2003年11月発売
注意することだーポアロのもとに届けられた挑戦状。その予告通り、Aで始まる地名の町で、Aの頭文字の老婆が殺された。現場には不気味にABC鉄道案内が残されていた。まもなく第二、第三の挑戦状が届き、Bの地でBの頭文字の娘が、Cの地でCの頭文字の紳士が殺され…。新訳でおくる著者全盛期の代表作。
その朝、新聞の広告欄を目にした町の人々は驚きの声を上げた。「殺人お知らせ申しあげます。12月29日金曜日、午後6時30分より…」いたずらか?悪ふざけか?しかしそれは正真正銘の殺人予告だった。時計の針が予告の午後6時30分を指したとき、銃声が響きわたる!大胆不敵な殺人事件にミス・マープルが挑む。
銀行強盗を追う保安官が拾ったヒッチハイカーの正体とは?屋根裏部屋で起きた、首吊り自殺の真相は?一攫千金の儲け話の真偽は?制限時間は2分間、きみも名探偵ハレジアン博士の頭脳に挑戦!手がかりはすべて問題文のなかに隠されている。動かぬ証拠を押さえて犯人を追いつめろ。事件を先に解決するのはきみか、博士か?いつでも、どこでも、どこからでも楽しめる、面白くてちょっぴりためになる推理クイズ集。
神田の呉服屋が襲われた。五百両のほかに、反物がごっそり持ち去られ、手代の姿が消えたのだ。奉公人を仲間に引き入れるという盗みの手口から、岡っ引きの銀次らは上州党と目星をつけるが、三年前に江戸から行方を晦ましたままだった…。
リーガルサスペンスの巨匠ジョン・グリシャムが、1952年の故郷アーカンソーを舞台に、アメリカが失ってしまった郷愁の世界を描き出す。「弁護士も裁判官も登場しないが、ここにはいままで以上のグリシャムが存在する」(U.S.A.トゥデイ)と各書評で絶賛された。借金を抱え、天候と相場に左右されながらかつかつの生活をしていた借地農家のチャンドラー家が洪水によって絶望の淵に沈むまでの数か月間が、7歳の少年ルークの目から語られる。さまざまな経験と別離に直面し、少年が大人に脱皮していく過程を、ほろ苦くそして暖かく描きあげる-。
ろくでなしのミッキーにあの女を取られてたまるか!美しさが取り柄の売れない女優ネッタを巡って、激しい恋の鞘当てを演じるジョージ。不況下で失業した彼は自分の財産を彼女のためにつかい尽くすが、金が目的のネッタは彼を馬鹿にしつつも見かけの好意をちらつかせ、金蔓の彼を離そうとしない。そしてある時、彼女と二人きりになるチャンスをぶちこわしたネッタに、彼の愛と憎しみが爆発する。精神的なショックを受けて二つの人格の間を揺れ動く男がたどる煉獄への道をリアルに描いた心理スリラーの古典。グレアム・グリーン、ドリス・レッシング、ジュリアン・シモンズなどが絶賛した異色の名作。
世界各地で原因不明の「人体発火」現象が多発。英国王室のシンシア妃は何故かこの事件報道に極度に敏感な反応を示し、バッキンガム宮殿に引き籠もる。王妃の精神状態を探るため、臨床心理士の嵯峨敏也が宮殿に招かれた。その事件の陰に存在していたのは、全人類の歴史を覆す恐怖の策略だった。嵯峨は旧知の元航空自衛隊F15パイロット・岬美由紀に協力を求める。死地へと踏みこんだ美由紀は、予想しえなかった戦慄の事態に直面する…。遂に宿敵メフィスト・コンサルティングと決着。「ミドリの猿」から「ダビデ」まで、すべての謎が一挙に解き明かされる。睡眠・千里眼シリーズ第10巻特別記念作。
理想的な医療を目指す院長や看護部長と個性豊かな患者たちが繰り広げるユーモアとペーソス溢れる物語ー。ときどき痴呆の出る元眼科医の湯浅マキ(76歳)が息子夫婦にドライブに誘われ、ウキウキ出かけてみたら、連れていかれたのは老人病院の痴呆病棟。何度も病院からの脱出を企てるが、看護師に見破られる。ときどきふつうの状態に戻るのを幸いに、看護師や入院患者たちの日々を観察し始めた彼女の目を通して痴呆病棟の内情が描かれる。
ミステリ、SF、ホラー、現代文学のジャンルを超えて、「すこし不思議な物語」の名作を集めたシリーズ“奇想コレクション”刊行開始!第1回配本は、『ハイペリオン』でその人気を不動にした、まさにジャンルを超えて最高の作品を生みだしつづける巨匠ダン・シモンズ!ローカス賞受賞の表題作をはじめ、死んだ母がぼくの家に帰ってきた…デビュー作「黄泉の川が逆流する」、かつての教え子ケリーを殺すため異世界を旅する元教師の孤独な追跡劇「ケリー・ダールを探して」、世界幻想文学大賞、ブラム・ストーカー賞受賞の傑作「最後のクラス写真」、本邦初紹介の「ベトナムランド優待券」ほか、全7篇を収録。
