2000年7月発売
今日の“世界文学”におけるメルクマールとして屹立するミラン・クンデラ。冷戦下の中央ヨーロッパを襲った“歴史”の悲劇のうちに、母国チェコを追われたこの亡命作家を支え続ける“小説の精神”を、その作品と世界で展開される批評を自在に往還しながら、小説のテーマ、ことば、歴史を軸に、立体的に論じ上げる。卓抜したミラン・クンデラ研究にして、すぐれた現代作家論。
アイルランド文学の本領は短篇小説にこそある。歴史・風土・宗教・口承の伝統など、アイルランドを様々な角度から浮き彫りにする傑作短篇一五篇を精選。イギリス文学とはひと味ちがう、独特の味わいに満ちた緑色のオムニバス(乗り合いバス)にあなたも乗ってみませんか。
首都テレビ報道局のニュース番組で映像編集を担う遠藤瑤子は、虚実の狭間を縫うモンタージュを駆使し、刺激的な画面を創りだす。彼女を待ち受けていたのは、自ら仕掛けた視覚の罠だった!?事故か、他殺か、一本のビデオから始まる、超一級の「フー&ホワイダニット」。第43回江戸川乱歩賞受賞の傑作ミステリ。
警視庁警護課員として佐崎が警護する政府要人が襲撃された。凶弾に倒れたのは同僚のSP、義兄でもある大橋だった。狙撃犯は誰か。佐崎の脳裏に浮かんだ予想外の人物とは!?圧倒的なディテイルとリアリティで描く日本の要人警護の実態。生命の危険を顧みず、自らの誇りを懸けて任務に就く男たちの物語。
大学のミステリィ研究会が「ミステリィツアー」を企画した。参加者は、屋上で踊る三十人のインディアンを目撃する。現場に行ってみると、そこには誰もいなかった。屋上への出入り口に立てられた見張りは、何も見なかったと証言するが…。(「誰もいなくなった」)ほか美しく洗練され、時に冷徹な11の短編集。
旅先のインドで、橋場亜希人が不可解な「密室」死を遂げた。10年後、橋場の恋人だった狩野都は群馬山中に「恒河館」を建て、当時の旅行仲間たち、そして桜井京介を招く。ミステリアスな「館」で展開される真相解明劇。そこへ、さらなる悲劇が…。過去と現在が複雑に絡み合う謎を、京介はどう解き明かすか。
“ゴノツァル”とアルマナ級輸送艦10隻はポスビの中央世界、二百の太陽の星近傍で立ち往生していた。中央プラズマから着陸を拒否されたのだ。それだけでなく、テラ駐留部隊が住む太陽都市サンタウンとの連絡もとれない。中央プラズマが窮地に立っていると判断したローダンはアトラン、フェルマー・ロイド、そして新たに発見された女性ミュータント、イルミナ・コチストワとともにみずから二百の太陽の星に潜入した…。
地球をめぐる巨大な軌道スタジオに再現されたLAのセットで、レプリカントとブレードランナーのデッカードの死闘が撮影されていた。だが、みずからの伝記映画のアドバイザーとして撮影に立ち合っていたデッカードの目の前で、敵を演じていたレプリカントが本当に射殺されてしまった!やがて、謎のブリーフケースを受け取ったデッカードは、レプリカントの反乱をめぐる複雑怪奇な陰謀の渦中へとまきこまれていくが…。
“エンタープライズE”を率いるピカード艦長は、謎のウイルスに侵された惑星の封鎖任務中、ウイルスの発生源についての手がかりをつかむ。これは宇宙連邦内部からの攻撃だ!そう悟ったピカードが艦首を向けたのは惑星ヴァルカンだった。サレックの暗殺者を追及するスポックと、ウイルス蔓延の首謀者を追うカークとピカード。三人は奇しくもヴァルカンに集結する。そして、彼らの追う敵はひとつだと判明したとき…。
グレースは心の優しい女性だ。恋人と別れたいけれど、相手を悲しませたくない。だから、仕方なく殺してしまうのだ。一方、グレースを偶然見かけた殺し屋のサムは彼女に恋心を抱き、監視するようになる。そして彼女の殺人の手際のよさに思いをつのらせていく。やがて、グレースが三人目の恋人を殺した時、グレースとサムは運命の出会いを…殺人癖のある女と一匹狼の殺し屋の危険な恋を描くブラックな味わいのサスペンス。
業界初(のはず)の話題(のはず)の個人文庫、第二回配本分にして堂々の完結巻はミステリ短編を集めた「謎の巻」です。ファンおなじみの速水三兄妹のあいかわらずの推理が冴える「裏庭の死体」。2017年の東京湾を舞台に、ある有名な刑事の決死の活躍を描く「バベルの塔の犯罪」。自分自身の行動調査を探偵に依頼する不思議な中年男「青い鳥を探せ」など傑作八編。