は、自分がお守りにと首にかけたペンダントが遺体にないことに、不審を抱くがー。一年後、別の遭難場所から、鎖の切れた、あのペンダントが発見された。真相を追う亜衣の身辺で次々と殺人事件が起きる…。長篇旅情ミステリーの傑作。
藤沢由貴は完全犯罪を計画していた。ところが、予定していた犯行現場で、殺すべき相手ー片倉幹男が死体となっていたのだ。一体誰が自分の計画を知り、自分を犯人にしようとしているのか。警察から容疑をかけられた由貴は、自分の手で犯人を探し始め、殺人現場に奇妙なダイイングメッセージを見つけるのだが…長篇サスペンスミステリーの傑作。
都内のガソリンスタンドに乗用車が突っ込み、爆発炎上した。現場に居合わせた警視庁捜査一課の多岐川恭介は、間一髪で災難を逃れたが、現場を去る不審な車を目撃していた。被害者は、ハイテク企業の社長夫人。何者かの恨みで殺されたのか?事件を追い始めた多岐川は、背後に渦巻く人工臓器開発の実態を掴むが、行く手には権力の壁がー。書き下ろし長篇警察小説。
エロティシズム文学の極北。NYの小さなカフェ・レストラン“オデッサ”で、二人は運命的に出逢った。男は女に様々な性的冒険を求め、女はそれに応えてゆく。SM、スワッピング、etc.…様々なテキストを織り込みつつ展開する、衝撃のポルノグラフィー。
昭和十七年、帝国海軍史上、最大最強の潜水艦・伊号第400潜水艦が、その雄姿を現わした!だが、この最新鋭艦の初陣は、米軍の侵攻により窮地に陥ったガダルカナル島守備隊への物資輸送任務であった。しかも乗員は、実戦経験の乏しい者ばかり。航海長・柳田大尉は、前途に不安を覚える。しかし、艦長・大場中佐のもと徹底訓練を経た艦は、米軍の強固な包囲網を突破!さらなる目的を果たすため、米軍が支配する“海”へ侵攻するが、彼らを待ち受けていたのは深海の地獄であった!息詰まる深海での激闘!“戦争”を極限までの表現力で描ききる、著者会心の新シリーズ、堂々の登場。
天正五年(1577年)秋、加賀で初めて信長軍と対決した上杉謙信は、これを撃破。すでに越中・能登は手中に収めており、能登から加賀へ、さらに越前へ進む謙信の上洛の道すじがととのった。いよいよ翌六年、三月をもっての出陣を決意した謙信は、いざ出陣という七日前、突然、春日山城の自室で襲われ不審な死を…?配下の裏切りか、敵の謀略か?織田方、武田方、明智光秀など、それぞれ配下の「草ノ者(忍び)」の暗躍する中、ある意外な暗殺指令者の名が…!?陰謀渦巻く戦国の闇を切り裂いた、著者入魂の書下ろし歴史推理小説の白眉。