2001年発売
好きな人と一緒にいるしあわせ、体をくっつけている安心、好きという思いーー。ごく普通の女の子たちのリアルな日常とありのままの恋愛、ほんとうのセックスを大事に切り取った、八つの恋の物語。
鶴屋南北「東海道四谷怪談」と実録小説「四谷雑談集」を下敷きに、伊右衛門とお岩夫婦の物語を怪しく美しく、新たによみがえらせる。愛憎、美と醜、正気と狂気……全ての境界をゆるがせる著者渾身の傑作怪談。
●北森鴻氏推薦ーー「これまでもこれからも、僕の短編ミステリの大切なお手本です」 捜査そっちのけの警部と美女の死体に張り切る鑑識官コンビの殺人現場リポート「煙の殺意」を表題に、知る人ぞ知る愛すべき傑作「紳士の園」や、往復書簡で綴る地中海のシンデレラストーリー「閏の花嫁」など、問答無用に面白い八編を収める。
義母の富江は心の底から喜んだ。孝之介が文壇最高の権威「日本文芸大賞」の候補になったというのだ。これでもう思い残すことはない…。忽然と姿を消した富江。その行方を気に病みながらも、孝之介たちは選考結果を待つべく「プリズンホテル」へ。果たして結果はいかに?懲役五十二年の老博徒や演劇母娘など、珍客揃いの温泉宿で、またしても巻き起こる大騒動。笑って泣ける感動の大団円。
「恋」という魔物にとりつかれた女は、ときに、自分自身でも思いがけないことをしてしまう。七々子の場合がそうだった。好きになった彼にはすでに恋人がいた。あきらめきることができない七々子のとった行動は、彼の恋人、美咲に近づき、友達になることだった。嘘をつき、おとしいれ、そうまでして手に入れた恋。一途に思う心には偽りはなかったはず、だけど…。女心の深淵をえぐる恋愛長編。
タクシー運転手の野上雄貴は、GCS幼児教育センターから入社要請を受け、不審を抱く。GCSが発明した「金のゆりかご」と呼ばれる機械で育てられ、一時は天才少年ともてはやされたが、能力の限界を露呈し見捨てられた自分。真意を探るうち、子供が次々と精神に錯乱をきたした事件が浮かび上がる。やがて、ある母親が失踪、殺人が…。先端科学に切り込む新感覚ミステリー。
1976年初冬。由緒ある華道家元の若き跡継ぎである原岡凛一は、従姉・省子の男ともだちだったアメリカンフットボール部のエース氷川享介と出逢う。その邂逅が、やがて二人の運命を変えていくことに…。冬から春、やがて夏へと移ろう季節の中で、彼等の思いはどこへ向かうのか。凛一の希みは叶えられるのか。少年たちの切ない恋を描く好評シリーズ第一弾。
アイルランドを訪ねた写真家の「私」が出会った女流画家プーカ。沖合に浮かぶ今は無人の島ブラスケットを見つめる彼女は、幼い頃島に流れ着き、一切の記憶を失って育った。彼女がキャンバスに描くのは、失われた時間と自分だけの物語。その姿は、同じ漂流者たる「私」の心をとらえるのだった。孤独な魂と魂が寄り添い、共鳴して…。無数の国境を横断し、人間の光と闇を見つめてきた著者初の長編小説。
妻に去られたナッシュに、突然20万ドルの遺産が転がり込んだ。すべてを捨てて目的のない旅に出た彼は、まる一年赤いサーブを駆ってアメリカ全土を回り、“十三ヵ月目に入って三日目”に謎の若者ポッツィと出会った。“望みのないものにしか興味の持てない”ナッシュと、博打の天才の若者が辿る数奇な運命。現代アメリカ文学の旗手が送る、理不尽な衝撃と虚脱感に満ちた物語。
伊丹の新酒を江戸に運ぶ新酒番船の一艘が難破。船頭の息子と知り合った「かわせみ」の面々が心配するなか、船頭が生還したとの知らせが…表題作など全七篇収録。「御宿かわせみ」シリーズ第26巻。
妊娠22週目の胎児の卵巣に存在する700万個の卵子。この生物学上の事実が、巨額の金をもたらすプロジェクトを生んだ。顕微鏡の中で繰り広げられる生命創出の一部始終。快感に打ち震える狂気の科学者。神を冒涜する所業に今、ひとりの日本人が立ち向かった。“朝倉恭介シリーズ”で日本のエンタテインメント界に新風を吹き込んだ楡周平が放つ、冒険サスペンス巨編。