2002年6月発売
身の毛もよだつ怪奇譚や、実録風怪異現象をエキゾティシズムと猟奇趣味の混合した耽美的な文体で描いた、橘外男。特異な経歴をもち、様々な職に就きながら小説の筆を取った異色作家の、「聖コルソ島復讐奇譚」「怪人シプリアノ」など「実話」と銘打ったグロテスクな海外怪異譚と、「蒲団」「逗子物語」などの日本的怪談10篇を収録。
両親のあいだに何があったのか?幼い少女を待ち受けていたのは壮絶な虐待だった。踏みにじられた花は実を結ぶのか…母性の喪失と増えつづける家庭内暴力。現代社会がかかえる問題に光を当てながら、女心と禁断の恋を描くダニエル・スティールの傑作。
両親のあいだに何があったのか?幼い少女を待ち受けていたのは壮絶な虐待だった。踏みにじられた花は実を結ぶのか…母性の喪失と増えつづける家庭内暴力。現代社会がかかえる問題に光を当てながら、女心と禁断の恋を描くダニエル・スティールの傑作。
秦の始皇帝陵で、シュイ・フーと名乗る男が語った「時間が止まる」という言葉。青い金属板、太平洋の巨大な黒い影、死海の銀の巻物、そして世界各地で発見された極めて日本的な遺物とは。一見接続のない事象が、根源で深い関わりを持っていた。壮大にして緻密、真理の秘鍵で世界の定理を覆す歴史ミステリ。
深夜の弁当工場で働く主婦たちは、それぞれの胸の内に得体の知れない不安と失望を抱えていた。「こんな暮らしから脱け出したい」そう心中で叫ぶ彼女たちの生活を外へと導いたのは、思いもよらぬ事件だった。なぜ彼女たちは、パート仲間が殺した夫の死体をバラバラにして捨てたのか?犯罪小説の到達点。’98年日本推理作家協会賞受賞。
主婦ら四人の結束は、友情からだけではなく、負の力によるものだった。その結びつきは容易に解け、バランスを欠いていく。しかし動き出した歯車は止まることなく、ついに第二の死体解体を請け負うはめになる。彼女たちはこの現実にどう折り合いをつけるのか。大きな話題を呼んだクライム・ノベルの金字塔。’98年日本推理作家協会賞受賞。
総統暗殺!?一九四〇年。内戦の痛手いまだ癒えぬスペインでは、フランコ殺害を企む一派が活動を続けていた。ジブラルタルを巡り、日英独の諜報戦が熾烈を極めるマドリードに現れた日系ペルー人の宝石商・北都昭平は、やがて激動する歴史の渦へと巻き込まれていく。苛烈な闘いを緻密に描くエスピオナージ。
「買いなさい。損はさせないから」話題騒然の表題作「ペルシャ猫の謎」。血塗られた舞台に愛と憎しみが交錯する「切り裂きジャックを待ちながら」、名バイプレーヤー・森下刑事が主役となって名推理を披露する「赤い帽子」など、粒よりの傑作集。「国名シリーズ」第五弾、火村・有栖川の名コンビはパワー全開。
維新の騒擾燻る帝都東京の武家屋敷で青年軍人が殺された。被害者の友人で公家の三男坊九条惟親は事件解決を依頼されるが、容疑者、動機、殺害方法、全て不明。調査が進むほどに謎は更なる謎を呼ぶ。困惑した九条は博学の変人朱芳慶尚に助言を求めるが…。卓抜な構成と精妙な描写で圧倒する傑作本格ミステリ。
レイプ・スキャンダルで引退したお笑い芸人・笠原雄二。今は孤独に生きる彼を、元相方の立川誠が五年ぶりに訪ねてくる。だが直後、立川は失踪、かつてスキャンダルを書き立てた記者が殺された。いわれなき殺人容疑を晴らすため、笠原は自らの過去に立ち向かう。TV・芸能界を舞台に描く江戸川乱歩賞受賞作。
舞台は鎌倉の東慶寺。別名駈込寺。男に愛想の尽きた女が一目散に逃げ込んでくる。寺役人の市助と門前にある菓子屋の和三郎が協力し、駈込みの子細を辿っていくと、女の性をめぐる凄まじいドラマと巧妙な悪企みが浮かびあがってくる。和三郎は忍びの裔。影十手を躍らせ江戸の闇に挑む。痛快な時代ミステリー。
煉獄の中で、私は天上の果実を口に含んでいた…。夫を事故で失った高森悠子は、薬剤師として勤めることになった軽井沢の診療所で医師・兵藤義彦と出会う。彼もまた、妻の美冬を自殺で亡くしていた。義彦に恋心を抱きながら、好色なその義父・英二郎の誘いを拒みきれない悠子。エロス匂い立つ、長編恋愛小説。
