2004年発売
地元の競馬大会で起きた殺人事件は、人間界のみならず動物界も沸騰させた。「騎手が誰かに刺し殺されたの。心臓をトランプの上から貫かれて」たまたま現場に居合わせたコーギー犬タッカーは、トラ猫ミセス・マーフィに得意気に語った。コカインや遺産相続といった不穏な単語が人間たちの間で囁かれるなか、名探偵を自認するトラ猫は、目撃証言を求めて鼠との協定締結に乗り出す。人畜力を合わせての推理の行方やいかに。
陪審員として法廷に召喚されたきみの前で、いかにも犯人らしい人物が被告席に腰を下ろした。だが優秀な探偵を志す者ならば第一印象で決めつけてはいけない。証人の中には嘘をつく人物もいるかもしれないし、提示されている証拠は実際には事件と無関係なものかもしれないのだ。はたして被告は有罪か無罪か…被告の人生はきみにかかっている。慎重かつ冷静に正しい評決を下してほしい。真実を見抜く目を養う推理クイズ集。
人の不幸のみを予言する謎の占い書「フォーチュンブック」。偶然入手した七人の男女は、運命の黒い糸に絡めとられたかのように、それぞれの犯罪に手を染める。錯綜する物語は、やがて驚愕の最終話へ。連作ミステリーの到達点を示す傑作長篇。
アウン・サン・スー・チー氏自宅軟禁から5年が経とうとする頃、解放の要求を受け容れないSLORCに対し、若きアメリカ大統領は民主化への策略としてCIA諜報員ランス・ベーリンガーにミャンマー崩壊の任務を与えた。ベーリンガーはタイで、アメリカとミャンマーのハーフであり救出活動家でもある美しい女性、マンダレー・アウンの補助を得ながら任務を遂行し始める。しかし、ミャンマー少数民族の反逆者リーダーに面会するベーリンガーに、元KGB諜報員レスコフとSLORCの執拗な追跡が…。それをくぐり抜けながら任務を全うしようとするベーリンガーは、SLORCによるバンコク国際会議に出席するアメリカ国務長官暗殺計画を知る。しかしもうひとり、国務長官暗殺計画を遂行しようとしていた人物がいた-。
同じ大学に通うリカとミキ。二人にはお互いに知らないもうひとつの顔があった。欲望とともに肥大する街・歌舞伎町の中で、二人の性は食い尽くされていく-。やがて暴力の影がだんだんと二人を飲み込み…。女であること、女が生きること、その強烈なリアルを描く。
加藤唐九郎が「私が作った」と告白した古瀬戸の壺は、重要文化財の指定を取り消され、壺を推薦した小山冨士夫は文化財調査官の職を辞した。世紀の陶芸スキャンダル「永仁の壺」事件。その後、唐九郎は折にふれて事件を語り、小山冨士夫は最後まで口を閉ざした-。偶然手にした小山冨士夫作のぐい呑みに導かれ、事件に引き込まれた「私」は、躯の奥に潜みつづける作家という存在そのものへのこだわりを揺さぶられてゆく…。嘘と本当のあいだを揺らぐ、複雑な人間心理をみごとに描ききる書下ろし長編小説。
情熱など失ったはずだった。あの日、恋人を亡くした海岸通りで。長い夜に身を浸した。澄んだ心を持ったかほると出会い、私は生を取り戻した。平凡な暮らしとは、なんと素晴らしいものなのか!闇から解き放たれる日を心待ちにしていたある日、またしても事件は起きてしまった。
37歳女性、入社15年目、独身バツなし。ついでに恋人・人望ともにナシ…。ですが、それが何か?働く女の本音と弱音をリアルに描いた、本格「負け犬」小説、誕生。
3年間を捧げた同僚に振られて、29歳の私は会社を辞めた。彼は同じ会社の別の女と結婚したのだ。しかも彼女は妊娠していた。あの時から、私は、普通の恋愛というものから、なるべく遠ざかるように生きている…。勃たないウリセンボーイに募る想い、哀しいため息、膨らむレディースローン。最後に二人を結ぶのはお金?それとも愛?このまま、私はどこに行ってしまうんだろう…。
電車内で暴れる酔っ払いから若い女性を救った、ヲタク青年。女性に縁がない彼は、彼女をデートに誘うべく、モテない男たちが集うインターネットサイトに助けを求める。いつしか「電車男」と呼ばれるようになった彼に、出来る限りのアドヴァイスを与え、時に叱りながらも温かく見守る仲間たち。熱い励ましは「電車男」に勇気を与え、彼女との距離を一歩一歩縮めていく。「電車男」は果たして意中の彼女に告白できるのか?読む人全てを熱い共感の渦に巻き込む、リアル・ラブ・ストーリー。
その愛は肉体を貪る愛だ。東京とパリという距離が、愛をより激しくかき立てる。…世紀末の「HANA-BI」と〈厚底族〉時代の日本(神楽坂・飯田橋・市ヶ谷・根岸)を舞台に、フランス人女性の愛と孤独の日々を赤裸々に綴った詩的ロマン!
暴力団の一族と検察官の一家の葛藤と対決、それぞれの家に生まれ、運命に翻弄される二人の愛の行方…日本中を涙させ、一大ブームを巻き起こした『冬のソナタ』のペ・ヨンジュンが、数奇な運命に立ち向かう孤独な青年を熱演!『二重スパイ』のコ・ソヨンと織りなす、現代版「ロミオとジュリエット」と称される韓国ドラマの名作。究極のラブ・ストーリーがここにある。
物語の舞台は1960年代後半の香港。ひとりの男が、2046年を舞台にした近未来小説を書いている。タイトルは、「2046」。小説の中の登場人物達は、「2046」という謎の場所を目指し、ミステリー・トレインに乗り込む。そこに行けば、“失われた愛”を見つけることができると信じていたからだ。だが、それが真実かどうか、誰も知らない。なぜなら、「2046」から帰ってきた者はいないから…ただひとりの男を除いては。
役所勤めの浅井が、妻の死を知ったのは、出張先の宴会の席であった。外出中、心臓麻痺を起こし急死だったという。発作は、どこでどう起きたのか。義妹によって知らされた死に場所は、妻から一度も聞いたことがなかった地名であったー。死の真相を探るうちに、思わぬ運命に巻き込まれていった男の悲劇を描く復讐サスペンス。
二十年ぶりに再会した泰子に溺れていく私は、同時に彼女の幼い息子の不信な目に怯えていたー「潜在光景」。借金苦で自殺した社長はなぜ八十通もの遺書を残していたのかー「八十通の遺書」。わが子をさりげなく殺そうとする父親。が、息子はそれを察知していたー「鬼畜」。日常のちょっとした躓きがその後の運命を大きく変えた世にも怖ろしい六つの結末。