2005年4月発売
1980年代、我が国はかつてない「金融狂乱の時代」へと突入する。政治家・官僚・実業家、そして農家までもが「金銭の奴隷」となりはてた未曽有の四半世紀。バブル前夜から巨大銀行再編劇まで、水面下で繰り広げられた色・カネ・権力を巡る凄絶な人間模様を精緻に描いた著者渾身の長編小説。
メガバンクの頭取・藤山には誰にも言えない秘密があった。かつて部長時代に関係した女子行員・裕子。そして後始末にあたったのが左遷寸前の部下・西前だった。以来、ふたりは「鉄の主従関係」で激烈な権力闘争を勝ち抜いていくのだがー輝かしいはずの「あのころの未来」がこんな混迷だったとはー。
第四十一回心猿 火難に遭かること木母 魔怪に擒まること 第四十二回大聖こころこめ南海を拝すこと観音なさけもて紅孩を縛ること 第四十三回黒河の妖孽 三蔵を拐って去ること西海の龍子 鼉龍を捉えて回ること 第四十四回三蔵 車を曳く僧に逢うこと悟空 真の気は体を運ること 第四十五回三清観に大聖 名を留めること車遅国に猴王 法を顕わすこと 第四十六回外道 下策を弄して正法を欺むくこと心猿 聖性を現じて妖邪を滅ぼすこと 第四十七回聖 僧 通天河で行手を阻止されること金木小童等を救出し身替になること 第四十八回妖魔 寒風をば弄び大雪を飄すこと聖僧 拝仏のみ念じ層氷を履むこと 第四十九回三蔵 災禍に遭い水宅に沈むこと観音 危難を救い魚籃を示すこと 第五十回欲望に捉われ性情が乱れること精神が眩んで悪魔に遭かること 訳 注
「二十箇月もの間子供を身篭っていることができると思うかい?」。昭和二十七年の夏、三文文士の関口巽は東京は雑司ケ谷にある久遠寺医院の娘にまつわる奇怪な噂を耳にする。しかも、密室から煙のように消えたというその夫・牧朗は関口の旧制高校時代の一年先輩だった。ポケットに入る分冊版、刊行開始。
「私をーたすけてください」。古本屋京極堂にして陰陽師の中禅寺秋彦が刑事の木場、探偵である榎木津を前にして解き明かす久遠寺家の「血」。呪われた真相は卑劣漢・内藤を恐怖のどん底へと叩き込み、文士・関口の自我を根底から揺るがす。そして京極堂はいう。「この世には不思議なことなど何もないのだよ」。
暗がりで誰かにナイフで刺され、君は死ぬー。誕生日の前日、美緒は見知らぬ男に声をかけられ、こう予言される。犯人に心当たりがあった彼女は警察に相談に行くが…「六時間後に君は死ぬ」(高野和明)。「弔いはおれがする」(逢坂剛)ほか、いまをときめくミステリー作家10人の傑作だけを収めた豪華短編集。
羽音と不思議な声がすべての始まりだった…。陸上競技への夢を断念し、水道職人となった若者・達夫の頭の中に、ある日奇妙な生物が侵入してくる。その名も蚊トンボ・シラヒゲ。超人的能力を得た達夫は、アパートの隣人・黒木を理不尽な暴力から救う。しかし、それは恐るべき闇社会との対決を意味していた。
黒木は暴力団に巨額の損失を与え、追われる身だった。その行方を知るべく、彼らは卑劣な手段で達夫を脅迫した。そこに凶悪獰猛な赤目の男・カイバラが介入、達夫の恋人・真紀を誘拐する。そのとき皮肉にもシラヒゲの能力は尽きようとしていた。カイバラの挑発に単身敵地に乗り込む達夫。はたして真紀を無事救出できるのか。
