2005年11月発売
元弘三年二月、五流山伏・児島高徳は、隠岐島に流された後醍醐天皇を脱出させることに成功する。高徳は、立川流の文観上人から、“螢惑星”という世に風雲を巻き起こす相があるといわれ、同じ相が足利尊氏にもあると知らされる。やがて後醍醐天皇は尊氏に追われ、南朝を起こす。高徳は、後醍醐天皇への信義を貫き、度重なる誘いにも動ぜず、尊氏と戦い続けた。北畠親房、楠木正成、新田義貞らの名将が活躍した謀略・野望うずまく南北朝時代の、知られざる人物の苛烈な生涯。
虫歯で命を失うこともあった江戸時代、庶民たちに歯の大切さを説き、虫歯で悩む者たちを長崎仕込みの知識で次々と救う口中医・藤屋桂助。その幼なじみで薬草の知識を持つ志保と、江戸の歯ブラシ・房楊枝職人の鋼次は、ともに力を合わせる若き仲間同士である。しかし、桂助のまわりでは謎の事件が次々と起こり、得体の知れない大きな流れに巻き込まれていく。大奥まで巻き込んで続発する事件の真相とは…。口中医桂助事件帖シリーズ第一作。
即席ラーメンが発売されて、力道山が英雄で、月光仮面は茶の間に現われ、フラフープが大流行、そして空に向かって東京タワーが少しずつ背を伸ばしていた昭和三十三年。日々の暮らしはいまほど裕福ではなかったけれど、幸せはみんなのすぐ隣にあった。西岸良平原作の超ロングセラーコミック『三丁目の夕日』の世界を、『とげ』『かび』『どろ』三部作の作家、山本甲士が小説で再現。映画「ALWAYS三丁目の夕日」にもつながるノスタルジック&ハートウォーミング・ストーリー。暮れなずむ下町の夕空に、時代を超えてやさしく降り注ぐ十二篇の心なごむ流星たち。
高3の夏、復讐は突然はじまった。中2時代のクラスメートが、一人また一人と襲われていく…。犯行予告からトロ吉が浮び上がる。4年前クラス中のイジメの標的だったトロ吉こと廣吉。だが、転校したトロ吉の行方は誰も知らなかった。光也たち有志は、「北中防衛隊」をつくり、トロ吉を捜しはじめるのだがー。やるせない真実、驚愕の結末。高3の終らない夏休みを描く青春ミステリ。
辣腕弁護士トニーのもとに、思いがけない仕事が持ち込まれた。依頼人は高校時代の親友で、いまは母校の教頭をしているサム。教え子の女生徒と関係を持ったあげく、殺害の容疑をかけられているのだ。トニーの脳裡によみがえったのは、彼自身が28年前に恋人を殺したとして無実の罪を着せられ、苦悩した悪夢のような日々-過去と現在の殺人事件が絡みあう圧巻の法廷サスペンス。
故郷に舞い戻ったトニーは、絶対不利な裁判を水際立った弁護で強引に無罪評決へと持ち込もうとする。対する検察側からは意外な事実が提出される。真実をめぐって繰り広げられる息づまるゲーム。すべての真相を知りながら沈黙をつらぬく殺人者の正体とは?そして封印されていたトニー自身の過去の悪夢の結末は?-法廷サスペンスの鬼才が心血を注いだ、追憶と懊悩の人間ドラマ。
ジョン・バロンは胸を躍らせていた。これから永遠の追跡と逃亡の旅が始まるとも知らずに…。殺人課刑事にとって憧れのロス市警5-2班に配属されて初の捜査は、簡単な任務と思われた。だが犯人は逃走。その追跡劇のさなか、彼は伝説の5-2班の邪悪な一面と美貌の殺し屋レイモンドの存在を知るー。ロス、ヨーロッパ、モスクワをまたぐ壮大な陰謀の糸が、その姿を現しつつあった。
