2004年10月15日発売
“モービィ・ディック”との遭遇を前にして、エイハブ船長ひきいるピークオッド号の航海はつづく。ほかの捕鯨船との“出あい”を織りまぜながら、鯨と捕鯨に関する“百科全書的”な博識が、倦むことなく、衒学的なまでに次から次へと開陳されていく。
料理屋の女将が襲われ、奉公人が殺された。同じ頃、材木問屋の主が川で謎の転落死を遂げる。事件を追う宗二郎ら始末人だが、魔手は始末屋の元締・文蔵にまで伸びる!陰に見え隠れする謎の老武士は何者か?宗二郎の秘剣“鱗返し”を突き崩す“風来の剣”とは?始末人に最大の危機が迫る。
『羊をめぐる冒険』から四年、激しく雪の降りしきる札幌の街から「僕」の新しい冒険が始まる。奇妙で複雑なダンス・ステップを踏みながら「僕」はその暗く危険な運命の迷路をすり抜けていく。七〇年代の魂の遍歴を辿った著者が八〇年代を舞台に、新たな価値を求めて闇と光の交錯を鮮やかに描きあげた話題作。
失われた心の震えを回復するために、「僕」は様々な喪失と絶望の世界を通り抜けていく。渋谷の雑踏からホノルルのダウンタウンまでー。そこではあらゆることが起こりうる。羊男、美少女、娼婦、片腕の詩人、映画スター、そして幾つかの殺人がー。デビュー十年、新しい成熟に向かうムラカミ・ワールド。
現代の奇妙な空間ー都会。そこで暮らす人々の人生をたとえるなら、それはメリー・ゴーラウンド。人はメリー・ゴーラウンドに乗って、日々デッド・ヒートを繰りひろげる。人生に疲れた人、何かに立ち向かっている人…、さまざまな人間群像を描いたスケッチ・ブックの中に、あなたに似た人はいませんか。
1887年英国。ブラックフィールド村に、『デイリー・テレグラフ』の記者と名乗る男が十年振りに帰郷する。昔、この村で起こった密室殺人事件を、正体を隠して調べ直そうというのだ。十年前、娘の誕生日に手品を披露する予定だった父親が、カーテンで仕切られた密室状態の部屋で、何故か背中を刺されて死んでいた。当時の関係者の協力を得て事件を再調査するうちに新たな殺人事件が起こり…。奇怪極まる密室殺人と犯罪史上最も悪名高い連続殺人を融合させ、“フランスのディクスン・カー”と評される著者が偏愛して止まない冒険小説大賞受賞作。
星船から転移されたグインは、ノスフェラスにいた。記憶を失い、セム族の村にいた。この情報は、グラチウスによって、パロに伝えられ、居合わせたハゾスから、ケイロニアへと知らせられる。ケイロニアは総力をあげてグインの捜索に乗りだす。いっぽうグインは、そんな中原の動きを知るはずもなかったが、記憶のないまま、なにかに突き動かされるかのように、ドードーの制止を振り切り、ひたすら中原を目指して歩んでいた。
地元の競馬大会で起きた殺人事件は、人間界のみならず動物界も沸騰させた。「騎手が誰かに刺し殺されたの。心臓をトランプの上から貫かれて」たまたま現場に居合わせたコーギー犬タッカーは、トラ猫ミセス・マーフィに得意気に語った。コカインや遺産相続といった不穏な単語が人間たちの間で囁かれるなか、名探偵を自認するトラ猫は、目撃証言を求めて鼠との協定締結に乗り出す。人畜力を合わせての推理の行方やいかに。
陪審員として法廷に召喚されたきみの前で、いかにも犯人らしい人物が被告席に腰を下ろした。だが優秀な探偵を志す者ならば第一印象で決めつけてはいけない。証人の中には嘘をつく人物もいるかもしれないし、提示されている証拠は実際には事件と無関係なものかもしれないのだ。はたして被告は有罪か無罪か…被告の人生はきみにかかっている。慎重かつ冷静に正しい評決を下してほしい。真実を見抜く目を養う推理クイズ集。
人の不幸のみを予言する謎の占い書「フォーチュンブック」。偶然入手した七人の男女は、運命の黒い糸に絡めとられたかのように、それぞれの犯罪に手を染める。錯綜する物語は、やがて驚愕の最終話へ。連作ミステリーの到達点を示す傑作長篇。
アウン・サン・スー・チー氏自宅軟禁から5年が経とうとする頃、解放の要求を受け容れないSLORCに対し、若きアメリカ大統領は民主化への策略としてCIA諜報員ランス・ベーリンガーにミャンマー崩壊の任務を与えた。ベーリンガーはタイで、アメリカとミャンマーのハーフであり救出活動家でもある美しい女性、マンダレー・アウンの補助を得ながら任務を遂行し始める。しかし、ミャンマー少数民族の反逆者リーダーに面会するベーリンガーに、元KGB諜報員レスコフとSLORCの執拗な追跡が…。それをくぐり抜けながら任務を全うしようとするベーリンガーは、SLORCによるバンコク国際会議に出席するアメリカ国務長官暗殺計画を知る。しかしもうひとり、国務長官暗殺計画を遂行しようとしていた人物がいた-。