1914年、ヨーロッパの緊張は中近東の地へも飛び火していた。斜陽のオスマントルコ帝国と手を結んだドイツは、自国と中近東を結ぶ大動脈、バグダッド鉄道の建設に邁進していた。だがそれは、英国がようやく手にした中近東の橋頭堡、クウェートへの脅威となる。いまや中近東の覇権は、新時代の軍事・産業・経済の必需品-石油の独占を意味していた。バグダッド鉄道建設にあたっていたドイツ人の鉄道技師が、現地の山賊に誘拐された。工事はストップし、事件解決のために政府と鉄道会社は身代金を支払うことにする。これは、密かに建設の妨害を目論む英国にとっては絶好のチャンスだった。だが表立った活動は、全ヨーロッパを巻き込んだ戦争の勃発に繋がりかねない。外務省の要請を受けた情報局は、ランクリン大尉に密命を発した。身分を偽って潜入し、身代金の支払い、そして事件の解決を阻止すべし-相棒のオギルロイを伴い、偽外交官となったランクリンは、交渉の仲介役をつとめる謎の子爵夫人とともにオリエント急行の旅に出る。だが風雲急を告げる中近東の砂漠には、予想以上の罠が待ち構えていたのだ…。激動の時代に、誇りをもって生きる人々の熱き闘い。巨匠ギャビン・ライアルが、『スパイの誇り』『誇りへの決別』に続き、草創期の情報戦を鮮やかに描き出す、冒険スパイ小説シリーズ最新刊。
米国ロスアンゼルスで貧乏ジゴロ生活を送る榊武士に、ご機嫌なアルバイトが飛び込んだ。初老の中国男性一人をサンフランシスコからロスまで車で護送し二週間匿えば、五万ドルがもらえるという。しかも、超美女つきときた。断る理由がない。だが、ウラがあった。刺客ももれなくついてきたのだ!チャイニーズ・マフィアの抗争に巻き込まれた優男に、一世一代の勝機は訪れるのか。
保険会社の査定係ケイトはギリシャのコルフ島で自称「泥棒」のジョン・ソレルと出会う。目もくらむようなセックスのあと、強烈な思い出を残してジョンは姿を消す。ロンドンに戻ったケイトの前に現われたのは、ラウルというセクシーな男。ケイトは誘われるままに彼のフランスの別荘に向かったが…。仮面を脱いだ残酷な快楽主義のラウル。お互いを信じきれずにいながら、強く惹かれ合うジョンとケイト。埋もれた財宝をめぐり、命と愛をかけた二人のアドベンチャーが始まる。
嵐の中で車が故障し、古びた屋敷に迷い込んだベリンダとジョナサン。その門をくぐったとたん、ベリンダに狂おしい衝動が湧き上がり、激しくジョナサンと求め合う。屋敷の主人は謎めいた青い瞳を持つ美貌の伯爵。青い瞳に見つめられたベリンダの体に蕩けるような快感が走る。わたしはどうなってしまったの?戸惑う心とは裏腹に、体はより奔放に大胆になっていく。ジョナサンをも魅了してしまう伯爵の正体とは?伯爵を追ってくる魔性の女の目的は?心と体で感じるロマンチック・ファンタジー。
アメリカ東海岸にあるレストラン「コーツ・イン」の女支配人アビゲイル・コーツは、シェフも兼ねて奮闘してきたが、このところ経営はあまり思わしくなかった。そこで、新しいシェフを募集すると、ストーム・デュプレと名乗る青年が現われ、自分は“秘密の武器”を持っているという。男の作った料理を試食したアビゲイルは、たちまちセクシーな気分に陥ってしまう。料理はまるで媚薬だった。新シェフによる新メニューを出しはじめてから一週間、レストランは大繁盛したのだが、ストームの真の目的とは。
その孤独で真っ暗な壁の中で、あなたは何を見つけましたか?一九八〇年代の軍事独裁政権の時代、政治犯として収監された男と、獄中の男へ宛てた手紙を残してこの世を去ったひとりの女の、暗い時代に咲いた切ない愛。現代韓国をリードする作家、黄〓暎が描く、80年代韓国民主化運動の青春。
あの時代を無名のまま生きた人々の堂々たる青春を、どうして忘れることができようか。一九八〇年光州民衆闘争ー。「みんなは光州での無慈悲な良民虐殺を見たり聞いたりしており、それは炎の時代である八〇年代の始まりだった」。軍事独裁政権の時代、民主化への道を模索しつづけた、「386世代」(現在30歳代で、80年代に大学生として民主化運動に関わった、60年代生まれの世代)の原点。