2002年3月15日発売
ヴィルヘルムは、息子フェーリクスとともに「教育州」を訪れる。ここでは、畏敬の念を基調とする、ゲーテの教育理念が語られる。交錯した恋愛関係を扱った挿話「五十歳の男」、アフォリズム群「遍歴者たちの精神による考察」など、豊かな作品世界が繰り広げられる。
「黒窓の会」。西之園萌絵を囲んで開かれるその秘密の勉強会にゲストとして招かれた犀川創平は、古い写真にまつわるミステリィを披露した。屋根飾りと本体が別々になった奇妙な石塔は、何のために作られたのだろうか。S&Mシリーズ二編を含む、趣向を凝らした十作を収録。『まどろみ消去』に続く第二短篇集。
「君たちはコストだ」。合併を目前に傲然と言い放ち、リストラを進める銀行の論理。MOF担として活躍していた同僚の非業の死をきっかけに、組織の中で歯ぎしりするだけだった行員たちが勇を鼓して立ち上がったとき、銀行に巣食う「巨悪」が牙を剥いた…。大手銀行の中枢を知る幹部行員が書いた、リアリティあふれる銀行小説。
独自の言語を設計する言語デザイナーの主人公は、奇妙な偶然から、これまでのものとはまったく構造の異なる言語に遭遇する。言語理解と人間の認識能力、そしてその未来を描いて第17回ハヤカワ・SFコンテストに入選した表題作をはじめとして、緻密な世界観に裏づけられた、名品8篇を収録。大反響をまきおこした、スペースオペラ「星界シリーズ」で、日本SFの新時代を切りひらく、森岡浩之のエッセンスを、ここに凝集。
僕の横に身を横たえた彼女はうっとりとして、官能的な唇を半開きにした。その唇を吸いながら、僕は果実のように丸みを帯びた胸の膨らみを掌で撫で回し、少しだけ乳首を摘んだ後、括れた腰から丸い尻の方に手を滑らせた…。-宮園貿易社長の未亡人からかかってきた一本の電話。高岡設計事務所所長の高岡は、吸い寄せられるように岬の突端に建つ瀟洒な別荘に向かった。そこに待っているのは愛なのか、罠なのか…。Mとはいったい何者なのか…。人気女優でもある作家の小川美那子が描くエロティック・サスペンス!ミステリと官能が同時に楽しめる一冊。
「指輪物語」を生んだ国、イギリスのSF評論家、名物プロデューサー、映画史研究家が総力を結集、原作から映画に至るまで縦横無尽にガイドした「最強の入門書」。この一冊で「壮大な物語」の全貌が明らかになる。