もう一度少女に帰ろう。人生の深みを知ったいま、アンに再会してみませんか? --ふとした手違いで、老兄妹に引き取られることになった、やせっぽちの孤児・アン。想像力豊かで明るい性格は、いつしか周囲をあたたかく変えていく。グリーン・ゲーブルズの美しい自然の中で繰り広げられるさまざまな事件と、成長していくアンを綴った永遠の名作。講談社だけの完訳版『赤毛のアン』シリーズ全10巻の第1巻。
戦国時代、それは苛酷残酷な時代であると同時に、気宇壮大な時代でもある。だからこそ、常識を常識とせず、天衣無縫、奇想天外に生涯を送る人物が輩出したのだ。超人的武勇の裏の意外な臆心、度はずれに呑気な神経の持ち主のじつは繊細な真情。戦国時代人の剛毅闊達にして人間味あふれる短編7編を収録。
十五歳の僕と十四歳にして名探偵のルンババは、家も隣の親友同士。中三の修学旅行で東京へ行った僕らは、風変わりな姉妹と知り合った。僕らの冒険はそこから始まる。地元の高校に進学し大学受験ーそんな十代の折々に待ち受ける密室殺人事件の数々に、ルンババと僕は立ち向かう。
ボクサーとしての成功を夢み、ウェイトレスをしながら自己流のトレーニングに励むマギーは、ベテラン・トレーナーであるフランクの門を叩く。昔気質のフランクは女性を拒むが、熱意に負け、二人三脚で頂点を目指すことにする。意外な素質を見せ、連勝街道を突き進むマギー。場末のリングからヨーロッパ遠征、そして世界の頂点が見えたとき、悲劇が見舞った…ボクシングに生きる人々の喜怒哀楽に彩られた、感動のドラマ。
融通の利かない無骨な武門として幕閣に煙たがられている、三河以来の“かみなり”旗本大河内家。今日も切腹覚悟で諌言に及ぶ大目付の父政盛と、毎日ぶらぶらと飄箪様の一粒種右京が怒りの太刀を一閃、江戸の悪人どもを大掃除する!書下し傑作時代活劇。
「相手は銃器で武装。現場には多数の人質がいる模様。これより特殊治安出動装備にて臨場する!」警視庁警備部第六機動隊、通称六機。対テロ対策を主とする特殊部隊だが、出動要請は様々だ。厚いベールに包まれた特殊部隊を描く傑作アクション。
「だから女は使えねぇ!」鑑識課長の一言に傷つきながら、ひたむきに己の職務に忠実に立ち向かう似顔絵婦警・平野瑞穂。瑞穂が描くのは、犯罪者の心の闇。追い詰めるのは「顔なき犯人」。鮮やかなヒロインが活躍する異色のD県警シリーズ。
凶多くして吉少ない道中,一行は澄みきった,とある小川にたどりつく.三蔵と八戒がその水を口に含むと,なんたることか,2人のおポンポンが見事に脹らむ.これこそ西梁女人国の子母河,一口飲めば子を宿すという.改版.(全10冊) 第五十一回心猿の千般の計すら空しいこと水火の降魔の術さえ功ないこと 第五十二回悟空 金扢の洞窟をおおいに鬧がすこと如来 妖怪の正体をひそかに告げること 第五十三回禅主 河水を飲んで懐妊すること黄婆 聖泉を運んで堕胎すること 第五十四回法身 西来して女国に逢かること心猿 計略にて脂粉を脱すること 第五十五回淫らな女怪 三蔵に戯れること清らな唐僧 純潔を持すること 第五十六回怒りのために山賊を誅伐すること昧きがゆえに心猿を追放すること 第五十七回真の悟空 落伽山にて哀哭すること仮の猴王 水簾洞をば占拠すること 第五十八回二心 偏く乾坤を攪き乱すこと一体 真の寂滅を修め難きこと 第五十九回唐三蔵 火焰山に阻まれること孫行者 芭蕉扇を奪いとること 第六十回牛魔王 のんびり大宴会に赴くこと孫悟空 ふたたび芭蕉扇を奪うこと 訳 注