2001年発売
暦作りを巡る秘法・利権に対立する朝廷と幕閣。両者の綱引きの手駒として利用された吉良、浅野。権力者の思惑に引き裂かれる和算への情熱、武士の意地、恋の行方-。華麗な元禄を駆け抜ける青春像。
警視庁の片山刑事は、夜の盛り場で女子高生・立石千恵と出会った。以来、悪い遊びを返上し変身した千恵は、勝手に片山の「彼女」に。千恵の父で売れっ子漫画家だったみつぐは、マンションの改装工事計画推進のため利用され…。一方、窓際編集者・平栗悟士は、リニューアル雑誌の編集長に突然抜擢された!三つの大改装の陰にはー!?超人気シリーズ第34弾。
織田作之助賞を受賞しデビュー。以後、動物と人間の交流を描き、高い評価を得る著者の感動長編、ついに文庫化。沢雅人の盟友ともいうべき犬リキがヤクザに連れ去られた!沢は空手を武器に奴らを倒し、闘犬として売られた事実を知るが…すでに勇猛なリキは厳寒の東北路へと逃走していた。やがて舞台は日本を離れアフリカへー。壮大な冒険ロマン。
ビートルズが死んだ1970年の聖夜、火は導火線を走り出した-十年ごとに彼らを脅かす謎と戦慄の男。4人を迎える結末は破滅か、奇跡か-三十年の時が裂ける。綺想のマエストロ、2年ぶりの最新長編。
金融不祥事で危機に陥った協立銀行。不良債権の回収と処理に奔走する竹中は、住宅管理機構との対応を命じられ、新たな不良債権に関わる。社外からの攻撃と銀行の論理の狭間で、再生に向け苦悩するミドルの姿を描く。
支店長として大阪へ赴任した竹中は、「貸し剥がし」といわれる資金回収の現実に直面、個人の無力を痛感する。やがて上層部の対立に端を発した人事抗争は、銀行崩壊の危機を招き・・・。ミドルの感動を呼ぶ力作巨編。
小説家志望のフリーター・菊川真、大学院で地球物理学を専攻する茂木太郎、卜占術師・赤道目子、女子中学生・立花やよい、そして高校三年でスポーツ青年の山野透。何の共通点もない彼らは、ある日突然、Jと名乗る見えない存在の意思によって集められた。Jは言う。「あなたの助けが必要です」。Jとは何者なのか?何もわからぬまま行動を開始した五人組だが、Jとの対話を続けながら意外な真実に近づいていく。Jが握っている未来、それはー。長編ファンタジック・ミステリー。
ヨーロッパの新興ジャーナリズムと同時に、化政・天保年間の日本で漢詩の大流行を背景にジャーナリズムが開花した。ジャーナル誌『五山堂詩話』を通して身分を越えて躍動した文壇を描き出す。
明華学園で三件の連続少女顔切り事件が。被害者はすべて一年生で、評判の美少女たち。被害状況から、変質者説、怨恨説の他に、女子トイレの鏡からでてくるという『耳切り女』の怪談もささやかれた。最初の事件の第一発見者となった克之は、成り行き上、教育実習生の名取と鏡を探すことになる。鏡は見つかったが、その時から克之は『耳切り女』につけ狙われる…。傑作学園ホラー。
彼女は力をこめて、男の股間に膝を突き上げた。男の顔が血の気を失う。次に、右腕を女めがけて勢いよく振る。エリーの手は女のこめかみをとらえた-パスコー主任警部の妻エリーを正体不明の男女が襲撃した。とっさに逃れたエリーだが、さらにはパスコー家を見張っていた何者かが友人のダフネを殴打する事件が起きる。ダルジールたちは、パスコーが過去に担当した事件、現在捜査進行中の横領事件との関連を追及するが、女性刑事のノヴェロは、ひとり意外な事実に目を留めていた…その完成度の高さに、ますます評価が高まる、シリーズ最新刊。
日常に普及したナノテクノロジーが、文明社会を根底から変容させた21世紀中葉。世界は、多種多様な人種・宗教・主義・嗜好の集まりからなる国家都市に細分化されていた。文化の坩堝・上海でヴィクトリア時代復興を願うフィンクル=マグロウ卿は、孫娘の教育のため、若き淑女のための絵入り初等読本の開発をナノテクノロジストのハックワースに依頼した。ナノテクの粋を集めたプライマーは、読み手を主人公とし、その境遇を“物語”に取りこみながら教育していく、究極のインタラクティヴ・ソフトだった。しかし、ハックワースが自分の娘のために不正コピーした〈プライマー〉は、ある事件をきっかけに、貧困と虐待の境遇にある少女ネルの手にわたってしまう。プライマーをめぐる複雑な思惑が渦巻くなか、そのささやかな物語によって育てられたネルは、己れの人生という大いなる物語を切り拓き、その物語の力は、やがて激動の世界そのものを変えてゆく。『ニューロマンサー』の“近未来”に『ハイペリオン』の“叙事詩”をリミックスし、デジタル仕様の世界観を華麗かつ過激に超越する、SF新紀元のパラダイムシフト。ヒューゴー賞・ローカス賞受賞。
ちんぴらに袋叩きにされて、“俺”は入院した。そこで偶然、若いころ一緒に暮らした昔の恋人と再会し、彼女の頼みで一通の手紙を届けるために雪の田舎町を訪れる。そんな“俺”の身辺に不審な男たちの影が。理由は何か?抵抗も虚しく、“俺”は町を追い出されてしまうが、ふたたび舞い戻った。やがて吹雪の雪原に繰り広げられる死闘…ススキノ便利屋シリーズ、最新作。日本推理作家協会賞受賞後第1作。