2004年5月発売
ー神の声が聞きたい。牧師の息子に生まれ、一途に神の存在を求める少年・早乙女。彼が歩む神へと到る道は、同時におのれの手を血に染める殺人者への道だった。三幕の殺人劇の結末で明かされる驚愕の真相とは?巧緻な仕掛けを駆使し、“神の沈黙”という壮大なテーマに挑んだ、21世紀の「罪と罰」。
「怪しすぎるよ。こんなところに『弟』がいるなんて嘘じゃないの?」父と二人、少女は教会の地下、苔むした石畳を歩んでいく。研究者の父と、社交に忙しい母、二人のメイドとともに館で何不自由なく暮らしていた彼女の前に、野生児の「弟」が出現した…。R-18文学賞読者賞受賞作家の魅惑的なゴチック・ロマンス。
eビジネスで成功し時代の寵児となった男は、なぜ大銀行のビルから飛び降りようとしたのか。安値更新していた株が急騰、最新設備を誇る外資系通信会社で何が起こったかー証券会社を辞め、警備会社に再就職した中年男が直面する事件の数々。刻一刻と進化する経済社会を生き抜く人間たちを熱く描いた傑作。
「いいかい、彼女を殺してしまわなきゃ…」エルサレムを訪れていたポアロが耳にした男女の囁きは闇を漂い、やがて死海の方へ消えていった。どうしてこうも犯罪を連想させるものにぶつかるのか?ポアロの思いが現実となったように殺人は起こった。謎に包まれた死海を舞台に、ポアロの並外れた慧眼が真実を暴く。
旅順の港とその大要塞は、日本の陸海軍にとっての最大の痛点であり、ありつづけている。-日清戦争から10年後の明治37年(1904)2月10日、日露戦争開戦。軍事力も財政力もロシアに劣る日本は、戦局の長期化を避けたい。しかし、満州を主戦場とする陸軍にとっても、一日も早く制海権を握りたい海軍にとっても、旅順の大要塞が大きく立ち塞がった。「日本人とは何か」を問う畢生の大作。
旅順の乃木軍司令部から児玉のもとに入ってくる報告は、ことごとく敗報であった。-旅順の要塞との死闘はつづいていた。要塞に対し正面攻撃に固執する乃木軍は、兵士たちを死地へと追いやりつづけた。兵力が衰えるなか、攻撃の主目標を二〇三高地に限定せよとの声が高まる。そこからは、旅順港が眼下に見下ろせるからであった。「日本人とは何か」を問う畢生の大作。
夏休み、大地はサッカー部の合宿でマネージャーの友江と初々しいキスを交わし、水沢先生とは林の中で月の光を浴びながらお互いを晒け出した。地元・三嶋大社のお祭りの夜、三田先輩と躯を重ねる寸前までいって別れたあと、突然呼び止められた。東京に行ったゆかりだったーシリーズ第10弾。
婚約中のロディーとエリノアの前に現われた薔薇のごときメアリイ。彼女の出現でロディーが心変わりをし、婚約は解消された。激しい憎悪がエリノアの心に湧き上がり、やがて彼女の作った食事を食べたメアリイが死んだ。犯人は私ではない!エリノアは否定するが…嫉妬に揺れる女心をポアロの調査が解き明かす。
残忍な殺人は平穏な海辺の館で起こった。殺されたのは金持ちの老婦人。金目的の犯行かと思われたが、それは恐るべき殺人計画の序章にすぎなかったー人の命を奪う魔の瞬間“ゼロ時間”に向けて、着々と進められてゆく綿密で用意周到な計画とは?ミステリの常識を覆したと評価の高い画期的な野心作を新訳で贈る。
ホテル最上階へ続くエレベーター内で黒人青年がナイフを胸に息絶えた。事件の裏には、苛酷な運命に翻弄される人間の弱さとエゴが生む悲劇があったーー。映画化ドラマ化され大反響を呼んだ森村誠一の代表作。
祖父と母との不義の子として生まれた宿命に苦悩する人主公時任謙作は、単身、尾道に向い、千光寺の中腹の家を借り、一人住いを始める。しかし、瀬戸内海の穏やかな風光も、彼の心に平安をもたらさない。長年月を費してなった志賀直哉唯一の長篇。
京都での結婚、妻の過失、子どもの死などを経て、舞台は日本海を見おろす大山にー作者が人生と仕事の上で求めてきたものすべてが投入され、描き尽くされた、近代日本文学に圧倒的な影響を及ぼした代表作。
『死霊の手』-旗本の三男坊、波之助の釣り船に女の土左衛門が流れ着いた。首筋の痣は相対死の名残か…。『検察捜査・特別篇』-県警本部に男が乱入し、横浜地検の岩崎紀美子に「たれ込み」電話がかかってきた。『920を待ちながら』-神業の腕を持つ伝説のスナイパー。防衛庁情報局の男たちは、姿なき彼に追い詰められ-。『放蕩息子の亀鑑』-「冷たいカルテ」を書いた病院長・童子女の前に現れた不意の訪問客。『脳男』の鬼才が描く「本格」ミステリー。
オルガン奏者が何者かに襲撃され、不穏な空気が漂うトールンブリッジの大聖堂で、巨大な石の墓碑に押し潰された聖歌隊長の死体が発見される。しかも事件当時、現場は密室状況にあった。この地方では18世紀に魔女狩りが行なわれた暗い歴史があり、その最中に奇怪な死を遂げた主教の幽霊が聖堂内に出没するとも噂されていた。ディクスン・カーばりの不可能犯罪に、M・R・ジェイムズ風の怪奇趣味、マルクス兄弟のスラップスティックをミックスしたと評される、ジャーヴァス・フェン教授登場のヴィンテージ・ミステリ。
東京・恵比寿のデザイン・オフィス『Yebisu Graphics』。そこに所属するデザイナーは、容姿・実力共に超一流の男たち-人は彼らをこう呼ぶ。恵比寿のセレブリティ=エビリティ、と。その一人で人嫌いの益永和実にとって、気紛れで女好きな天才肌の同僚・久家は誰よりも不愉快な男だったが…!?人気大沸騰!セレブな男たちの恋を描く小説b-Boy&MAGAZINE BE×BOYコラボレーション企画。書き下ろし続編&ショートコミックも収録。
まっとうさの「力」は、まだ有効かもしれない。信じること、優しいこと、怒ること。それが報いられた瞬間の輝き。ばかばかしくて恰好よい、ファニーな「五つの奇跡」の物語。吉川英治文学新人賞作家、会心の受賞第一作。
小説編集の桜井透也は、担当作家の穂高櫂とプライベートで親密な関係にある。憧れの作家と恋愛をしていること自体、透也にとっては信じられない上に、仕事の立場で、肉体関係をもっている相手にどう接していいのか戸惑っていた。そんな時、透也は新人作家の担当になる。新鮮な気持ちで仕事に夢中になる透也だが、その分、穂高に会う時間がなくなり…。甘く切ないラブSTORY。