あの男は本当に死んだのか?自らと妹の命を守るため、名を変えイギリスへと逃亡したジョン。穏やかな日々と新しい未来がつかめたかと見えた矢先、再び蠢きだす過去の亡霊。パリ、チューリヒ、ダヴォス…ヨーロッパ全域に張り巡らされた「ロマノフの血」へと到る周到な計画がいままさに発動の段階へと到っていた。予想を裏切り続けるサスペンス巨篇が最後にたどり着く、血の結末。
玉の輿を願う本所の一膳飯屋「井筒」の看板娘、お蔦はかの長谷川平蔵に「天眼通の才吉」と呼ばれた名親分の忘れ形見。顔は悪いが情にはもろい、御用聞き「鬼不動の井蔵」に育てられた。実父譲りの「天眼通」で謎に近づき、養父譲りの情の厚さで謎から遠のく、お蔦の父娘二人三脚の捕物劇、その顛末やいかに?捕物帳に新ヒロイン誕生!こまやかな筆致が冴える、女流新人作家のデビュー作。
江戸屋敷勤番の侍だった月村四十郎。この男、“からす”につきまとわれているので鳥四十郎と綽名されている。病気の妻を抱え、用心棒家業で糊口を凌いでいたが、ある日昔の剣術道場の仲間に誘われ、用心棒仲間も嫌がる化け物退治を引き受けるようになった。江戸市中で起こる幽霊騒ぎ。見かけに似合わぬ繊細な小太刀を遣う四十郎は、化け物退治をつぎつぎとこなしていく。今日もまた江戸のどこかで“妖かし斬り”が…。恐怖のなかにも笑いが溢れる書下ろし長編時代小説。
カルチャー教室で中国文学の講座を受け持つ人気講師、真澄。中国茶講座を担当する香港出身の春麗と仁甫の許姉弟と親しくなった矢先、春麗が事故で急死したという報せが…。動揺する真澄を襲う、謎の拉致集団…。表向き青年実業家の仁甫は、実は黒社会の冷徹なる大老…ボスだった。チャイニーズ・マフィアの抗争になぜか巻き込まれてしまった真澄は、仁の屋敷に匿われたが…。デンジャラス・エロス書き下ろし。
「生きている以上、世界の終わりを物語の終わりを、諦めることはできない」“人類最悪の遊び人”たる「狐面の男」は「ぼく」こと“戯言遣い”に断言する。玖渚友との決別。想影真心の暴走。そして、復活する哀川潤…。シリーズすべてを貫く伏線の楽譜は絡まり合い、一気に奔流をはじめる!そして、そして、そして、そして、そしてーゼロ年代の小説界を駆け抜ける新青春エンタの決定版中の決定版“戯言シリーズ”、その最終楽章となる『ネコソギラジカル』三部作、ついに大団円。
突然、舞い込んだ絵はがき。差出人は三年前に、南極で死んだ兄だった。法の手がはるか及ばない、美しく残酷な極寒の地。そこで、兄貴の亡霊が、おれを誘っている。江戸川乱歩賞の「常識」をぶち破る、受賞第一作。
姉の仕事を手伝うためにフランスへ渡った一馬。三つ星レストラン「ル・コント・ブルー」で働くことに。ある日オーナーからマルコを買いつけてきてほしいと頼まれ、わずかな手がかりをもとに日本に戻り動きだす。幻のマルコ、はたして一馬はたどりつけるのか…。マルコとは?奇妙な冒険譚。
一日中稽古事に追われている大店和泉屋の娘にとって、湯屋での長居が息抜きだったが、土用の桃の湯でにぎわう大黒湯で、同心が刺殺される。八丁堀七不思議の一つ、“女湯の刀掛”が生んだ悲劇を描く表題作ほか、「ひゆたらり」「びいどろ正月」など全八篇。大川端の御宿『かわせみ』の面々による、大好評江戸人情捕物帳シリーズ。
ネス湖畔の寒村ティモシーで、突如として発生した凄惨な連続バラバラ殺人。空にオーロラが踊り、魔神の咆哮が大地を揺るがすなか、ひきちぎられた人体の一部が、ひとつ、またひとつと発見される。犯人は旧約聖書に描かれた殺戮の魔神なのか?名探偵・御手洗潔の推理がもたらす衝撃と感動…。ロマン溢れる本格ミステリー巨篇。