1999年発売
シーズンオフの別荘地に拳銃を片手に迷い込んだ娘と、別荘地の保安管理人として働きながら己の生き方を頑に貫く男の交流を綴った表題作をはじめ、飯倉の裏通りにあるバーを根城にする一匹狼のもめごと処理屋を描いた『ジョーカーの選択』、未来の巨大ホテルを舞台に、最悪の麻薬・ローズショットの中毒者で、常に死を見つめながらホテル探偵を続ける男を描く幻のSF連作短編『ローズ』ほか、大沢ハードボイルドの人気シリーズの役者がすれ違う、ファン必読の『再会の街角』を含む9編を収録した出色の短編小説集。
幻想を愛し、奇行で知られたシュールレアリズムの巨人ーサルバドール・ダリ。宝飾デザインも手掛けたこの天才に心酔してやまない宝石チェーン社長が、神戸の別邸で殺された。現代の繭とも言うべきフロートカプセルの中で発見されたその死体は、彼のトレードマークであったダリ髭がない。そして他にも多くの不可解な点が…。事件解決に立ち上がった推理作家・有栖川有栖と犯罪社会学者・火村英生が辿り着いた意外な真実とは?!都市を舞台に、そこに生きる様々な人間たちの思惑を巧みな筆致と見事な理論で解き明かした、有栖川ミステリの真髄。
ワイルド、ロレンス、フォースターら、近代英米文学の巨匠たちの「ゲイ小説」が一堂に会して登場。大作家の「読み直し」として、またゲイ文学の「古典」としても必読の書。これぞゲイ・キャノン。 <目次> W・H氏の肖像 オスカー・ワイルド 幸福な王子 オスカー・ワイルド 密林の野獣 ヘンリー・ジェイムズ ゲイブリエル?アーネスト サキ(H.H.マンロー) プロシア士官 D.H.ロレンス 手 シャーウッド・アンダソン 永遠の生命 E.M.フォースター ルイーズ サマセット・モーム まさかの時の友 サマセット・モーム 解説 大橋洋一 W・H氏の肖像 オスカー・ワイルド 幸福な王子 オスカー・ワイルド 密林の野獣 ヘンリー・ジェイムズ ゲイブリエルーアーネスト サキ(H.H.マンロー) プロシア士官 D.H.ロレンス 手 シャーウッド・アンダソン 永遠の生命 E.M.フォースター ルイーズ サマセット・モーム まさかの時の友 サマセット・モーム 解説 大橋洋一
ハイソサエティの退廃的な生活、それを見つめる虚無的な青年。実在の人物をモデルにして上流階級の人々の猥雑な姿を描いた問題作。カポーティが何より完成を望みながら、遂にそれが叶えられなかった遺作!この小説を発表したカポーティは、社交界を追われ、破滅へと向かっていった。
復権を果たした金達玄。しかし、改革解放派の彼の地位はまだ危うい。特に、金正日の側近であり、対南・対日工作の元締めである国家保安部-三号庁舎を仕切る金容淳との関係は悪化する一方であった。折しも、北朝鮮のミサイル発射事件を巡り、日本国内では北朝鮮に対する感情的世論が沸き起こっていた。そんな時、三号庁舎の工作員で、スーパーK(北朝鮮製の偽ドル札)工作にかかわっていた男が、ソウルでの壮絶な銃撃戦の末、逃亡する。男には任務のため潜入していた日本と、祖国である北朝鮮にそれぞれ妻子がいた。アメリカ国防省の情報組織、通称“会社”は人的情報収集活動(ヒューミント)のプロ葉山を男と接触させ、司法取引をさせようともくろむ。ふたつの家族のどちらかを選べば、もうひとつは破滅する。苦悩する男の下した究極の選択とは。
1880年モスクワに生まれたベールイはモスクワ大学理学部に入学するが、象徴主義や神秘主義に傾倒して世紀末から革命に至る時代をひたすら文学に没頭する。1916年に刊行されたこの『ペテルブルグ』は、幻影の都市ペテルブルグで繰り広げられる緊迫したテロを描き、ナボコフも『ユリシーズ』『変身』『失われた時を求めて』と共に、二十世紀初期を代表する傑作と絶讃した。
夫はなぜ消えたか?突然の失踪を契機に、前妻、娘、老母、再婚した妻、孤立していた四人の女の心は微妙に波立つ。男を失うことで呼び醒まされる女としての官能。体の内奥に潜むエロスが、しだいに女たちの心を結びつけ、不思議な絆と連帯感を生んでゆく。女の生と性、愛のかたちを精緻に描く高樹文学の真髄。
隋を建国した楊堅、晩年には酒色に溺れ、なんと息子の楊広に謀殺されるという憂目。ところが楊広もまた即位し煬帝となるや、全国から千人を超す美女を集め、遊びにふける始末だ。当然、その隙をついて在野の英雄たちが動きだす。皇帝と盗賊、英雄と悪女たちが入り乱れ隋末唐初への歴史ドラマが幕を開ける。
煬帝は各地に起こった叛乱をおさえることができず、ついに自殺した。そこを狙いすますように李淵が都の長安に侵入し唐を建国する。だが群雄は服するどころか、覇を争って戦乱はますます拡大していく。権謀術数が渦巻くなか、天下統一に向けて秘策が練られる。武将たちが繰りひろげる波乱万丈の大活劇。
唐の高祖李淵は、やっとの思いで天下を統一。それも束の間、今度は息子たちが帝位をめぐり争いだす。次男の李世民が太宗に即位、以後、華やかな大唐帝国へと歩みだす。女帝武則天の活躍、玄宗と楊貴妃の熱愛、安禄山の反乱など、心を熱くする大ドラマが展開。だが、隆盛もついに閉じる日がきた。全三巻完結。
エジンバラの町は不気味な緊張に包まれていた。新興ギャングが町の覇権を手にしようと、何事かを画策している。特捜班は連日監視を続け、リーバス警部も関心を抱いていた。そんなさなか、上司が彼に押しつけてきたのは奇妙な仕事だった。第二次大戦末期、フランスの村で起きたナチス親衛隊による大虐殺事件の指揮官が、ここエジンバラに名前を変えて潜伏しているというのだ。リーバスは、リンツと名乗る問題の老人の正体を探るが…その矢先、リーバスを思いもよらぬ悲劇が襲った。
IRA、CIAなど相手を問わず無差別に暗殺を繰り返す謎のテロ組織“一月三十日”。彼らの政治的信条ばかりか、テロの目的もいっさい不明であった。やがて、北アイルランド和平の鍵を握る要人警護の命が英国特別情報機関に下り、元国際テロリストのショーン・ディロンがその任務に就いた。一方、情報をつかんだ“一月三十日”は、ディロンの裏をかき凶弾を放つべく、密かに暗殺者を差し向けるが…痛快冒険サスペンス。