ロンドンのリッチモンドにある、ロージーの経営するガーデニング会社がようやく軌道に乗りはじめたころ、なぜか相次いで顧客からのキャンセルが。ある日、偶然に覗き見た光景。商売敵のハンサムなガーデナーが、なんとセックスのサービスを提供して、女性客を奪っていたのだ。経営の危機に追い込まれたロージーは、目には目をとばかりに反撃に出る。その自慢の肉体を武器に、ライバル会社の顧客奪取に立ち向かったが…。
カリブ海にあるリゾート・アイランドで、バカンスを楽しんでいたアレクサは、海辺の岩場で転倒して頭を強打。幸い、同じホテルに宿泊中の女医・ベアトリスの介抱で、回復したのだが…、なぜかその翌朝から、激しい性衝動に襲われる。ロンドンに戻ってからも、セックスへの欲望はやまず、ベアトリスのもとへカウンセリングに通うことに。そして言葉巧みに誘われて謎のパーティに出かけたアレクサは…。女性のために、女性が書いたセクシュアル・ファンタジー。
遺伝子組み換えやクローニングなど、いつの間にか「神の役割」を演じ、自らの存在そのものを操作し始めた人間たち。私たちが向かいつつある新しい世界での愛と苦悩とは?-リアルな筆致と大胆なイマジネーションで描き出す、「ポストヒューマン」世界からの17の短篇小説集。
まだ3年目なのに、異様に仕事の多いサラリーマン・堀慧一。待望の新人・高須賀和正は長身でやたらと凄味の入った男前。不安だった堀だが仕事の覚えも早く話も合い、デキる新人に一安心。ところが突然、堀が好きだと告白をしてきた高須賀。脅すような台詞とは裏腹にすねる様がやけに可愛く見えて、とりあえず友達から、と付き合い始めた堀だが…。
勤皇か佐幕か、血なまぐさい抗争に明け暮れる維新前夜の京都に、その治安維持を任務として組織された剣客集団、新選組。名刀の真贋を軸に近藤勇の不敗神話を描く「虎徹」、赤穂浪士討ち入り以来の屈折した心情に迫る「池田屋異聞」、悲恋に涙する剣士の素顔を綴る「沖田総司の恋」など、「誠」の旗印に参集した男たちの内面を通して、歴史小説の第一人者がその実像を浮き彫りにする。活字が大きく読みやすい新装版。
ああ、どうしたらいいの…?喧嘩が絶えない両親、嫌われたくなくて目の前でトイレにすら行けない彼と、何でも打ち明けられるもう一人の彼。こっそり会社を辞めてしまった不甲斐ない夫に、ダイエットの成果に一喜一憂し家族を戸惑わせる自分。自分も含め、周りは困った人と悩ましい出来事ばかり。けれど、そんな人々の姿に思わずほろりとすることだってあるのだ。日々の暮しで生まれる喜びや悲しみ、怒りに楽しみ…。ささやかだけれど大切な、人々の“思い”をふんだんにつめこんだ、誰もがうなずく十の物語。
ハルオと立人と私。恋人でもなく家族でもない三人が始めた共同生活。この生活の唯一の禁止事項は「同居人同士の不純異性行為」-本当の家族が壊れてしまった私にとって、ここでの生活は奇妙に温かくて幸せなものだった。いつまでも、この居心地いい空間に浸っていたかったのに…。表題作「幸福な遊戯」(「海燕」新人文学賞受賞作)の他、2編を収録。今もっとも注目を集める作家、角田光代の原点がここにある。記念碑的デビュー作、待望の文庫化。
魏の曹丕、蜀の劉備に続いて、呉の孫権も皇帝を称した。名実共に三国が鼎立したことになる。呉と蜀の盟約の辞に怒った魏帝は孫権暗殺を命じた。一方、蜀の丞相・孔明は数次の北伐を試みるが、魏への侵攻を果たせず、焦りを見せていた。そして第五次の北伐。最終決戦の臍を固めた孔明は、奇策に打って出る。「死せる孔明、生ける仲達を走らす」とは。
ニシノ君とのキスは、さみしかった。今まで知ったどんなさみしい瞬間よりも。女には一も二もなく優しい。姿よしセックスよし。女に関して懲りることを知らない。だけど最後には必ず去られてしまう…とめどないこの世に、真実の愛を探してさまよった、男一匹ニシノユキヒコの恋とかなしみの道行きを、交情あった十人の女が思い語る。はてしなくしょうもないニシノの生きようが、切なく胸にせまる、著者初の連作集。